スナイプハント
辺りは静まり返り緊張度は最高に達していた。
少しでも姿を見せれば狙撃される。
背の高いススキが辺り一面に生い茂り、その中で俺たちは息を潜め反撃の機会をうかがっていた。
草が風になびく音だけが大きい。
アスカはkarのスコープを覗き込んだまま微動だにしない。
「捕らえたっ!!!!!!!!!」
アスカは突然そう叫んだ、と同時に
とてつもなく大きい銃声が〝ふたつ〟
重なり響いた。
ズダァァァァァァアン!
アスカのライフルの音が耳を貫いた!
「ヒエッ」
同時に俺の近くで地面が弾けた・・・!!
バシュウンッ
教会の窓ガラスが砕け散り砂埃が舞っていた。残骸が3階以上の高さはある塔から落ちていくのが見えた。
「走るわよ!」
アスカは俺の首根っこを掴むと無理やり立ち上がらせた。
「全力で走って!」
ピンッ!ピンッ!ピンッ!
何かの甲高い金属音が連続して鳴り響く!
俺は怖くなってあすかの後を追いかけて無我夢中で走った。必死だ。
辺りはまるで霧がかかったように異常な、大量の煙で充満した。
「スモークよ!」
「このまま距離を詰めるわよ!」
「畏まりやしたあああ!」
俺はもはや展開の早さについていけていない、アスカの命令の通りに動くだけだ。
連続してスモークのピンが外れる音がして煙が多すぎて前も見えない。
ズドオオオオン!
銃声が続けて聞こえる。
近くに着弾した、土がめくれ上がる音がした
向こうはこちらに撃ってきている!
「大丈夫!あちらからは絶対に見えていないわ!!!このまま私についてきて!」
走りに走り、おそらくかなり教会と距離が縮まったと思う。
「スモークが消えるまであと5秒!」
アスカは銃を見えない方向に向けて立ち上がった。
「4」
「3」
「2」
「1」
うっすらと消えかかった煙の中でアスカは銃身を微調整した。
「捕らえた!!」
声が聞こえた気もしたがそれよりも早くとんでもない銃声が耳をつんざく。
スモークの煙がすべて消えて辺りが静まり返った。
アスカはスコープを覗き込み銃を構えたままだ。
周囲の聞こえるのは銃声の反響
その銃声は〝ひとつ〟だけだった。
眼前のシステム表示が示しているのはアスカが教会のスナイパーをヘッドショットしたという記号だった。
数字が20から19に減少した。。。