噂
調べてはいますが、この小説内の理論は正しいとは限りません。
夕暮れ時、人通りの少ない道を高校生4人が歩いている。
「フューチャーさんって知ってる?」
そのうちの一人、女の子が問いかける。
「俺は知らね。お前知ってる?」
「むこうの団地のとこに出る不審者の話だろ?」
男子二人がかばんを振り回しながら応えた。
「はぁ?不審者じゃねぇし。何か未来の事を教えてくれるんだって。ヤバくない?」
「そんな奴がいたら今頃テレビ局とか研究機関とかが殺到してるって」
「でも、未来を教えてもらってこの前の学校裏の火事から助かった人がいるって。」
「火事があったからそんな噂がたったんだよ。」
「煙のないところに火はつかないんだよ。」
「『火がないところには煙はたたない』な。」
あーだこーだ言い争っていると、ずっと黙っていた残りの女の子が口を開いた。
「フューチャーさんに、番号を教えてもらって、宝くじがあたった人、がいる……らしい…」
三人の目の色が変わる。
「マジで!?」
「いくら?いくら?」
「三億……」
「やべぇ!!!」
「それまじ!?」
三人の声が上ずる。
「ジャージを着てて、帽子を被ってる、らしい……で、全部アディダス…」
「なんでアディダス。」
「知らない…」
「ちょっとむこうの団地寄ってこうぜ。会えるかもしれねぇじゃん。」
4人は踵を返して団地の方向に歩き出す。楽しそうに三億円の使い道を議論しながら。その横をアディダスのニット帽、ジャージ、ランニングシューズの男が足早にすれ違って行った。