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「レオ君!!」
綾香は、怜生を抱きしめた。
怜生の心に花が咲いた…
あの闇に咲く花。
「レオ君…」
綾香は、怜生に口付けた。
怜生は、右目から一筋の涙を流した。声も上げずに。
「何かあったんだね。でも、私…傍にいるよ。」
怜生を抱きしめながら綾香が言った。
その時も空には飛行機が飛んでいた。
いきなり綾香が、真梨の話を始めた。無神経なのか、考えの上か…
「真梨さん、最近たまにため息つくんだ。前はそんな姿見たことなかった。」
何故そんなに頻繁に母に遭遇するのか謎だが、怜生は耳を傾けていた。
「真梨さんは、レオ君のこともサクラ君のことも…もちろんヒナちゃんのことも話してくれたよ。私がしつこく訊いちゃうからかもしれないけど…前の旦那さんの話はNGもらったけど…真梨さん、優しく答えてくれて、そしてレオ君は、同じ学校だし。運命かな。」
ため息に何が関係あるのか、引っかかりを感じる怜生。綾香は言った。
「レオ君たちの話をしてると楽しそうに優しそうな母の顔で話すし、ため息なんて聞いたことなかった。
どうしちゃったんだろう。」
決定的な言葉を綾香は言う。
「やっぱり、あの男が原因かな? そう思わない? レオ君…」
無神経なのか、お節介なのか…怜生は何処にも向けれない感情を、顰めた笑顔で濁した。