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サルビア≒セージ:秋の庭園
君と秋の庭園を訪れて
目につく花の名前を聞く
君の答えは
「サルビア、サルビア、それもサルビア」
僕は騙されないぞと「サルビアって小さくて赤くて、
花びらをつっと抜いて蜜を吸うヤツだろ?」
と言ってみる
「セージもローズマリーもサルビアだよ」
学術的にはね、と君の瞳が可笑しそうに笑う
ピンク、青、白、紫、赤、細長い花に囲まれて
君の瞳は赤や青に染まり
君の表情はくるくると変わる
君は学校の園芸部員
いつも植物に触れている
君の指が愛おしく植物に触れる
そんなふうに僕にも触れてくれないか
なんて馬鹿なことを考える
沁みとおる秋の陽ざしを浴びて君は
周囲の花に優しいまなざしを投げる
僕にも少しは、優しくしてくれよ……
そんな本音を飲み込んで
君と寄り添い歩く秋の庭園は
どこまでも穏やかに美しく……




