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妖精の恋  作者: Dark fairy
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急接近

 帰り道、はじめのほうは俺もその女もほとんどしゃべらなかった。俺はそれに耐えられなくなり、たまたま目に入った星の話をした。話しているうちに意外にもお互いに気が合うことがわかった。彼女と話してわかったことは名前が戸田夏。今さらだが俺の名前は高野秋。だから二人とも名前が季節だねとかいう話もしたっけ。でも夏は自分の名前である夏の季節よりも俺の名前である秋の季節のほうが好きらしい。まあ俺も秋の季節よりも夏の季節のほうが好きだけど。それから夏は俺の一つ下の高校二年生で誕生日は俺と全く同じ八月二十一日だってことも知った。そして好きなものは宇宙らしい。ついでに俺が好きなものは星だ。なんとなくお互いに何かを感じた。そうこうしているうちに夏の家に着いた。だがなんとなくこのまま別れてこれっきりの関係になるのはもったいないような気がした。でももう家についてしまった以上、これ以上夏といる理由はない。しかたなくホテルを探そうとして俺はやっと重大なことに気がついた。あたりは住宅地でとてもじゃないがホテルなんてない。途方に暮れている俺を見て夏は

「今日は私の家に泊まっていけば?もう少し秋と話したい。」

と言ってくれた。俺はかなりうれしかった。自分だけもう少し夏といたいと思っていたのではないとわかったからだ。だが親のことが気になった。こんな夜中にいきなり男と二人で帰ってきただけでなく、泊めてあげてなんて言われたら驚くなんてものじゃないだろう。だから夏にはやはり無理だと言った。だが夏は親はいないと言った。そのとき俺は仕事かなんかだろうと勝手に思っていた。夏の家に入って感じたのは家族で暮らすには小さい家だなというものだった。その理由は奥に進むにつれてすぐにわかった。母親らしき人の写真が仏壇に飾ってあったからだ。それを見ている俺を見て夏は自分の家族について話してくれた。夏が三歳のとき交通事故で母親は亡くなり、一人で夏の面倒をみきれなくなった父親は夏が五歳のときに夏を捨てて家を出て行ったそうだ。今は冬だから二人でこたつに入って、俺たちは時間を忘れて話し続けた。さすがに三時を過ぎたとき、お互いに明日は学校だから寝ることにした。そのときだった、立ち上がった瞬間に夏が倒れたのだ。だが、すぐに立ち上がって、いつものことだからと言って部屋に向かって歩き出した。俺はすごい心配になってなぜそんなことになったのかを問いただした。すると夏は両親がいなくなってから、生きていくためにバイトをする日々が続いていることを話し始めた。最近では金銭的にきつく、バイトを詰め込みすぎて倒れることが増えたらしい。聞けば学校にも行けてないというのだ。そんなことを聞けば夏を一人にするのがとてもこわくなった。一緒の部屋で寝るのはまずいと思ったものの夏に今の気持ちを伝えると夏は意外な反応をした。夏の顔がぱっと明るくなったのだ。そして夏は人と一緒に寝るのは何年ぶりだろう、すごくうれしいと言った。それから夏となぜか同じベッドで寝ることになってしまったのだ。ベッドの中で夏は弱った猫のように俺にぴたっとくっついて寝てしまった。俺も今日は疲れたせいか気づいたら夏を包み込んで眠りに落ちていた。

閲覧ありがとうございます。次話も是非読んでください。

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