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のうぜんかずら:いつかきっと……
のうぜんかずらの花が終わって
君は車窓を見なくなった
スマホを眺めて首を折り
俯いてるのはどうして?
そんな君に僕は声をかけられず
ただ君をそっと見つめる
君のまなざし
君のくちびる
何もかもに目を奪われて
君はあの日突然、海を見たいと言った
秋の海が見たいのと
湾岸道路を愛車で駆るあなた
横顔があまりに凛々しくて
過去のラインに会話を探す
あたし、我儘すぎたかな?
きっといつか
今日の日もいい思い出になる
あなた優しすぎるから
涙が込み上げてくる
砂浜で見た夕陽はのうぜんかずら色
これがあなたとあたし色
秋の海風は肌に冷たくて
またのうぜんかずらが
目に鮮やかな湾岸道路
今日の日もいつかきっと……




