7/30~8/5
ベッタベタ青春小説です
展開は皆無
7/30
部活動の起源を知っているか。
あれはもともとは放課後体力の有り余る思春期の学生が、非行に走るのを防ぐため、つまり、ヘトヘトで家に帰すために考案されたものなんだ。
それに基づくと僕はどうだろう。万年運動不足、体力なんて中三のお前にも劣る、こんな非力系ニートボーイの僕に四限目以降の活動が必要だと思うか?
「…長々と語ってくれたけど、要は運動したくない言い訳だよね全部。そんなだからモテないんだよ。もっと筋肉つけなよ。」
衝動的に殴り飛ばしたい気分になったが、理性で抑える。まだその時ではない。
7歳も年の離れた妹に暴力でも振るおうものなら、本格的に僕の家での家庭内順位は最下層に堕ちてしまう。まだ金魚には勝っていたいものである。
7/31
今日は妹が柄にもなく焼き菓子を造っていた。見た目はかなりよいと言える。インスタントラーメンが得意料理の僕が言うのはお門違いかもしれないが、店で売っていたら10枚につき500は出せるクオリティだ。ふと疑問に思って、
これって誰かにあげたりする用のやつか?
と問うと、
「そうそう、友達にね」
そのあと妹が、妙に丁寧にラッピングを始めたので、僕は黙って部屋に戻った。
8/1
朝は、やけに小奇麗な恰好で出かけた妹に訝しげな目を向けつつ、日課である読書に精を出した。書籍のジャンルがジャンルなので、慣用句的表現じゃないところが少し悲しい。
昼は、クッソ暇だったのでゲーセンへ。馬鹿みたいにうるさい台の音に嫌気が差すのが半分、少々の鼻歌や独り言もここでは搔き消されるので気分が楽というのがもう半分。
夜、チャーハンを二人分炒めていると「今日は友達の家泊まるから晩御飯いらない」という旨のLINEの通知。
深夜、配信画面を眺めながら倍盛りチャーハンを食べる。いつもより食べるペースが遅いのはやはり量のせいだろうか。
8/2
駅にて朝帰り系アクティブガールを回収。家に帰宅。普段より良いシャンプーの匂いがかすかに香る。昨日のチャーハンが逆流しそうになるのはやはり量のせいだろうか。多分妹は何も聞かれたくないと思うので、僕も何も言わない。小さな気遣いができるナイスガイを誰か褒めてやってほしい。このままでは夏休みが終わるころにはストレスで枯れ木のようになってしまう。
8/3
夏休みも後半に差し掛かったこの日、妹のスマホが鳴った。僕のスマホは公式ラインとソシャゲからの通知しかねえのに、こいつの端末からは血の通った人間の匂いがした。そこで、風呂にいる隙にロック画面を覗いてみた。妹のスマホの中には、僕の知らない種類の人間関係がぎっしり詰まっていた。 僕はそっとスマホを所定の場所に戻し、部屋に戻った。
希死念慮という言葉の意味がわかった気がする。
8/4
最近兄の私に対する態度が変わったような気がする。具体的には、いじり?というかマウントを取られることが減ったような。この前も、朝帰りは絶対に何か言われると覚悟してたのに何も言ってこなかったし。別に害がある訳でもないからいいけど。むしろ過ごしやすくなってるとさえ言える。でも、なにか落ち着かない。
8/5
何かあった?と晩御飯の時に聞いてみた。すると、
「お前だよ」
はてなを浮かべる私をよそに、さっさと食べて部屋に戻ってしまった。言葉足らずなのは悪いことだとこの前説教してきたくせに当の本人はそれかよ。なんか最近空気悪い?
8/6
「おはよー、あ、おそようだね。朝ごはん作ろうか?」
今日は友達と出かけるからパスで。
「あそう」
実際は夏休みに入ってから友人からの連絡などビタ一文もない。しかし最近、妹のほうがよっぽど人間らしい生活をしている気がする。ここら辺で名誉挽回といこう。
妹は今日も用があるとかで午前中にはもう家にいない。さて、朝御飯はいいとして、昼飯はどこで食おうか。近所にラーメン屋があるが、今日は気分を変えて隣町へ行こう。ついでにあのデカい書店も覗いていこう。
真夏のカンカン照りの下でヘトヘトになりながら歩いてると、見知った顔(今朝も見た)を見つけた。向こうは僕に気づいていないようだ。好都合。
結論から言うと、彼女は僕よりも10センチくらい背の高い男性と腕組みをして仲睦まじく歩いていた。家では見せない種類の表情。てかあんな服持ってたっけ。僕はというと、脇道に逃げ込み深呼吸をして、素数を数えて心を鎮めるのに忙しかった。
夜、妹帰宅。
「ただいま。」
あ、おかえり。早かったな。
「あ、そうかな、それより、どこ行ってたの?今日」
え?あぁ…いや、カラオケ。駅前にできたとこ。
「へぇ、お兄ちゃん普段なにうたうの?」
…サウダージとかかな
「誰と?」
言ってもわかんないだろ
「たしかに」
…サークルの後輩だよ
「へぇ」
お風呂お湯入ってるから先入ってて
「あっうん」
…聞いてもいいのだろうか




