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金魚草：君が好き
初夏に優美に咲き誇った金魚草の
こぼれ種が道端に落ち
小学生みたいな四頭身で
また咲き始めた
君はあの頃僕にいじめられたって言うけど
それはちょっと違う
スカートをめくって僕が逃げると
真っ赤な顔で追いかけてくれるのが
ただ嬉しかったんだ
君は泣き虫でよく学校の裏庭で
ひとり泣いていたね
そんな君の後ろ姿は小さくて
どこか頼りなかった
そんな君を僕は独り占めしたかった
泣いてるときは手を繋いで
隣同士の家まで帰ったんだ
泣いてるより怒っているほうがいい
怒っているより笑ってくれたほうがいい
君の背丈を追い越した今でも
僕は君が
君のことだけが好きなんだ
