『夢』と『希望』はテイクアウト
私は『運命』と書かれたゴミ箱に今まで守り愛してきた『夢』と『誇り』を捨てた。
理不尽に、ぶっきらぼうにしか私は彼女にこの好意を渡す事が出来ないだろう。
そんな理不尽な男が『夢』を背中に隠して彼女の前に立ちはだかる事など言語道断。
私は理不尽に、またなおさら不器用に彼女の返事を急がせる事になるだろう。
そんな理不尽な男が『誇り』を隠して彼女の前に立てるか。
そして私は朝の七時、北大の医学部の前に立った。
否、今日が最初で最後の私の男の意地の見せ所。
「私は何時間でも待ちますぞ!」
そうして私は、悪鬼の形相で北大医学部の不動明王となったのだ。
なったのだ。
なったのだが。
なったのだけれども。
なったんだけど。
一応、人間だし。
外雪降ってるし。
腹も減ったし。
「・・・・・」
はたして不動明王がどこに立っていたのか、また何年経っていたのかは知らないが。
私はおよそ七時間でそこに立つのをやめたわけである。
つか七時間飲まず食わずの便通を我慢しきった私はノーベル賞を貰ってもいいのではないか。
「・・・・・・とりあえず腹ごしらえ」
私はとりあえず暇つぶしにと大通りのマックへ向かい、テリヤキバーガー各種セットを頼んだ。
「つか平日だからか席空いてるな・・・・・」
七時間立ちっぱなしだった私にはありがたい。
『七時間』『七時間』と五月蝿いという方、そこに飲まず食わずで便通を我慢して七時間ほど立ってくれたまえ。
「・・・・・まぁ、どうでもいいが」
私はモグモグとテリヤキバーガーを口に運んだ。
うむ、中々美味い。
しかし飽きそうな味だ。
今なら百個くらい食えそうだが。
「それでさー、〇〇でさぁ」
私がふと耳を澄ましてみると、マックのショウウィンドウからそんなカップルの会話が聞こえてきた。
「・・・・・・ガラスの意味が無いじゃないか」
つかまだ学校が終わってないだろうに。
サボっちゃいけんよ、チミ達。
「・・・・・俺もだが」
そんな風にガラス越しの声を聞いていると。
「・・・・・!!」
『彼女』の声だ!
私は飲んでいたコーヒーをそこに残し、店内から出た。
「あ、あの・・・・・・」
しかし、私はそこに居た彼女に何も言えなかった。
それはそこに居た場合の彼女を愛しているべき人間の取るべき行動において最も適していると思われた。
彼女の隣には男が居たのだ。