2/37
秋薔薇:気高い弱さ
秋薔薇は瑞々しくて
眺めたいのか触れたいのか
持ち帰って独り占めしたいのか
わからなくなってしまう。
それが僕にとっての君……
君は何気ない様で周囲の全てを魅了して
美しい君は鋭い棘でその身を守る
それは誇り高く臆病な君に
許された唯一の手段
嗚呼、やはりきっと
僕は君に触れずにはいられない
たとえ棘がこの身を刺そうとも
君に触れて、君を手折って
全てを僕のものにしてしまいたい
だって僕は知っている
薔薇の花冠を両手で包むと
芯は艶やかに輝いても花びらは
頼りなく指にもたれ掛かるんだ
幾重にも厚い存在感を
僕に支えて欲しいかのように
僕だけに見せる君の弱さ……
きっと君は知っている
秋薔薇の美しさがゆえ
僕は君を愛すること
ずっと君を守ること