白い監獄2
「昨日、西野で『神様、ワタシニオメグミヲクダサイー』だかなんだか言った後に後ろを向いて『ギャァァァァァァァァァァァァァ』と叫んだ近所迷惑極まりない輩が出没したらしいよ」
私が白衣を着ていると、老医者(先輩とゆうか先生)が突然言った。
読者諸君驚く無かれ、私はなんと医大に勤めている医者なのだ。
「何ですか、その気狂いは。しかも西野って・・・・俺の家の付近じゃないですか」
「そうなんだよねぇ」
「そんな気狂いが近所に住んでいるなんて地獄じゃないですか」
「そうだよねぇ、うん」
「引越しでもしようかな・・・・」
「そうするといい。そうだな、位置的にこの病院の精神科に住むといい」
「なんですか、それ。俺は気狂いじゃありませんよ」
「とある国に、矛と盾を売る商人がいたのだ。その商人は『俺の矛はなんでも貫ける』、『俺の盾はこの世で何にも貫かれない』と言ったそうだ」
・・・・孔子?
「そして見物客が核心的で絶望的なことを言ったのだ」
「えーと、たしか・・・・」
「『その矛でその盾を貫いたらどうなるんだ?』と。」
「ほうほう」
「商人は何も言えなかった。ズバリ、これが矛盾だ。『盾』と『矛』。よく出来た言葉だ」
「仰るとおり」
「それだけ」
「はあ」
・・・・・?
結局何を言いたかったんだ?
「結論をドウゾ」
「君は商人だな」
「・・・・・はあ」
いまいち、『なにを言いたいのだろう』。
「まぁ、ここでこの話は終わりにしよう」
「先生から始めたんじゃないですが」
「いいや、君だね」
「・・・・・?」
もはや、何を言ってるのか分からん。
「そいえば、最近精神科におかしな客が来るそうだ」
「ほう」
「『妖怪を見た』ってね」
「・・・・・・・」
・・・・・・・妖怪。
深夜、鳥、鋏、矛盾、自虐。
ここで、私の頭の中で何かが繋がった。
実は繋がらないで欲しかった。
その気狂い俺じゃねぇか。
と、そんなことより、
「先生、私昨日の夜妖怪らしきものを・・・・」
「すごい精神の持ち主だ。『妖怪を見た』なんて他人の前では恥ずかしくて言えないだろう」
「ですよね!!!」
私は拳を握り締めた。
正論である。