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3-7 父の思い

「わしは、わしは、お前を認めんぞ!」


あれ?なんか怒らせたかな。


「静香はお前にはやらーん!

お前みたいなペテン師には大事な娘をやるわけにはいかーん!」


会長が剣也を目の敵にする理由


最近ぼーっとしてる静香の異変を感じ信頼できる静香のメイドに聞いてみた。

そしたら「きっと恋ですよ。お嬢様にもやっと好きな人ができたんですね。」と答えやがった。


そして調査させた結果

この英雄が、このペテン師が静香をたぶらかしていることがわかった。

静香の目を覚まさせてやる。

お前には、こんなやつ相応しくない!

二菱会長は、極度の親バカなだけだった。


この人は何を勘違いしているんだ?

俺は別に静香と付き合ってるわけじゃない。

もちろんクエストなどで遠くに二人で出かけることもある。

筋トレだって一緒だ。

しかし別に静香と付き合ってる訳じゃないし、俺には夏美がいる。

今はなかなか会えてないが、最愛の人だ。

そんなことを思っていると

あの何度も聞いたシステム音声が広場に鳴り響く。


クエストが発生しました。

難易度B 一つ目の巨人が発生しました。


「な!?

ここでクエストだと?」

まずい、閻魔は部屋だ。

しかもBランク

素手で相手するのは無謀すぎる。


「静香!! 早乙女さん!

俺の部屋から閻魔をとってきてくれ!

ここは俺が時間を稼ぐ」


「わかったわ!」

「んもう! 恵って呼んで!!」

静香と早乙女は、閻魔を取りに走る。

静香もこのパーティにさすがに剣は持ってきていないし、あったとしても

Bランクはまだ静香には荷が重い。


直後空間を割く音が聞こえ、あの門が出現した。

現れたのはサイクロプス

一つ目の青い体の巨人だ。

体躯は3メートルはある。

人間が素手でどうにかできる存在じゃない。


この会場は吹き抜けで20メートルはあるので、あの巨体でも自由に動ける。


サイクロプスが、目の前で腰を抜かす人へ歩く。

その人は二菱会長だった。

腰が抜けて立てないようだ。


「た、助けてくれ」


サイクロプスは、その大きな右手をあげて、

会長をつぶそうとする。


すんでのところで、剣也が会長を助ける。

筋トレの成果がでていた。とはいえ人ひとり運び続けるほどではない。


「会長逃げてください。

ここは俺が時間稼ぎます。」


「わ、わしはお前の助けなんかいらないぞ!」

この状況でも強がる会長をそれでも剣也は見捨てない。


「嫌でも守りますよ。

静香が悲しむところなんか見たくない。」


素手の剣豪とサイクロプスの戦闘が始まった。

ただの振り下ろしを剣也は避ける。

だが、受けるものがないため護りの剣豪は使えない。


時間を稼げば静香が閻魔を持ってきてくれる。

だから今は時間を稼ぐ。

避けるだけなら可能だ。


そして攻撃を避け切る剣也にサイクロプスは苛立った。

何でこの小さな存在に触れない。

おかしい、これはおかしい。

そこでサイクロプスは、腰を抜かしてる会長を見る。


あいつで試してみよう。

あいつなら避けられなさそうだ。


そしてサイクロプスは、会長のもとへ歩きだし、そして拳を振り下ろす。

しまった。剣也は会長が狙われる可能性を考えていなかった。


位置がまずい。

会長は、ゆっくりと後退りながらフロアの端っこに逃げていた。

そこは袋小路 逃げる場所はない。


そして一つ目の巨人は、拳を振り下ろす。

手応えあり。

と思ったら、横にずらされ地面をたたいていた。


「はぁはぁはぁ」


剣也は思考加速で、最高のタイミングで、拳を受けながら横に流した。

しかし本来は閻魔でやる芸当。

それを左手でやってのける。もちろんダメージは甚大。

左手は紫色に腫れ、血が滴る。


確実に折れてるな。


しかし攻撃を受けた。

そこにタイミングよく静香が戻り、剣也へ閻魔を投げる。


「剣也!!」 

先ほどサイクロプスの攻撃を受けたおかげで発動した護りの剣豪

10倍の身体能力でその場を跳び思考加速で、閻魔をキャッチ。

そしてそのままサイクロプスの首を刎ねる。


これが修行の成果 

閻魔を持つ剣也は、10倍の身体能力を使いこなす剣也の力は

もうすでにBランクでは相手にならない。


そして響くシステム音は戦いの終了を意味していた。

クエストクリアされました。

1万ポイント付与します。


よかった。何とか間に合ったか。

直後左手の痛みが剣也を襲う。

アドレナリンが切れたのだろう。

左手を抱えて、剣也は膝をつく。


「剣也!」

静香が剣也に向かって走り、肩を抱く。


会長は、整理できていなかった。

素手だぞ?素手であの怪物の拳をずらす?

そんなことができるのか。


それにわしは最後まであの子に意地を張って

助けも求めなかった。

なのにあの子は大切な左手を犠牲にしてまで私を助けてくれた。

状況を理解した会長は立ち上がる。


携帯をとりだし、連絡をする。


「私だ。今すぐ最高の外科医を用意しろ。

私の、いや、この国の大事な人間だ。

一切の後遺症はゆるさん。

絶対に完璧に直せ。金はいくらかかってもいい。」


二菱会長は親バカだ。親バカだが、バカではない。

自分を守ったこの少年に、まだ意地を張るほどバカではない。


剣也に近づくと、頭を下げる。


「すまなかった。剣也君

失礼な態度を取り続けた。申し訳ない。

私は勘違いしていたよ。いや曇っていた。何も見ようとしていなかった。」


「いえ、いいんですよ。静香を思ってのことなのはわかってますから。

愛されてるね。静香」


剣也は痛みに耐えながら笑って応えてみせた。

強い。この子は本当に強いな。

認めよう。この子は本物だ。


「剣也君、潔く認めよう。

助けてもらった恩もある。」


「この国の英雄として認めてくださるんですか?」

剣也は笑う。自らの行動で一人の人間の心を動かせたからだ。


「いや違う、静香との結婚だよ。」


「は?」

ただでさえ痛い頭に激痛が走る。



「な、なにをいってるの、お父様!

私たちはそんな仲じゃありません!」


「いい、静香 隠さんでも。

私はお前のことはよくわかっている。

お前がその男を好きなのをわしは知っとる。

学生結婚でも構わないぞ。」


剣也は驚いた顔で静香をみる。

静香が俺のことを好き?

最近仲良くなってきたが、出会い頭大体罵倒されるのに?


「そう、なのか?静香」

剣也は静香を見る。


耐え切れなくなった静香は


「そんな訳ないでしょ!あほー」

という叫び声とともに、その場から肩を抱いてた剣也を突き飛ばしそのまま逃げた。


「いてぇーーー!!」

痛めた左手をそのまま床にぶつけ、剣也は痛みで何も考えられなくなっていた。


その後病院に運ばれ顔面縫い目だらけの、

医師免許をもたない医者に弄られ、

俺の左手は少し安静にする必要はあるが、1ヶ月で完全に治った。


静香はお見舞いにも来てくれなかった。

「やっぱり勘違いなんじゃないか。」


一方静香は

剣也に合わす顔がなく、病室の前をいったりきたりしていたのだが、

最後まで剣也がそれを知ることはなかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最高の外科医ってブラックジャックやんw
2022/02/27 18:05 退会済み
管理
[一言] 左手直すのに1億円くらい請求されてそう
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