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太朗の誕生
桃太郎は大人から子供まで誰もが知る童話ともいえる。
それは、桃太郎が、悪い鬼を倒しに行くという話だが、実はそこには
誰も知らない真実があった。
鬼国。
「おい。さすけ。」
佐助と言われたのは、鬼国でも一番の弱小と言えるさすけだ。
「はっはい。何ですかアニキ。」
「お前、今度の日曜日に子供が生まれるそうだな。」
「はいっ。」
そうなのだ。
今度の日曜日、子供が生まれるのだ。
名前ももう決まっていて、太朗という。
これには、普段もおとなしいさすけもワクワクドキドキが隠せず、
いつもよりもニコニコとしていた。
そして日曜日。
「がんばれがんばれ。」
さすけが奥さんに声をかけ励ましていると、
「オギャーオギャー。」
と、元気な赤ちゃん太朗が生まれてきた。
だが、次の瞬間さすけは赤ちゃんを見て顔色を変えた。
「えっ。」