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世界一可愛い君と家族生活(仮)をしてみた件。  作者: 瑠璃
第1章 世界一可愛い美少女
9/46

嬉しい成果

  はい。というわけでやってきました運動会。

 いやね、ホントにね、眩しいくらいの快晴ですよ。きっと日頃の行いがいいからですかね。


「どうした涼、そんなスッキリしたような顔して。まだ開会式終わったばっかだぞ」

「逆にスッキリしたような顔して悪いのかよ」

「いや、普段から死んだような顔してるから違和感があるというか」

「そりゃどうも」


 淡々と返すと流星は「なんだこいつ」と呟いて保護者席の方を見る。

 その視線の先には、流星の母親と弟が笑顔で手を振っている姿があった。


「お前、相変わらず愛されてるな」

「逆に家族に対して愛がない親がこの世にいんのか」

「……いや、羨ましい限りだよ」


 そう呟くと「ああ…」とどこか同情の混じった目で流星は俺を見た。


「そういえば颯太さんは?来れるって昨日メールで来たんだろ?」


 流星は敢えて家族のことを聞かなかった。

 流星はあのことを知っているし、それぐらい付き合いも長い。

 だからこそ、聞かなかった。


「おっちゃんは午後からくるってさ」

「お前もホント妙な縁に恵まれてるよな」

「ああ。おっちゃんには感謝しかないからな」


 だからこそ俺はあの人に少しでも恩返しがしたいし、できれば颯太の跡を継ぎたいとさえ思っている。そのために今は、できるだけ勉強に力を入れているのだから。

 俺は颯太への感謝を再び感じながら、とあるクラスのテントへ目を向ける。

 そのテントには俺の隣人であり、世界一可愛いという非公認称号を持つ少女、櫻井陽和がいる。

 ふと俺の視界に映ったのは、陽和とそれを取り囲んで談笑している女子たちの姿。


「あいつ、人気だな」


 俺のつぶやきに察したのか、流星もそちらへ視線を向けてにやりと笑った。


「あ、櫻井さんを取り囲んでる子たち全員、俺が出動させたカノジョ」

「おい」

 どうりで見たことのある子たちだなと思った。


 心なしか、陽和の表情が少々引きつっているような気がする……。


「あいつ、なんか迷惑そうだけど……」

「そりゃあの人、友達とかほとんどいないらしいからな」

「えっ、マジで?」

「マジマジ。大マジ」


 初耳だった。

 いや、あいつのことだから友達の二十、三十程度はいるかと思ってた。

 俺が驚きを隠さずに動揺していると、流星は面白そうにカラリと笑う。


「そんなに心配ならお前が話しかけてきたらどうだ。案外喜ぶかも」

「アホか。お前みたいなイケメンならともかく、俺みたいな地味系男子が話しかけても周りの男子から嫉妬の眼差しを食らうだけだぞ」

「いや、けど櫻井さんがこちらへ向かって助の眼差しを送ってきてる気がするんだよなあ」

「まあ……、それは自覚してる」


 先ほどから陽和がこちらに向かって「助けて」と視線で懇願してきているのをビリビリ感じている。

 ただ……、何というか……。


「……俺にあの女子たちの間に入る勇気はない……」


 こればっかりは陽和自身にどうにかしてもらうしかない。

 俺は諦念の意も込めてプイっとそっぽを向いた。


「ヘタレめ」

「なんか言ったか」


 流星にワントーン下がった声を送れば、流星は「いんや。何にも」と知らん風に笑った。


                   11


 午前中間頃、やっと運動会のプログラムは三分の一程度に進行していた。


『次に縦割りリレーを行います。出場する選手の方は指定されている場所へ移動してください』


 いよいよか……。

 俺が固唾を飲んでグラウンドを見ると、そこには陽和がいた。

 妙に顔がこわばっているあたり、それなりに緊張しているのだろう。

 陽和が一瞬こちらを見て俺と目が合う。俺は大丈夫だという意味合いを込めて微笑むと、陽和は顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。


「すずー。俺の雄姿もしっかり見ていてくれー」

「ごめーん。興味なーい」

「なっ!」


 うちからは流星が出ている。

 あんなだけど、一応バスケ部のエースだし、やるときはやるやつなので心配もへったくれもない。

 なので、今心配なのは陽和のほうである。

 大丈夫だ。昨日まであんなに一緒に頑張ったのだから何とかなるはず。

 自分にそう言い聞かせても、心配が俺の体中に渦巻くように蝕むので、案外緊張しているのはこちらの方なのかもしれない。


「位置について……」


 教員の人がスタートの合図を鳴らすべく、声を上げる。

 陽和は第一走者なので、スタートラインにクラウジングスタートの形で構えている。


「よーい……」


 パン!

 勢い良く鳴ったピストルの音に背中を押されるかの如く、陽和たちは走り出した。

 戦況としては、陽和がやや遅れているものの、圧倒的に遅いというわけでもない。むしろついていけていて、どんどんスピードを上げていく。

 そしてそのままカーブし…………よしっ、バトンは第二走者へとつながった。

 本当に俺が教えたことを忠実にこなし、見事この結果につながったのだ。

 帰ったらほめてやらないと……。

 最終的にはうちのクラスらが一位だったが、俺はそんなことはどうでもよかった。

 だって、あいつが一生懸命頑張って得た成果が俺にとって何よりも嬉しかったのだから。


『次に2百メートル競走が行われます。出場する選手は指定された場所へ移動してください』


 ふと入ったアナウンスに、俺は立ち上がる。

 俺はこの競技なのですぐに行かなくてはならない。

 さて、陽和が頑張ったんだし、俺も頑張らないと。

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