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朝起きたら全身タイツの世界  作者: まとら 魔術


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8/13

ACT.7

 

「今夜、決行するぞ……“布心霊探検”!!」


 放課後の教室に響く、謎の宣言。

 声の主はもちろんみな。

 あやかの親友で、テンション担当。

 ゼンタイウォークラリーのときも、水泳授業でも、いつだって先頭に立っていた彼女が――今度は肝試しを仕掛けてきた。


「この学校には、**“旧家庭科室に現れる白布の霊”**の噂があるのですっ!」

「ちょ、名前からして“布”じゃん! タイツ霊じゃん!!」

「そうなのよあやか、タイツ世界にも幽霊がいるの。布に取り憑かれた、ぴたぴた怨霊……!」


 そしてその夜。

 真っ暗な校舎に忍び込んだのは、全身ぴたぴたに包まれた4人の女子。


 ・あやか(白タイツ・ビビり)

 ・みな(赤タイツ・主犯)

 ・のぞみ(黒タイツ・無表情)

 ・さや(青タイツ・絶叫担当)


 もちろん全員、全身タイツのまま。

 懐中電灯だけを手に、布の足音だけが響く静まり返った廊下を進む――。


 旧校舎・家庭科室前にて


「あれが……例の部屋……?」

「そう……“白布の霊”が現れる場所……」

「ふ、普通の家庭科室にしか見えないんだけど……」

「違うのよ、昼はただの部屋でも……夜になると、布が息をするの……」


 ガラ……(ドアが開く音)


 真っ暗な部屋。ミシンの影。

 吊されたエプロン。カーテンが風に揺れている。

 そして――


「……ちょっと待って。ミシンの上に……布、浮いてない……?」

「うそ……白い布……本当に……」


 ピクリ、と風もないのにひとりでに動くそれ。

 全員のタイツ越しの肌が一斉に粟立つ。


「に、逃げ――」


 バサァァァァァァ!!


 白布が一気に飛び上がったッ!

 いや、舞い上がった!


「キャアアアアアアアアアアア!!!」

「布きたあああああ!!」

「し、しがみつくな! 布にしがみつくなぁ!!」

「ぴたぴた感が……やば……っ!密着しすぎて動けないぃぃぃ!!」


 全員タイツ、布の霊も布、布×布の地獄みたいな抱擁が始まった!!


 そして5分後


 ぺた……ぺた……ぴた……ぴた……。

 白布の霊は、なんと喋った。


「……あの……ご一緒にタイツ、作りませんか……?」


「え?」「え?」「え?」


 実はこの“霊”、布に宿った家庭科の先生の魂だった。


 曰く――

「私はこの学校の“布文化”を極めた者……

 でも、ゼンタイに時代が移った頃、取り残されてしまって……

 “忘れられたミシン”に心を残して、布と一体になったの……」


 ぴたぴた。


 あやかはふと手を差し出した。

 その手はタイツ越しで、白布の霊と静かに重なった。


「……一緒に、作りましょう。布の未来を」


 翌日、家庭科室には


 昨日まで使われていなかった旧家庭科室に――

 今日から布の教室が再開された。


 先生(布)は今もそこにいる。

 姿はないけど、白布がいつも棚の上でふわふわ揺れていて、

 ミシンが時折「カタカタ」と動く。


 タイツ姿の生徒たちは、その教室で布の技術を学ぶ。

 全身ぴたぴたのまま、心まで布で繋がって。


「……幽霊だったけど、すごく優しい先生だったね」

「うん。怖かったけど……ぴたぴただった……」

「布は生きてるんだなあって、あらためて思ったよ」

「ねぇ、次はさ……夏のゼンタイ合宿とかやらない?」


 夏の終わり――。

 セミの声も遠のき、校舎に涼しい風が吹き抜ける頃。

 全校集会で発表されたその言葉に、校内は大・騒・ぎ!


【緊急告知】

 全国選抜・布装学園対抗戦――

『TAI-1 GRAND PRIX』開催決定!

 タイツに命をかける名門校たちが集う、年に一度の祭典!

 常葉女子高等学校は今年、初出場!


「まじでぇぇぇぇぇ!!」

「ついに全国デビュー!? 私たちのぴたぴた、見せつける時来た!?」


 タイツ学校の名門たちが集い、

 運動・表現・知識・布圧美学などでしのぎを削る、全タイツ生徒憧れの祭典。


 選ばれし代表選手たちは、全国の布学園から選抜される――

 その名も、「布戦士ピタリスト」。


 もちろん、常葉女子高からも代表が選ばれた!


 ・白布の閃光・あやか(身体表現/布美演技部門)

 ・紅の旋風・みな(タイツバトル競技部門)

 ・漆黒の狙撃者・のぞみ(布装知能戦部門)

 ・蒼の柔流・さや(タイツ水中戦部門)


 選ばれし4人の“タイツ四天王”が、

 全国の布学園に挑む!


 会場:国立・布の殿堂スタジアム「TIGHT☆DOME」


 天井まで布。

 観客席も布。

 マイクカバーも布。

 アナウンサーのスーツも布。

 ※もちろん観客全員、全身タイツ義務。


 開会式は布国歌の斉唱で始まる。


「ぴたぁぁ〜♪ ぴたぴたぴたぁぁぁ〜〜〜〜♪」

(※全員、タイツ越しに歌うため音が少しこもる)


 第一種目:タイツバトル競技「ピタレスリング」


 全国最強の“布バトラー”がぶつかり合うリング上!


 みな vs 南雲アズサ(東日本布技高等学園)


「ふふっ……あんたのタイツ、見た目だけでしょ?」

「やってみなよ……ぴたぴたの“赤”の力、思い知らせてあげる!」


 布と布が激突し、摩擦と滑りと張力のせめぎ合い。

 スライディングからのタイツホールド、グリップ捻りに布空中回転技まで繰り出される、ぴったぴた総合格闘戦!


「勝者っ! 紅の旋風、みなあぁぁぁぁ!!」


 第二種目:タイツ美表現競技「布舞」


 布のしなやかさと身体の一体感を競う、美の祭典。

 あやかは純白ゼンタイで登場。


 スポットライトが当たる中、彼女の動きに合わせて布が流れるように揺れ――

 まるで布が意思を持って舞っているようだった。


 一瞬の静止。呼吸の波。

 観客全員、タイツ越しに鳥肌。


「……ぴたぴたの神が……降りた……」

 審査員のタイツ眼鏡が濡れた(感動の涙)。


 第三種目:タイツ知識戦「布脳バトル」


 のぞみ vs 西の頭脳・三隈レイカ(布聖高)


 布圧単位、布密度計算、繊維心理学、ゼンタイ史、

 果ては「風速5mで最も映える布色は?」という謎設問まで!


 のぞみは一言。

「黒、光を吸う。背景が風に揺れるなら、静けさを見せるための影を選ぶべき」


 観客「はええぇぇ……」「布って深ぇぇ……」


 第四種目:水中布技演舞「アクアぴたシンクロ」


 タイツ水着でシンクロ競技。

 蒼ゼンタイのさや、完璧な水流布コントロールで銀メダル獲得!


 そして――エンディング


 チーム成績、常葉女子高は……全国第2位!


 あと一歩届かなかったけれど、

 全校放送で名前が呼ばれた時、

 校内は“ぴたぴた足踏み音”で震えた。


「……悔しいけど、楽しかったね」

「うん。また出たいね、来年も」

「タイツの底力、全国に見せつけてやったよ……!」


 その夜、帰りの新幹線の中――

 制服タイツに着替え直したあやかたちは、

 膝に伝わる布の感触に、ふと微笑んだ。


「……ねぇ、今さらだけどさ。私たち……」

「うん?」

「どんだけタイツ好きになっちゃってんの……?」

「それな……♡」

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