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桃太郎は実は
「えっ。」
そこにいたのは、可愛らしい人の子だった。
……って人の子????
普通は鬼から人の子が生まれるなんてあり得ない。
もし、これがアニキにばれたら……。
さすけには、この後の行動が一つしか思い浮かばなかった。
「この子を川に流そう。」
「えっ。」
「この子を川に流すんだ。」
さすけは、奥さんの意見も聞かず家を飛び出した。
右手に太朗を抱えて。
いつものさすけとは似ても似つかない荒々しい足音を響かせて
目的の場所、川に向かった。
さすけが川に着くころには、周りには誰もいなくなり、さすけと太朗だけになった。
さすけは、さっさと川に流してしまおうとしたが、
鬼族と違い、水の中で息ができないとアニキが言っていたのを思い出した。
そこで辺りを見渡すと、ちょうど太朗が入るだろう桃があった。
さすけは、そこに太朗を入れて、川に流した。
太朗がどんどん離れていくと自然とさすけの目から涙がこぼれた。