覚悟
ただ一発の銃声、遠くでもはっきりとわかるほどに弾けた、その残響。
意識が朦朧とする中で戦場に立っていたことを思い出す為には、その銃声ーおとーは充分だった。
今まで生きてきて聴いたことのない音。
それなのにはっきりとわかる。
命が弾けた音。
そして視界に見たこともない表示が出た
人が倒れた記号と名前だった。
100から99に数字が減った。
「まさか、、、あの一発で・・・?」
心臓が口から飛び出そうになった。ここはゲームだとわかっていても、今感じているこの場所の空気や重力、感覚は現実と変わらない。
全身から吹き出る冷や汗、止まらない鼓動、パニックになった。
そうだ!
武器!武器がない。
周りを見渡すと果てしなく広がる森と山と草原が、そして少し遠くに古びた小屋、残骸。
小屋に向かい全力で走った。
遠い、遅い、体が重い。
感じたことのない感覚。
『恐怖』
焦る自分にその感覚は容赦なく襲いかかる。
やっと小屋に入り全身の力が抜けた。
ここなら大丈夫、いきなり撃たれたりはしないだろう。
汗だくで座り込んだ。
全身の神経がひっくり返った。
気持ち悪い。
ふと足元に何かが落ちていることに気づいた。ぼんやりと光り、視界にアラートが出てそれが取得可能であることを知らせた。
u…mp…?
何だそれは、名前は知らなかったがマシンガンだと形状から理解した、黒く鈍い光を放つその物体は弾丸と思わしき箱と共に放置してある。
武器は持ち込むことはできない。己の力で武器を手に入れて生き残る。
完全な実力?運?のゲームだと。
俺はその武器を手に取った。
鉄の塊の重み、冷たい感触。
すると恐怖から次第に異常な、異質な自分が目を覚ます、いや、これが、本当の俺なのか?
戸惑いながらも拳に力を込めた。
「こうなったら、やってやる。」