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(現在編)1
たとえ、憎まれていても。
もう二度と、愛されなくても。
帰りたい、彼の元へ。
会いたい、愛しのひとに。
どうか、わたしを連れて行って。
あのひとのセカイへ、再び。
そう願い続けてちょうど二年が経った、十九の夏だった。
戻ってきたんだ、あのセカイへと。
って、えええええええええ!?
ちょっと!まって!!なにこの状況!?
異世界トリップってさ、世界を救う巫女だったり聖女だったりがイケメン達に崇められて逆ハーわっしょい!じゃ、ないの!?!?
そうだよね!?
決して、ゴリラみたいなおっさん達盗賊に捕まる話じゃないよね!?
「こんなの断じてちがーう!カモン、王道異世界トリップ!!」
「ごちゃごちゃうるせーぞ!!」
事の始まりは、今から数時間前。
ひとり、森でセカンドトリップを成し遂げた喜びに浸っていた私は、
「おい!こんなところに女がいるぞ!!」
柄の悪そーな男たちに見つかり、
「おめえら!!追え!逃がすんじゃねえ!!」
鬼ごっこの末、
「こいつは上玉だな!高く売れるぞ」
あっけなく捕まってしまいました。