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〜街の中〜
都会の街を歩くと思う事がある。この雑踏の中に僕が紛れているのだろうか、それとも雑踏が僕を紛らわせているのだろうか。そうやって考えている人間は僕以外にどれくらいいるだろうか。きっとこんな考えも平凡なんだろう。
街の人間は少し俯く人達と、無表情で早歩きしている人達と、希望に満ち溢れてキラキラした目であたりを見渡す人達と。さまざまな人間がいる。
太陽の光は嫌いだ。太陽は街にいる全員に平等に降り注ぎ、あの光の中にいると自分が「平凡な人間」だということを突き付けられるから。
結局、僕は自分自身で「平凡な人間」と卑下して自律しようとしていたのかも知れない。その自律が崩れてしまうから、太陽が嫌いなのかも知れない。
だけど、どこか平凡ながらも特別でありたいと思ってしまうから、街の雑踏の中で太陽の光を浴びながら、自分はどこまでも平凡なのだと突き付けられるのはいい気がしない。そんなわけからか、僕はどこまでも平凡なんだ。