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迷走29

 園山の発言を向坂は、事実上「問題にならない程度に好きに捜査しろ」と言うことだと受け取った。いや、上意下達の警察で「好きにしろ」とはそういうことと断定して良いだろう。それを受けて、

「沢井課長、申し訳ないんですけど、西田、明日の午前中貸してもらえませんかね?」

と願い出た。

「うん? 俺は構わんが、理由は何だ?」

沢井は向坂の意図がわからなかったので、聞き返した。

「いやあ、佐田の失踪と篠田の件で、伊坂組への聞き込みを自分でやっておきたいんです。前回は自分は参加できなかったですし、日曜なんで居た社員というか、関係者も少なかったように、報告を聞いた限り思いましたから。西田はその時も参加してたわけで、また篠田のことは西田が持ち込んできた話ですから、同行してもらうとありがたいわけです」

「なるほど。俺は構わんぞ。ただ西田はどうだ?」

西田は話を振られたが、特に拒否するような理由もなかったので、

「俺は構いませんが、相棒の竹下はいいんですか?」

と向坂に尋ねた。

「さすがに係長と主任同時に貸してもらうのはマズイ」

向坂は遠慮したが、沢井は、

「同時に居なくなると言っても、午前中だけだし、今回の捜査でもほとんど同時に仕事してたんだから、今更って話だ」

と、容認の姿勢を見せた。

「いや、本当に心遣いだけで十分です」

と向坂はそれでも固辞したので、沢井はそれ以上は竹下の同行を勧めなかった。ただ、

「わかってると思うが、佐田の案件は色々難しいから、そこだけは気を付けてくれよ」

と向坂に念を押した。タイミングを見計らっていた西田は、

「課長、明日も北見に居るとなると、今日は先日のように方面本部に泊まってもいいですか? 最近北見に来ることが多くて、さすがに面倒になっちゃいましたよ」

と沢井に許可を求めた。沢井は、

「おまえは単身赴任だし、帰るメリットもないな。いいんじゃないか? ただ、着替えは持ってきてないだろうから、シャワーだけは浴びてくれ。夏場だからな」

と、鼻をつまむ真似をしながらおどけてみせた。



 結局、午後7時を過ぎても聴取は終わらなかったため、園山方面本部長が再び会議室にやってきた。まず北川の勾留執行停止に検察官も同意したため、裁判所が勾留停止を決定したことを告げた。これは当然のことだったと誰もが受け止めていた。その後、時間がオーバーしていたので、事前に通告していた通り散会を指示し、捜査員は帰宅の途についた。


 西田が沢井課長に許可を得たことで、北見方面本部の宿直室に泊まることになったため、向坂は西田を夕食に誘った。向坂行きつけの居酒屋だった。冷酒で乾杯しながら、向坂と西田はこれまでの捜査内容についてのそれぞれの意見などをぶつけ合った。勿論、周囲に情報が漏れない程度の声でだったが。そんなことで1時間程経った頃、向坂が話題を変えてきた。


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