この神社に祟められているのは・・・
私の実家は家紋を大事にする家であった。
友達の家に遊びに行くには門限があって、必ず手には菓子折りを持たされた。
「おはようございます。今日は雨が降る予報なので傘を持っていくと良いかと」
傘を持たないといけないのは怠いけど、送り迎えに比べたら気が楽だった
それより、寝起きでコイツと会話はキツイ。
私が朝起きれないのが悪いのだけど、敬語か。
小学生の時は通信教育で貰ったキャラクターめざましが起こしてくれて、何故か彼なら起きることが出来た。
きっと話しかけてくれる友達の様に感じてたからなんだな。
朝はパンを食べる。これも朝苦手な人特有だよね。
クロワッサンは焼いた時の匂いが良い。バターだ。
この匂いは朝から鬱陶しいけど、これ以外は食べれない。
冷たい牛乳を飲んでとても笑顔な私。かれこれ30分も朝食にかけてしまった。
通学路はそんな遠くもないけど、靴は濡れる。
風は吹いてないから今日は傘が役に立つな。
昨晩は吹いてたみたい。昨日の夕刊が泥まみれになって落ちてる。
【この神社に祟められているのは・・・】
うちの近くの神社の記事だ。興味無いけど。
校門を通ると風が変わる。あの冷たい感じ、暗い感じ。
こんなの夜に行ったら幽霊がいるなんて雰囲気に飲まれちゃうよね。
...
こんな事を言うのもなんだけど、学校での出来事は覚えていない。
変わりに実家の話をしようか
私の父の家系は代々病院をしているんだ。
父も母も医者。母は結婚と同時にやめちゃったけど。
古い家でね、古いからって誰にも馬鹿にはされたことなかったけどさ
学校でのこと一つだけ思い出した。
クラスメイトが「進路希望なんて書こうかな」とか話してた。
進路か・・・
...
正直医者になるのは嫌ではないんだ。
多分一人娘の私を医者にするってのは父の考えている事だろうし、それは周りも信じてるだろう。
私が進路について考えてしまうのはそこじゃないんだ。
父が医院長になった時母は寂しそうだった。
数ヶ月してその寂しさの原因が解ったとき母に訪ねた。
すると母は一言目に「そうだね、医院長ってのは大変だからね、うちは代々病院だから周りの目とかもあるのよ」と言った
家に着いた私はシャワーを浴び、タオルで髪を乾かしながら茶の間に行くとテレビを付けた
テレビには芸能人の結婚報道が流れている。
「結婚か・・・」
私もこれから恋をするだろう。そのうち誰かを愛して、家庭を持つだろう。
だけど私はいつも母の言葉で立ち止まってしまう。
母は二言目に「お父さんはね、鬼に成っちゃったの」と言った