1.悲劇
「まふ──起きなさい」
「…ん……なんかあった…の?」
「みふが────死んだわ───」
みふ──それは私の妹の名前。
双子だったので───趣味は似ていて、見た目も似ていて───いつも、仲良しだった。
自分の分身のように感じていた。
なのに───
大事で大事で大事で───大好きな妹が──みふが───死んだ?
ありえない。
信じたくない。
いつもの──真の絶望を感じるための───冗談だと、言ってよ──
嘘だって、言ってよ───
私は気づかないうちに──涙を流していた。
ある策を考えた──
私は──「成長加速」のおかげで、どのスキルもレベルMAXに達成している。
もちろん、聖魔法も、だ。
蘇生することが出来るかもしれない。
僅かな希望を抱く───
いそいで、みふのもとへ───
「僅かな希望。絶望した自分が抱く。力を解き放て。ピュリ・ティオ・ホーリー・ヴァンパイア。我の名は──マフ・シィラ・ピューリ」
この世界は──生まれた頃から、自分の呪文が決まっていて──まふの呪文は「ピュリ・ティオ・ホーリー・ヴァンパイア」。「僅かな希望。絶望した自分が抱く。力を解き放て」の部分は、魔力を強める為の追加呪文で──呪文を唱えたら、自分の名前を言う。そうすることで魔法を使うことが出来るのだ。
───だが、私の魔法は成功しない。
魔力量が、少なすぎるのだ。
「そ、んな…みふ…みふっ…!目を、覚ましてよ──一緒に、笑おうよ──一緒に、泣こうよ──」
私は───絶望した。
こんなことが、あってたまるか───と。
『対象が一定以上の絶望を感じました。力を解き放ちます』
そんな声が聞こえたような気がして───次の瞬間には、まふは倒れていた───。
「私───力を──解き放たれて────?まさ、か…」
「ステータス・オープン」
マフ・シィラ・ピューリ
種族 吸血鬼姫
Lv.9999(MAX)
体力 99999
魔力 ∞
SP 10000
スキル 鑑定 今宵の館(無限収納) 剣術 闇魔法 聖魔法 無魔法 浮遊 使役吸血
蝙蝠化 万能蝙蝠 幻術 水魔法 炎魔法 風魔法 土魔法 偽装
ユニークスキル 成長加速 Q&A
取得可能スキル 転移 星操作 念力 念話
称号 精霊王に気に入られしもの お人好し 規格外 化け物
「やばい、めっちゃ進化してる」
ていうかこの「化け物」ってなんだよ。
一応スキル全部とっておこう。
この世に化け物(のような吸血鬼)が誕生した。