表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/41

松前神社

「世界を変えてみないか?」

男は、僕にそう言って来た。世界を変えるだなんて馬鹿馬鹿しい。そんな事有り得る訳がない。でも、もし、もしそれが本当なら?こんな結衣のいない壊れた世界を治す事ができるのか?

そうだ。僕が死ぬのではなく僕が世界を正せばいいんだ。そうすれば結衣は、結衣は助かる。結衣の声をまた聴ける。結衣の顔をまた見れる。結衣の、結衣の全てをまた見聞きする事が出来る。

「どうやら、決心ついたようだな。よし!今日からアンタと俺は同じ世界を変える者として仲間だぜ。俺の名前は福島颯太(ふくしまそうた)だ。よろしくな、蓮!」

颯太はそう言うと僕に握手を求めてきた。仕方なく僕はそれに応じてやった。嫌な表情が読み取れたであろうが、颯太は笑顔だった。


僕は今、松前神社(まつまえじんじゃ)に来ている。詳しく言うと、松前神社の裏を少し進んだ所にある小さな社のような所へ来ている。颯太が「少し蓮に見せたい物がある」と言うからわざわざここまできたんだ。それなのに、颯太はさっきから時計をチラチラと見ているだけで何も見せてこない。

「なあ、本当に僕に何か見せたいんだろうな?」

僕は家に帰りたい気持ちを思いっきり言葉に乗せて言った。それなのに颯太は「まあ、もう少し待てって。せっかちは女に嫌われるぞ。」と言って、またもや時計を見るばかり。そんなに時間を気にして一体なんなんだ。

うんざりして、もう帰ろうかと思っていた時だった。

「来るぞッ!あの小さな社を見てろッ!」

颯太がいきなり大きな声を出した。僕は驚いて、颯太の言う通りに社を見た。そして驚愕した。社の姿が見る見るうちに変わっていく。紫色に薄暗く光りながら、最終的には扉になった。

「な、なんなんだよこれ、颯太は何か知ってるのか!?」

僕は焦りながら颯太に訊いた。さっき見たアレは、この世の物とは思えなかった。社が扉に変化するなんて聞いたことがない。

「この扉をくぐると、過去に戻れるんだよ。俺が、実際に試してみたから間違いないさ。」


あの後僕は、颯太に過去に戻るに当たっての注意点を教えてもらった。

・扉は午前と午後の4時にしか姿を現さない。

・過去に戻る時はその時の事を心にはっきりとしておかないとちゃんと飛べない。

・誰にでも扉が見れる訳じゃない。

颯太は過去へ行って、母親が死ぬ未来を変えたらしい。この力を使えば、きっと結衣が死んでしまったこの世界も変えられる。いや、きっとじゃない。絶対に変えて見せるんだ。結衣は僕が必ず助ける。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ