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日常2

頭脳明晰、容姿端麗、運動神経の方もバッチリ。そんな私、松前心春は、ここ、厚沢部市今金町あっさぶしいまかねちょうの松前神社の1人娘。惜しくも生徒会長の方は知内結衣に敗れてしまって副会長の身ではあるけれど、いつか見返す。追い越してみせる。そう思っていたのに。いたのに。あの娘は一生見返す事が出来ない場所へ行ってしまった。こんな事ってないわ。死ぬなんて卑怯よ。ずるい。ずる過ぎるわ。

って、私が今話したいのはこんな事じゃないのよ。私の神社の裏手には小さな社があるのだけれど、同じクラスの木古内君がそちらに行くのを見たから、イタズラなら注意をしようと後をついて行ったの。そしたら、社が青色の光を放ちながら扉に変化したの。私は驚いて、木古内君に

「木古内君?そんな所で何をしているの?」

と言ったのだけれど、彼は次の瞬間、扉の中へと姿を消したの。私も扉を開けてみたのだけれど、扉の中は真っ暗でなんだか怖かったわ。開けられた扉の裏側を見ても、何処かへ通じてる訳じゃない。私はこの扉がなんなのかとても気になったけれど、好奇心よりも恐怖心の方が勝って、急いで家へ帰ったの。あの扉は本当になんだったのかしら。明日学校で、木古内君に訊いてみましょう。


私、森陽菜は学校へ行くのが憂鬱です。それは何故かと言うと、私をイジメから救ってくれた唯一の友人、結衣ちゃんが死んでしまったかです。高校生になってもイジメって本当にあるんです。今回は、私が標的にされてしまって・・・。まあ、私がトロくて人をイラつかせてしまうのが悪いのです。全部、全部私が悪いのです。そんな私を周りの人達は、あの子のお陰で助かったと言う目と哀れみの目で見るだけで何もしてくれませんでした。でも、クラスが変わって結衣ちゃんと同じクラスになって、結衣ちゃんが私に手を差し伸べてくれて、ようやく私へのイジメは終わりました。でもそれは完全に終わった訳ではなくて、休戦中なだけなのです。だから、結衣ちゃんがいなくなったこの学校で何が始まるかというと、まあ、私へのイジメですよね。分かってます。全部私が悪いのです。

と、少し前までの私は思っていました。でも現実は、結衣ちゃんの幼馴染である木古内君が自殺を繰り返す、所謂自殺願望者と言うやつなのでしょうか。とにかく、木古内君が結衣ちゃんが死んでしまったせいで狂ってしまった。と言う事で学校中がもちきりで、私へのイジメなどは全くありませんでした。むしろ、仲の良い結衣ちゃんが死んでしまって大丈夫?と、前よりも話しかけられるようになったのです。

木古内くんが自殺願望者だと陰でこそこそ言う人達がいます。陰で木古内君の事を、同情と哀れみの目で見るのです。哀れみの目がどんなに不愉快か私は知っています。だから、結衣ちゃんが死んでしまった今、私が木古内君を励まさなければいけません。結衣ちゃん以外とはあまり話しのしない木古内君ですが、こちらから話しかければきっと応じてくれるはず。大丈夫。落ち着いて深呼吸して・・・。

「あ、あの、木古内君、あんまり皆の言う事気にしちゃダメ、だよ?元気だしてね。」

少しどもってしまいましたが、何とか言う事ができました。任務完了です。木古内君は「ああ・・・。」とだけ言うと、何処かへいってしまいましたが、多分大丈夫でしょう。結衣ちゃんの代わり、なれたでしょうか?これからも頑張らないと・・・。

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