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第3話 巨大トカゲ? いいえドラゴンです


「いかんな。道に迷ってしまった」


悲鳴を聞いて森に入ったのはいいんだけどよくよく考えたら森のどこらへんで叫び声を上げたのかがわかんねーと見つけようがないんだわ。



ゴゴゴーー。


「近いな。音てきに戦闘中か?」


音のした方に全速力で向かうとそこにはバカみたいにデカイドラゴンが見覚えのある女と男を襲っていた。

ドラゴン!? なんで、雲の上が住処のドラゴンがいるんだよ!?

しかも、あの二人って俺の前で賢者と勇者になったやつじゃねーか! あ、男の方がドラゴンの尻尾に吹き飛ばされた。


「助けるしかねーよな」


ドラゴンが吹き飛んだ勇者にとどめを刺そうと尻尾で叩きつけた。

しかし、間一髪のところで尻尾は止まる。



「大丈夫か? イケメン勇者さんよ」


「くっ……あなたは……?」


「痛みで意識が飛んだか、そこの賢者! 早く勇者をうきらにさげろ!」


俺の声に驚いたのか賢者はぶんぶんと首を縦にふると俺の後ろにいた勇者を引きずって木の裏に隠れた。

しかしだ、称号の特性もかなりぶっ飛んでいるな。

まさか、ドラゴンの攻撃を食らってもビクともしないなんてな。


「さてと、覚悟はいいか? トカゲ野郎」


ドラゴンは雄叫びをあげて口に火を宿した。どうやら、こちらを敵とみなしたみたいだ。

俺の持ってる武器は鈍の鉈だけそしてドラゴンにはブレスと尻尾と鋭い爪。

さっきみたいに特性を活かそうにもかばう奴がいないと効果は発動しないか。


「まぁ、だからと言って負けるわけじゃねーけどな! 」


まずは眼をやる。

グチャと潰れる音がする。

痛みに怒ったドラゴンは鉈の刺さったまま空へ飛び上がった。



「ちょ、まてよ! 俺の鉈返せ!」


おいおい、空に飛び上がってなにをするつもりだ?

……まさか!?


『グオォォォォ』


「野郎、ブレスを使うつもりか!」



赤々と燃え盛る火球がドラゴンの口から放たれた。

そして、俺は目の前が真っ赤に染まった。




『グオォォォォ』


勝利の雄叫びをドラゴンはあげる。

だが、ドラゴンの目を潰された怒りは収まらない。

ドラゴンは近くにある街を腹いせに潰そうと考える、だが、目を直してからだと思い地上降りた。


その選択が今後の竜生を終わらせるものとは知らずに。




「おー痛えな。だけど後ろの二人をかばってなかったら死んでたわ」


さて、爆風のおかげでドラゴンは見えないな。

よし、今のうちに称号を作るか。


「ドラゴン殺しのジョブは今のレベルじゃ作れないだろうし……そうだ」


称号を作成


現在作成できる称号


・医者

・駆け出し狩人


「まぁ、ましなのはこの二つだけか。他にも農民やらなんやらあるが」


駆け出し狩人の称号を作成中……完了

医者の称号を作成中……完了


作成によって称号クリエイターのレベルが3になりました。


現在の称号


・騎士

・木こり

・魔物ハンターみならい


:木こり外し駆け出し狩人を装着します。


現在の称号


・騎士

・駆け出し狩人

・魔物ハンターみならい


新たな称号を装着したことで称号マスターのレベルが4になりました。


現在のステータス


命 77→80

力 77→80

守り35→38

速度 40→60

魔力量 6→7


特性

・かばうときの被ダメージ減少

・魔物と戦闘時ステータス増加

・遠距離攻撃ダメージ増加







「よし、これでいいか。あとは……お、これは、さっき解体した時に持ってきたブラックラビットのツノか……こいつをあのトカゲ野郎にぶち込むか?」


そうと決まればまずは野郎から身を隠す。

タイミングよく煙も晴れてきてるしな。

それに、やつの羽の音と思わしき羽ばたいたときの音が近づいてきている。

俺の死体を確認しに来たんだろう。


「とりあえず、降りてくる瞬間を狙ってやるか」


お、丁度よく隠れれそうな岩があるじゃない。

この裏で息を潜めて待ってるか。



「なんだ、俺を探してるわけじゃねえのか……目を癒すために降りてきただけみたいだな。よし、殺るか」


狙いを定めドラゴンに向かってブラックラビットのツノをぶん投げる。


ズブーーーーブシャ。


ツノは頭を貫通しドラゴンを絶命させた。

ドラゴンの体は力なく横に倒れる。


「嘘だろ、まさかブラックラビットのツノでドラゴンを仕留めれるなんて」


しかも、首から上が吹き飛んでやがる。称号マスターの性能舐めていたぜ。



「賢者と勇者、大丈夫か?」


とりあえず木の後ろにいた二人の所に向かうと賢者が勇者に回復呪文をかけているところだった。


「あ、あなたは、称号マスターのジョブの人!」


「お、開口一番がそれか。うむ、どうやら二人とも無事みたいだな。勇者は気を失ってるが」


「ねえ! ドラゴンはどうなったの!」


「あぁ、トカゲ野郎ならそこでぶっ倒れてるぜ」


しかし、なんでこんな森の中にドラゴンがいるんだ。

もしかして事件でも起きてるのか?



「ねぇ! ねぇってば!」


「お!? な、なんだ急に」


びっくりした。急に耳元で叫ぶやつがあるか。



「あなたがドラゴンから助けてくれたんだよね?」


「一応そうなるな」


「ドラゴンから助けてくれてありがとう。私の名前はクルミ。あなたの名前は?」



「俺の名前は、ヒノキ・ノーボだ」


握手を交わすとクルミは勇者を指した。


「ところでヒノキ、勇者を街まで運んでくれないかな?」


そう言うとクルミは一人でスタコラと歩き出した。

なるほど、俺に拒否権はないみたいだ。


「よっこらせ。お、意外に軽いなこの勇者」


はぁ、村に帰るつもりがまた街に戻ることになるとは……まぁ、いいか。



俺はそんなことを考えながらクルミの後を勇者を担いで追った。



第3話 巨大トカゲ? いいえ、ドラゴンです。 完





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