三話 二人
俺達は一気に校門を飛び出た。香菜はもちろん、俺も非常に疲れて、肩で息をしている。
「はぁ、はぁ、一体、何なの?」
まあ一般人の反応だろうな。目の前であんな殺し合いを見せられたんだからな。
「まあ、さっきは信じてもらえなかったと思うけど、今のを見ただろ。あれが俺の言った話だ。」
もちろん驚愕の目だ。まずこの世に化け物がいる時点で有り得ないだろうし、自分がそれと戦い、殺したんだからな。
「あなた……毎日これを?」
香菜の質問に対し、俺は無言で頷いた。
さっきから色々言ってるが、俺だって分からないことだらけだ。香菜がなんでここに来たのか分からないし、長い間戦ってきたけど、なんでこんなことをするのか分からないし。魔物の言葉でも分からないと無駄だが。
「あ、あの! …助けてくれて、ありがとう…」
「いや、助けたって程じゃないし、俺も香菜に助けられたし、お互い様だよ。」
その後、無言の時間が続いた。
「結局あれから何も言わず帰ってきたな…。」
あの後。結局俺は何も話せず、肌寒くなってきたので渋々帰ってきた。長い間一人だったので異性、というか、人と話す事に慣れてないのかもしれないな。
明日は休日だ。特に出かける予定もないし、家でゴロゴロしてるのがいつもだ。何をしようか。そう考えている内に目蓋が閉じた。
翌朝。俺を起こしたのは愛用の目覚まし時計ではなく、チャイム音だった。親は化け物が現れてから家どころか、部屋からも出ないので俺が出るしかない。仕方なく、俺は寝ぼけ眼でドアを開けた。
「あの……琉さんですよね…?」
いたのは、香菜だった。
「なんで家の場所が分かったんだ?」
「家の場所は昨日、あの後の時間を使って探しましたよ。」
「じゃあなんでここに?」
当然、それが気になる。「琉さんの事が好きだから」とか絶対ないだろうし、うわ、自分で自分が虚しくなってきた。
「それはもちろん、今日の事、詳しく聞いとこうと思って。あの化け物の事とか、琉さんが何故あそこにいたのか。」
あー、そう来ましたか。
「……という訳。」
俺は短く説明を済ました。さすがにこんなイカれた話、聞いてもすぐに納得でしる筈もないだろうし、とりあえずはこれでよしとするか。
「いまいち信じられませんが、事実でしたからね……それで、私はこれからどうすればいいのでしょうか?」
「うーん、この学校に来たってことは、俺と同じように、毎日戦うしかないと思うけど…」
これからどうなるのかは、俺にも分からないけど、二人なら一人より断然良いだろう。
「分かりました。私、頑張りますから。」
俺の戦いは、俺達の戦いに変わっていった。




