底なし沼。
僕の小さなこの手から
ころりと落ちた白い小石が
ゆらりゆらりと揺り動き
深くて青い海の底へと
波と一緒に揺れながら
ゆるりゆるりと沈んでゆく
その様を舟の上から飽かず眺めた
ふと思い立ち
きらきらと瞬きを繰り返す
輝く星でいっぱいの
あの青を融かした夜空に向かって
黒い小石をころりと投げた
僕から離れた黒い小石は
屋根を越え
山を越え
雲まで越えて
ひとすじに
夜空の底へと沈んでいく
ゆらゆらと揺れながら進む、白い小石も
ただひたすらに真直ぐ進む、黒い小石も
堕ちていく先は、きっと一緒。
お読みいただきありがとうございました。