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ランタナ:兄の願い
夏の間巷を賑わした美人が
僕のもとに帰ってきた
兄妹だからという理由で
何人の男を恋に落として
そのうち何人がおまえの
甘い匂いを嗅いだのだろう
どれだけ傷ついてきたのか
僕は兄として
見守ることしかできない
お前は凜として佇み
愚痴ひとつ言わない
でも、傷ついている
それは実の妹だからこそわかるんだ
お前は今日も陽の当たらない部屋に
閉じこもって心を固く閉ざしている
今は少しの辛抱さ
立春が来てバレンタインが来たら
お日様の光は急に春めいて
お前はまた新芽を伸ばしてつぼみを付ける
きっとまた元気に美しく花開く
そのときが来るのを僕はそっと見守っているよ
だから元気を出しておくれ
そんな表情はお前には似合わない
いつだって勝ち気で美しくあってくれ
それが兄の素朴な願いだってことを
どうかわかっておくれ……




