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第6話 魔王軍登場!

「ならば勇者。次は正式な試練を受けてもらう。王都郊外の古代ダンジョン――“封印の祠”へ向かいなさい」


「ダンジョン!?」私とリオが同時に叫んだ。


「そこには、魔王を討つために必要とされる古の聖具が眠っている。真の勇者であるなら、それを手に入れてきなさい」


兵士たちの間にざわめきが走る。

私は慌ててリオの袖を引いた。


「やばいよリオ! これ絶好のチャンス!」

「いや、そもそも俺は勇者じゃない!」

「代理だから大丈夫!」

「その理屈やめろ!」


王女は感情を見せないまま命じた。


「三日の猶予を与える。準備を整え、封印の祠へ挑みなさい」


王城を後にし、用意された宿に戻る。

リオはベッドに倒れ込み、私は椅子に腰を下ろしてウィンドウを呼び出した。


【女神ポイント:91/100】

【警告:未登録の干渉 強制記録済】


赤文字がじわじわと残っている。

触れると指先に冷たい感覚が走り、背筋が凍る。


(……あれ、やっぱり神界の監視じゃない。もっと……別の、黒い何か)


窓の外、月を仰ぐと胸が締め付けられるようだった。

その時、かすかに声が聞こえた気がする。

――オマエヲ、ミツケタ。


ぞっとして振り返るが、部屋にはリオの寝息しかない。

幻聴だと思いたかった。


三日後。

私とリオは王城から派遣された小隊と共に、王都郊外の森を抜けて封印の祠へ向かった。

苔むした石造りの階段、口を開ける洞窟のような入口。

冷気が漂い、内部からはどこか禍々しい気配が漏れている。


「なぁ……本当にここに聖具なんてあるのか?」


リオが剣を握りながら愚痴る。


「あるある! 私があると言えば絶対ある!」

「お前、何の根拠で言ってんだ!」


兵士たちは松明を掲げて奥へと進む。

石畳には古代文字のような紋様が刻まれ、壁には壊れた石像が並んでいた。

私はその模様をなぞりながら顔をしかめる。


「これ……封印の術式。でも誰かがわざと壊した跡がある」

「誰かって……自然に壊れたって事は無いのか?」

「封印の術式が自然に壊れたら封印の意味がないじゃない!」

「た、確かに、じゃあいったい誰が何のために‥‥‥魔王軍か」


リオは剣を握り直した。肩が強張っている。私は小声で言う。


「怖い?」

「怖いに決まってる。俺は村人だ」

「勇者だよ。代理だけど」

「その但し書きが一番怖い」


長い回廊を抜けると広間に出た。

中央には円形の台座があり、その上に古びた石の箱が鎮座している。

兵士の一人が思わず息を呑んだ。


「これが……聖具なのか」

「じゃ、これをもって帰ればいいのか」


私はすぐに首を横に振った。


「まだ封印が生きてる。箱の周りに棘みたいな術が張られてる」

「触ったらどうなる」

「死ぬ」

「物騒な封印だな!」


その時だった。

低い金属音が響き、広間の奥から黒い甲冑の巨体が姿を現した。

兵士が叫ぶ。


「まさか……魔王軍!」


赤い瞳が暗闇で光り、長い槍が床を突くたびに石が砕ける。

黒い甲冑は地鳴りのようだった。


「勇者……そして女神。主は既にお前たちの行動を把握している」


耳の奥であの警告がまた響いた。


【未登録の干渉を検知】

私は奥歯を噛む。

(やっぱり……魔王が見てたんだ……!)


「お前たちが聖具を手に入れる前に、魔王軍幹部が一人、ザラグがほおむってやる!」


リオが剣を構え、小声で私に囁いた。


「おい、無理だろ。幹部なんて勝てる相手じゃねえ!」

「大丈夫!私がいるから!」

「お前が一番不安の種なんだよ!」


魔王軍幹部は槍を横に薙いだ。風圧だけで兵士たちが数歩下がる。


兵士が一人突撃したが、一瞬で弾き飛ばされ壁に叩きつけられた。

リオの顔が蒼白になる。


「おいおい……無理無理無理!」

「代理勇者なんだから気合いでいける!」

「代理って便利な言葉じゃねえぞ!」


私は小さく光を練り、リオの剣へと触れた。


「これでちょっとだけ軽くしたよ」

「また勝手にやって!ポイントがもったいないだろ!」

「でも死ぬよりマシでしょ!」


幹部が槍を振り下ろす。

リオは必死に受け止め、床に膝を沈ませながら叫んだ。


「くそっ……重すぎる!」

「リオ!耐えて!聖具がここにある限り、負けられない!」


幹部は低く笑った。


「女神よ。主はお前の奇跡に興味を抱いている。お前の奇跡の記録はすべて主の手に渡る」


再び耳の奥で赤い警告が鳴る。


【未登録の干渉を検知】


私は震える唇を噛み、リオと幹部の間に立った。


「見られてるなら上等!私たちは勇者と女神だもの!絶対ここで突破する!」


幹部の槍先が再び煌めき、床を割る轟音が響いた。

リオは剣を構え直し、汗に濡れた顔で叫ぶ。


「やるしかないってことか……!」


光と闇が広間でぶつかり合い、封印の祠が揺れた。

読んでくださって感謝です!


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