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世界一可愛い君と家族生活(仮)をしてみた件。  作者: 瑠璃
第1章 世界一可愛い美少女
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ブラコン妹参上!

目が覚めると、隣から甘い香りがした。

 ただ、嗅ぎなれていないにおいではない。

 俺はその香りが不思議でならなくて、隣のほうへと視線を向けた。

 そこには、黒髪を乱して俺の腕に抱き着いている少女の姿があった。緋色である。

 あ、そういえば……。

ー昨夜ー


『緋色君は退院したよ』


 電話越しに颯太は、耳に入れても痛くない低音を響かせた。


「あのなあ」


 退院したのならば早めに言って欲しい。

 こちとら誰かが家に不法侵入していると勘違いして、危うく衝動的に警察に通報しそうになったんだぞ。


『一週間前に行った緋色君の手術が成功してね。手術後の症状の再発の恐れも無いから退院させたんだ』

「話聞いてます?」


 今更ながら、楓太はたまに人の話を聞かない時がある。

 基本的には仏のような優しさを持つ人なのだが、都合の悪いことはたまに聞こえないふりをすることがあるので個人的にはそこをちゃんと直してほしいところだ。

「緋色が帰ってきたおかげで、こっちは家計をもう一度見直さなくちゃいけなくなった」

『けど、家の広さ的には問題ないだろう?』

「そりゃそうだけど……」


 俺の家は2LDKと、一人で住むには広すぎて、家族で住むには少々狭い。

 俺がうやむやに言葉を返すと、颯太は『じゃ、そゆことで~』と言って電話をきった。


「ちょっ!おい!おーーーい!」


ー現在ー


 そんなわけで、緋色が退院して一人暮らしから二人暮らしにジョブチェンジしたのだが、俺は今、どうしようかと途方に暮れている。

 理由は明白で、俺の腕に抱き着いている緋色をどう起こそうかと悩んでいたのだ。

 とりあえず、何もしないよりはマシなので、俺は緋色を起こすべく手を緋色の肩に伸ばした。


「緋色、起きろ。そもそもここで寝るな」


 緋色の肩を揺さぶり、覚醒へと導いていく。

 すると、緋色が「んぅ…」という悩まし気な声を漏らしながら青みがかった瞳を現した。


「おはよう。緋色」

「ん。」


 淡白な返事に微笑むと、緋色はへにゃりと瞳を歪ませた。


「おやすみ……」

「待て待て待て!もう朝だから!」


                     16


「おはよー」

「バカ野郎。もうこんにちはの時間帯だ」

「あはは……」


 結局、緋色が俺のベットから体を起こしたのは11時過ぎだった。

 何度も起こしに行ったものの、ことごとくが無駄に終わっているので陽和も「捨てちゃいましょうか」と、恐ろしい発想へと展開していった。

 緋色は苦笑している存在に気付くと、驚きの色に顔を染めると、口をはくはくさせて何か言いたげに陽和に指を向けた。


「お、お兄ちゃんに……」

「ん?」

「お兄ちゃんにカノジョがいるーーー!!」

「ちょっ!おまっ!そういう関係じゃねえよ、バカ野郎おおおお!」


 こいつ、邂逅一番に何言ってんだ!

 俺が緋色に向かって拳骨を一発かますと、緋色は「いった!」と言って反省の色もなく反撃してきた。

「病み上がりの女の子に手を上げるなんてサイテー!」

「お前が変なこと口走るからだろ!」


 緋色が必死に俺の頬をつねってくるので、俺も同じように緋色の頬をつねる。

………めっちゃ面白い顔になっているのは敢えて言わないでおく。


「……ぷっ」


 あ、口では言わなかったけど、感情は抑えきれませんでした。

 思わず吹き出すと、不服だったのか、緋色はつねっている手の力をさらに強くした。


「いででで」

「何か言うことは?」

「大変申し訳ありませんでした」

「よろしい」


 緋色はそう言うと手を放してソファに腰かけた。その隣には肩をプルプルさせている陽和がいる。

………おい、笑うな。


「陽和……」

「ご、ごめんなさい……ぷっ」

「言ってることと態度が真逆すぎだろ」

「だ、だって……あははは!」


 とうとう堪えられなくなったらしく、陽和は爆笑し始めた。


「お兄ちゃん、女の子とこんなに仲いいのに付き合ってないとか説得力なさすぎ」

「しょうがねえだろ。事実なんだから」


 俺が呟くようにそう言うと、緋色は呆れ気味にため息を一つついて爆笑している陽和に近づいた。


「えーと、陽和さん。お兄ちゃんのことどう思ってる?」

「ちょ……」


 何聞いてんだバカ野郎おおおおおおおおお!

 そんな叫びを内心で何とかとどめた。

 もしもここで叫んでしまうと、いくら昼とはいえ近所迷惑になるからだ。

 俺が内心で衝動を抑え込みながら行く末を見守っていると、陽和はちょっとだけほんのり、俺にしか分からないくらいの赤さを頬に宿した。


「そ、それはどういった意味で」

「うーん。ここは恋愛的にって言うべきなんだろうけど、ここに本人もいるから総合的に見てってことで」


 陽和は少しだけこちらをチラチラ見ながら、恥ずかしそうに口を開いた。


「……総合的に言えば、今のところは誰よりも信頼できる友人って思ってます」


 緋色が「だってさ」とニヤニヤしながらこちらを見てきたのでスルーしつつ、俺は昼飯を作るべく立ち上がった。


「ちょ、どこいくのさ」

「キッチン。昼飯作る」

「じゃ、私は手伝う」

「あ、私も」

「頼む。料理できない人たちは大人しく待っててくれ」

「は?なんで」


 俺はキッチン入口に貼っている『涼以外立ち入り禁止』という張り紙に指立てた。

 それに対して緋色はキョトンと目を丸くする。


「……ナニコレ」

「陽和がやらかした後に貼った張り紙だ」


 やらかしたというワードに心当たりがあるのか、緋色は大人しく引き下がり、陽和は不服そうにしながらも引き下がった。

 悪いが、これ以上は被害を受けたくないから大人しくしてくれ。

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