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其の七 其の八

中国料理 (マジモンのやつ)の特有のあの匂い、八角の香りじゃないかと思います

 一人暮らしをするときに母から貰ったコンディショナーの匂いが本格中華の匂いを思い出させた。あ、そうそう。本当の中華ってこういう香りがするんだよねえ、とふと台湾に行った時のことを思い出した。

 そこで意気投合した女性がいた。彼女も日本人で、刀削麵を削る人を眺めて立ち止まっていたら、二人だけになって、会釈をした。

「あ、日本人の方ですか?」

「そうです。」涙太は言った。

「面白いよね。ラーメン食べたくなったのに意外とないからさ。」

受験を終えて春休み、唐突に香港に行きたくなり、なぜか何も努力なしに体が動いてしまって、こんなきれいな日本人の女性に出会ってしまうなんて運命としか思えない。というか、自分は惚れっぽいんだなあと振り返って気づいた。


彼女は荷物のあまり入っていないように見える白のリュックサックを背負い、くすんだベージュ色のオーバーサイズパーカーを着ていた。

すぐそばに座る場所があり、白のペンキで雑に塗られたプラスティックの机と椅子はほとんど埋まっていて中にはスマホをいじるだけの人や、電話したり大声で友達でしゃべっているだけの人もいたが、運よく一つ机が空いていたのでそこの白い席を見ていたら彼女が先に刀削麵を受け取り「謝謝。」と言って屋台を去っていった。

 店員が何か言ってから、すぐに自分の分も用意してくれた。

しばらくして、彼女とのことを冷かされたのだと気づいた。


急いで熱いプラスチックの椀を抱えて彼女のところに当たり前のように近づいてしまうと、座る場所がそこしかないことを彼女も分かって、「良かったら一緒に食べませんか。」と長いまつ毛でこちらを見て言った。

目を合わせるのを躊躇してしまうほどに綺麗な二重の瞳で、涙太は座ってから少し今度は流れる人を見つめていた。


「刀削麵、結構おいしいね。なんかホッとする。ここにきて一番おいしい料理これかも。」

中国語特有の大きな話し声がたくさん響いて、ガヤガヤとしているが、全員知らない人なので気にする必要がなく、逆に音の壁が気持ちよいというか、カラッとした湿気に少し楽観しながら会話をしていた。


「涙太君いつまでいるの?」

「明日で帰ります。」

「そっか。」


そういうと太い白い箸を持って「いただきます。」と言った。

透かしの入った前髪から見えるおでこが広くて、目が大きい。笑う時の頬のつやが、ずっとずっと頭の中で描いていた理想の女の子みたいで、あ、奇跡だ。なんかいま、現実じゃないみたい。明晰夢でもないよな、と、ふわふわ考え込んでいた。極彩色の総天然色。


「また日本でも会えるといいね。」

「会えますよ。」


どうした自分、何の確証もないことを言ってしまった。ほとんど願望であった。神に願う祈りのような言葉だった。


と、そう言うことがあったのが、はや数か月前。名前くらい聞いておけばよかった。と、頭を洗いながら思ったのであった。

ところで今度はリナ氏を見つけるとドキドキして、こちらの方がビビッドな感情を胸に焼き付けている。だからあれは何かの夢だったんじゃないかとも思う。でも、胸に痛いような爪痕が残っている。それは確かな幸福であり、その感情の上に、鮮やかな心模様が描かれているために、二人を切り離すことのできないものに思えてしまった。

  

 恋と憧れが、まだ不明瞭な年ごろだ。反対するのが親の役割。なんて言っている映画を見てしまった。最後まで見たけど、映画館の心地よさで。しばらくその言葉を反芻していた。

 帰り道は歩いた。郷愁と星と月と桜、感受性いっぱいになりました。さあ書きませう。


 書いているうちに、冒頭から書きたいことを書き終えると、次のシーンが思い浮かばなくて、それでもアウトプットはやめないで出した方がいいと思い、ただただ、書いた。これの何が面白いのかは分からない。ただ、小学生からパソコンがあったので、キーボードを打つのは直感的に言葉を乗せやすいので、指が動くのが面白い。はむ。

 

 一息つこうと思ったら、誰かが後ろにいるような気がした。

 それは気のせいだった。そして、もうすぐ電話が鳴る。そう思った。ならなかったら自分からかけよう。

 誰にかけるか、今の時間なら、天気予報がいいかな。もう遅いし。レイトショー楽しかったなぁ。

 電話はならなかった。明日は晴れるそうだ。


ちゃんと結末まで考えて小説書きたい。

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