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第15話:選択の槍
地上に戻ると、ナディアの部隊が“砂の霧”との全面戦争を開始していた。
ナディアは、自らを囮にして敵の中枢に突撃しようとしていた。
「この命、民のためなら惜しくない」
だが、リュミエールがそれを止める。
「命を賭ける覚悟があっても、失っていい理由にはならない」
レオンとユリオも戦いに加わり、連携で霧の核を破壊する。
砂に呑まれたはずの村々が、霧の消滅とともに姿を現し始めた。
ナディアはひとことだけつぶやいた。
「……あなたたちは“世界を背負う者”の顔をしている」
そして、彼女は「砂の鍵」を託す。
「いつかまた、あなたと戦場で――共に槍を並べられる日が来るなら」
リュミエールの目が、わずかに潤んだ。