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俺は男だ…
怜生は男だ。綾香の太ももはオアシスだ。
だからか、花がチラつく。
光り輝く花が見える。
見えているのか、魅いているのか…
怜生の見る夢は、いつも、闇に浮かぶ蓮のような花。
蓮なのか、水気も感じるんだが。まだよくわからない。
「レオ君、お母さん様子どお?」小首を傾げ、かわいい顔で訊いてくる。
「どう?と、言われましても…」仰ぐ様に空を見た。
見たくないものが、眼に入る。
伏せたはずのケータイの親父の名前が、頭を過ぎった。
本当に世間は狭いのかもしれない。
空に見たものは、鳥ではないが。
大昔の人は、鳥というかもしれない。
言わずもがな、それは飛行機なのだけれど。