表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/827

迷走12

「これ結構高そうなカメラですけど、どこで買ったモノですか?」

「いや買ったモノじゃない……」

西田の問いに北川はやっとの思いで答えたように見えた。

「買ったモノじゃない?」

今度は竹下が聞く。

「……よく知らない人から貰ったモンだ……」

「よく知らない人がこんな高そうなものをくれるんですか? そりゃまた奇特な人がいるもんですね。で、どこで貰ったんですか?」

北川は言葉を発することが出来なかった。それを無視して竹下は続けた。

「このカメラね、さっき言ってた吉見って人のカメラなんですよ。死んだ後、行方不明になってたんだけど、飲酒運転の件で伊坂組に捜索に入った際に、部下の方から提供を受けましてね。調べてみたら型番が一致したのは勿論、カメラから吉見さんの指紋も検出されましてね」

竹下の発言を突然遮り、

「そんなことはないはずだ!」

と北川が声を上げた。

「どうしてありえないんですか?」

ここで、北川は自分の発言がマズイと気付いたようだ。西田と竹下もそれに気付いていた。おそらくだが、北川はカメラを平尾にやる前に、念入りに拭いたのだろう。自分の指紋も付かないようにして。しかし北川も平尾も、レンズのカメラとの装着部分までは拭き取っていなかった。そのことが吉見の指紋がわずかに残留する結果となった。しかし、北川はそれに気付いていなかった以上、吉見の指紋が検出されるわけがないとの自覚があり、この強い否定に繋がったのだろう。竹下の問いにそのまま黙りこくってしまった。竹下は構わず話を続けた。

「とにかく、そういうわけで、このカメラは亡くなった吉見さんのモノだということは明白なんですよ。ところが不思議なことに、カメラの中に入っていたフィルムが見当たらない。どこ行ったんですかね? カメラはあるのに中のフィルムがなくなっているんで、不思議で仕方ない。知りませんか北川さん?」

北川はうつむいたままだ。先ほどの饒舌さはなりを潜めていた。

「黙ってないでなんとか言って欲しいんですけどねえ」

西田は一言嫌味を言うと、

「まあ黙っているのもおたくの権利ですから、構いませんけど、こっちは勝手に話進めますからね。それだけは言っておきますよ」

と告げた。

「我々はね、6月9日の未明、あんたが吉見さんを殺して、カメラを奪った、そう見てる。おそらくだが、殺した理由は吉見さんがあんたが何かしていたのをカメラで写した。それに気付いて、吉見さんを追いかけて殺害し、カメラを奪った。違いますかね?」

北川は押し黙っている。西田は切り口を変えてみた。口調も多少荒くなってきた。

「ところで、あんたの車からスコップだのランタンだのが押収されてるんだけど」

当然北川は無言だ。

「一体、真夜中に何やってたの?見られたらマズイことなんですよね?しかしそんなんで人殺すのはありませんよ!」

西田は机を叩いて威嚇してみた。するとそれまで黙っていた北川だったが、

「……俺は、俺は殺してない……」

と小さいが、はっきりと聞こえるように口を開いた。

「殺してない? じゃあどういうことがあったか、説明してもらえますか。そうしてもらわないと、到底納得できないんですよ!」

西田の頭の中は冷静だが、口調だけはヒートアップしてきた。

「……強い光がこちらに向かって光り、なんだと思って行って見たら、既に誰かがうつぶせに倒れていた……。起こすと頭から血を流してた。呼びかけても反応がない。懐中電灯で目に当てたが瞳孔も開いたままだった……。こりゃ死んでると思った」

北川はポツリポツリと喋った。

「吉見の死を確認した後、遺体はどうしたんだ?」

「元の状態に戻した……」

西田は遺体がJRの職員に発見された際にもうつぶせだったことから、北川の話だと辻褄が合わないと思って確認したが、そうであれば問題はなかった。

「それならいい……。だが、カメラはどうした。盗る必要はなかったはずだぞ。一体何を撮られたと思ったんだ。それを言ってくれないと」

北川は再び口をつぐんだ。

「答えてもらえないなら仕方ないですね……。まあいつかは口を割ってもらいますよ。ただ、どちらにせよ、カメラを死んでいる吉見さんから盗ったことは認めますね?」

竹下の質問に北川は小さく頷いた。

「それでフィルムはどうした?」

西田が今度は聞いた。

「燃えるごみに出した……」

「……そうか。隠蔽済みか」

西田は舌打ちしたが、正直フィルムに何か写っていたとしても、せいぜい北川が地面を掘り返している程度のことだろうと思っていたので、それほど痛手ではないと感じていたし、想定内のことでもあった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ