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prologue 鳴子さんは、右利き上手 1

現在書き続けるかどうかの小説を選別中です。途中でぷつりと音信不通、といったようなことがあるかもしれないので御容赦ください。

 

 昨夜、桜舞子さんがおなくなりになりました……。


 桜舞子さんというのは……お隣りに住んでいる優しいお母さんの名前だ。いつも柔らかな笑顔をふりまき手作りお菓子を焼いてくれるお母さんの、名前だ。お母さんといっても僕のお母さんではない、鳴子のお母さんである。めいちゃんと呼んで久しい僕のお隣りさん、今日はどこかさみしそう。晴天の空の下、暗天を目にしたかのようなふさぎ込みよう。僕は紙飛行機を飛ばした。この時、僕は七歳だった……。


 めいちゃんのお家に上がり込んだ。物足りないさみしさが閑散とした空気の中、しんと口を詰むんでいる。めいちゃんと同じ。あるのはなにひとつ変わらない日常の一時。僕はいつものように居間の奥へと案内される。めいちゃんが呟く、「今日はお母さん、いないんだ……」。僕は腕に抱えこんだ画用紙に大きく、お日様を描いた。「元気出して」、そう僕は伝えたかった。


 夕暮れに朱く太陽が色付く。めいちゃんの目には映っていない。僕は居間の敷戸を開け放った。すずしげな風が入り込んでくる。涙を一雫、めいちゃんは零した。煤けた雲が太陽に滲む。明日は三人で笑えるかな、そんな思いに烏は答えた。


 めいちゃんは元気になった。庭で一緒に遊んでいると、空っぽになった三角屋根を見つけた。赤くて白いのが特徴だ。でも今日は少し変、赤色が縁をはみ出している。

「シロはね、ここにはいないよ」

 めいちゃんは言う。

「めいにはね、あっくんがいるの。でもお母さんはひとりぼっち。だからシロを連れていってあげたんだ」

 めいちゃんは無邪気だ。両手を上げると、空いっぱいにひろげて駆け回る。

「お空にお手てが届きそう……」


―――今日はいいお天気だね―――


 そして僕は15歳になった。



     prologue 鳴子さんは右利き上手



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