四話 日々交々
劉懿の治療に必要な“緑恵晶”を卞晧達が手にして戻ってきてから既に五日が経過した。
持ち帰った日の内に卞晧は緑恵晶の加工は済ませ、“緑恵香丹”という秘薬を精製していた。
毎日、夕食後に一粒、白湯で飲む事を十日間継続。
必ず白湯でなくてはならないのは変質防止の為。
服薬と共に卞晧が毎晩氣による治療を行っている。
「玲生、大丈夫?」
「ぅぅ~……こればっかりは慣れも無いしなぁ…」
寝台の上に倒れ込んでいる卞晧の頭を自分の太股に乗せて労う様に右手で優しく頭を撫でる曹操。
二人の様子を端から見れば仲睦まじく思うだろう。
いや、実際に仲睦まじいのだが。
毎晩、劉懿の治療で氣を限界まで消耗する卞晧。
最初の時には気絶してしまい、それを傍で見ていた曹操が取り乱し大泣きし掛けたのは母娘だけの秘密だったりするのだが。
兎に角、劉懿の治療には膨大な氣の量が不可欠。
それは卞晧の当初の見立てよりも上であり、卞晧の総量ギリギリだった事から、気絶で済んだ。
一歩間違えば卞晧は絶命していた事だろう。
それが判るから、曹操も取り乱した訳だが。
尚、その件に関しては劉懿に対してでも鋭く睨みを利かせていて、誰にも知られない様にしている。
大人になれば、“健気”として使えるのだろうが、現時点では羞恥心が勝ってしまう曹操。
それが判っているから劉懿は素直に黙っている。
胸中では「まだまだ女としては未熟ね~」と愛娘の微笑ましい一面を楽しんでいるが。
二日目以降は曹操から氣を分けて貰う事で補って、治療を行っているのだが、それでも消耗は大きい。
部屋に帰れば、寝台に倒れ込み、自力で着替える事でさえも億劫になってしまう程である。
勿論、曹操から多く分けて貰えば平気だが。
其処は卞晧も“男の子”だったりする訳で。
惚れている女の子の前では強がりたいという事。
あと、何気に「全く、貴男は…」と言いながらも、優しく介抱してくれる曹操に甘えていたりする。
好きな異性の膝枕というのは何故魅力的なのか?。
きっと、如何に偉大な学者だろうと理論的に解明し立証する事は不可能だと言えるだろう。
何故なら、それは一つの神秘なのだから。
「──こらっ、悪戯しないのっ」
触り心地の好い曹操の太股に口付けする様に優しく唇を触れさせ、啄む様に軽く吸ってみる卞晧。
その悪戯に頭を叩く曹操だが、怒ってはいない。
それは呆れ、「そんな余裕が有るなら早く着替えなさい」とでも言いた気な感じの遣り取り。
曹操は曹操で、それが卞晧の甘えなのだと判る為、実は内心では喜んでいたりするのだが。
それは見せず、躾をする様に窘めていたりする。
“年相応”という言葉が似合わない内面の二人。
それは生まれ育ってきた環境等の影響も大きいが、御互いを得た事で、漸く寄り掛かれる様になった。
少なくとも二人を見ていて劉懿は、そう思う。
そういう意味では“ずっと一緒に居たなら”と。
“たられば”を考えてしまうのは親の欲目。
実際には各々の歩んだ時間と経験が確かな糧となり二人を育んでいるのだから悪い事ではない。
卞晧による治療が予定通りの期間で終了。
卞晧は診察の後、長く劉懿の身体を蝕んでいた病の完治を劉懿達に告げた。
その時の家族の喜びようは見ている方も、貰い泣きしてしまいそうな程だった。
卞晧にしても義母であり、亡き母との縁も有る為に劉懿に対する感情は本人が思う以上に強い。
まあ、それを察して嫉妬してしまうのが女心。
その夜は「貴男は私の伴侶よ」と示す様に。
独占欲が激しく燃え上がったの仕方が無い事。
そんな一夜が明け、迎えた朝は清々しい物だった。
文字通り、夜が明け、世界が違って感じられた。
「もぅ…そんなに心配しなくても大丈夫よ?」
「駄目です、御母様は病み上がりなんですから!」
そして翌日、曹操に手を引かれて劉懿が歩く。
劉懿が躓いたりしない様にと、しっかりと繋がれた愛娘の掌の感触を擽ったくも嬉しくも思う劉懿。
久し振りの外出ではあるが、それ以上に愛娘と共に出掛けられる事に自然と心が弾んでしまう。
何故なら、もう叶わないと諦めていたから。
出掛けるにしても、覚悟を決めなければ無理。
それ程に体調は厳しい状態だったのだから。
だから、劉懿も曹操も、自然に笑顔が咲く。
そんな母娘の姿を見詰める面々の表情も綻ぶ。
劉懿の治療の報告を受けて急遽洛陽から駆け付けた曹騰に卞哲夫妻、また曹真と妻達に曹操の伯父達や従兄弟姉妹達までが勢揃いしている。
義息となる卞晧の横で誰よりも涙を流しているのが曹嵩だったりするのだが、無理も無い事だろう。
夫として、父として、彼もまた抱えていたのだ。
それらが今日、こうして報われたのだから。
嬉し泣きもしてしまうのは当然の事だろう。
卞哲夫妻は卞晧と話しながら緊張を解す。
縁談が纏まってから覚悟はしていたのだけれども、流石に今回は急過ぎる事だったから。
それでも曹家の面々の人間性の素晴らしさも有り、夫妻は程無くして話の輪に溶け込んだ。
そんな一同が居るのは曹家の屋敷を眼下に望む様に広がった山の中腹に建てられている別邸。
曾ては、曹騰が亡き妻と一時期を過ごした場所。
曹家の者にとっては特別な場所だったりする。
その周辺には二千本を超える桜が植えられている。
時期的に見頃であり、薄紅色の樹海は幻想的で。
一時、俗世の柵や価値観を忘れさせてくれる。
そんな中を笑顔で手を繋ぐ母娘の姿は絵になる。
何方等も容姿端麗なのだから勿論なのだが。
それ以上に自然な笑顔こそが何よりも美しく。
見る者の心を、理由や理屈等不要に穏やかにする。
「玲生ーっ!、貴男も此方に来なさーいっ!」
劉懿と手を繋ぎながら、空いた方の手を大きく振り卞晧を呼ぶ曹操は年相応に可愛らしく。
「かはっ!?」と曹嵩他数名が萌絶した。
そんな大人達には気付かず、卞晧は曹操達の元へ。
美少年が加わると、絵の題材が変わり、また違った魅力で見る者を惹き付ける。
「どう?、此処の景色は凄いでしょう?」
「うん、これだけの桜の絶景は初めて見るよ」
自慢気に手を繋いだ卞晧に語る曹操の姿を見ながら劉懿は二人の姿に過去の場面を重ね合わせていた。
夫である曹嵩に初めて連れて来られた時、彼は今の愛娘と同じ様に無邪気に笑って自慢していた。
そして二人が生まれる前、亡き田静に対して自身が愛娘と同じ様に自慢をしていた事。
それと、二人が生まれた後、母子四人で来た事。
その時の想いを、交わした言葉を思い出す。
(……蓮珠姉様、見ていますか?
あの小さかった二人が、こんなにも大きくなって…
そして、私の生命を救ってくれましたよ?
貴女の意志は確かに受け継がれていますよ…)
見上げる空は、まるで桜の浮かぶ水面の様で。
其処に映る筈の無い彼女の笑顔が見えた気がする。
「当然よ、私達の自慢の子供達だもの」と言う。
心配や不安さえも楽しんでしまうかの様な。
何処までも力強く、勇気をくれる笑顔で。
だから、自然と笑む口元。
頬を伝う一筋の光の放物線は、想いの架け橋。
過去から現在へ、現在から未来へ。
人から人へ、姉から妹へ、母から母へ。
紡がれ、託され、受け継がれ、繋がってゆく。
「ねえ、玲生?、貴男が言っていた“桜餅”という料理は桜の葉を使うのよね?
この桜の葉でも大丈夫なのかしら?」
「問題は無いと思うけど、塩漬けにするからね?
そのまま使うって訳じゃないから」
「そうなの?、“柏餅”とは違うの?」
「あ~…柏餅ね、確かに完成品は近いからね…
でも、柏餅の葉は食べないけど桜餅の葉は食べても大丈夫な様にするからね
其処は大きな違いかな
塩漬けにする事で塩気と、桜の香を合わせるから、甘味が上品に引き立てられるんだよ」
「む~……桜を見ながら食べなかったわね…」
「まあ、それは仕方が無いよ
花が散ってからじゃないと葉が取れないからね
あっ、でも、あの辺は使えそうな葉が出てるから…
雨が降って散らなかったら間に合うかも
一応、氣を使えば短縮出来るしね」
「本当?、それなら葉を取って置きましょう!
取り敢えず、千枚も有れば十分よね?」
「うん、落ち着こうか、華琳
千枚も要らないよ、百枚でも十分過ぎるからね」
「“備え有れば憂い無し”と言うでしょ?
足りなかったったらどうするのよ?」
「いや、満足するまで食べたら風情が無いからね
季節を味わう、って感じで丁度良いんだよ」
劉懿が感動している傍では料理談義が始まった。
柏餅は亡き田静から自分が教わった料理。
それを曹操に教えたのだから知っていても何も可笑しくはないし、卞晧にしても同様。
桜餅というのも、恐らくは彼女が教えた料理。
そういう意味では興味も有るし、受け継がれている事自体は大変喜ばしい事なのだけれども。
ただ、“花より団子”な愛娘に一言言いたくなる。
「私の感動を返しなさい」と。
けれど、そういう事を考えられる事自体が幸福。
こうして愛する家族と共に笑って、泣いて、怒って過ごしていられる事が、楽しくて仕方が無い。
だから、小言は言わずに遣り返す事にする。
「──えいっ♪」
「わあっ!?」
「御母様っ!?」
油断し切っている卞晧を空いている手で抱き寄せ、曹操の前で、しっかりと抱き締める。
それはもう見せ付ける様に大人と子供の違いである母性の差を卞晧に押し当てて。
それを見た曹操は劉懿の挑発に慌てる。
反射的に悲鳴に近い声を上げた事にも気付かずに。
繋いだ手を離さない限り曹操は卞晧に抱き付けず、目の前で劉懿が卞晧を抱く事を阻止出来無い。
しかし、手を離してしまう事は敗北を認めるようで受け入れ難い事だと言えた。
負けず嫌いで意地っ張りな曹操の性格を上手く付く母親ならでは揶揄い方だと言えた。
一方、巻き込まれている卞晧。
亡き田静も愛情深くて、子供っぽい事も有った為、ある意味では慣れている。
劉懿に抱き付かれても大して気にはしない。
ただ、早くに田静を亡くしているという事も有り、距離感を掴み兼ねていたりする。
曹操に対して対等な関係故に甘えれもするのだが。
義母となる劉懿には、どう接するべきなのか。
いや、曹家の家族との関係には悩んでいたりする。
──とは言え、卞晧にとっては田静に似た劉懿より目の前で涙目寸前の曹操の方が問題だ。
劉懿の悪戯に本気で動揺しているのだから。
このままだと不機嫌さが大膨張して大爆発する。
そう考えた卞晧は繋いだ手を引き、自分の胸に倒れ込んできた曹操を空いている手で抱き締める。
驚きながらも、逆らえず、しかし、抵抗はしない。
曹操を抱き締める卞晧、そんな二人を纏めて劉懿が包み込む様に抱き締めている。
経緯を知らず、今の状態で見たのなら。
きっと、深い愛情、尊い母子の絆だと思うだろう。
だが、その実態は母親の揶揄いから始まった事。
母子の戯れ合いだったりする。
それを知っている曹騰達は苦笑しながらも、三人の戯れ合う姿を微笑ましく思う。
有り触れた母子の姿、日常の一場面だろう。
しかし、それさえ叶わぬ願いだったという事を。
理解しているからこそ、感極まってしまう。
号泣している曹嵩にしても母子の輪から仲間外れにされているからではない。
手を伸ばしても掴めなかった何気無い日常。
有り触れた、平凡過ぎる幸せ。
それが、こうして目の前に有るのだから。
曹操と卞晧、“二人の運命”と言えば、そうだ。
しかし、自分の失態に端を発した見合い騒動。
あの時は、想像さえしていなかった。
勿論、あの時の自分の失態を棚に上げて、開き直る様なつもりは無いのだが。
それでも、切っ掛けとなった事は確かで。
其処には“何か”を感じてしまう。
劉懿と同じ様に曹嵩も自然と空を見上げた。
「子離れしないと嫌われるわよ?」と、揶揄う様に笑っている田静の姿が見えた気がする。
縁は逢別に発し、岐路で複雑に絡み合う絲の様に。
時として、奇跡を紡ぎ出す。
劉懿の快気祝いとして催された賑やかに花見を皆で楽しんだ後、別邸にて行われているのは曹家全体の将来に関する話し合いである。
より正確に言うのであれば、曹操達に関する話だ。
曹騰が上座に座り、対面に曹操と卞晧が座る。
その両側に見守る様に他の面々が座っている。
張り詰める程ではないのだが、緊張感は有る。
何しろ、曹家の麒麟児である曹操と、婿養子となる同等以上の才器を持つ卞晧が“旅をする”のだ。
戸惑うという所の話しではない。
しかも、二人は今年十二歳になる若さである。
はっきりと言って普通では考えられない事だ。
だが、非凡な二人の希望となると反論も難しい。
何しろ、その意義を凡人では見出だせないからだ。
ただ、基本的には反論する意思を見せているのは、曹嵩一人だけだったりするのは今更である。
「……さて、二人共、こうして集まった事も有り、皆の前で話し合う場を設けた訳じゃが…
既に意志は決まっておるようじゃのぉ」
「はい、私も一緒に旅に出ようと思います」
曹騰の言葉に曹操と卞晧は顔を見合せて頷き合う。
そして、曹操が自分の意思を伝える。
「いやいや、此処は男が言うべきなのでは?」等と口を挟んでいる様では何も理解していない証拠。
何故なら、“卞晧が旅に出る事”は確定していると言ってもいい事だったりする。
確かに曹家の跡取りとして婿養子に入る訳だが。
それは将来的な立場の話であり、拘束力は弱い。
寧ろ、見聞を広めるという意味で言えば、その方が曹家にとっては後々に価値を持つ可能性が高い。
旅をする上での危険性も、実力的に見て十分に対処可能だと判断出来る為、問題としては弱い。
つまり、反対する理由は殆んど無かったりする。
そんな卞晧の旅を止めさせる唯一の理由が曹操だ。
曹操が本気で「行かないで」と泣きながら言えば、卞晧も止めざるを得無い事だろう。
“女の涙”とは必殺級の武器なのだから。
だからこそ、曹操の判断・意思が焦点となる。
どの様な答えを曹操が出すのかが、重要な訳だ。
子離れ出来ていない曹嵩が曹騰を応援していても誰一人として気にはしない位なのだから。
「…まぁ、そう言うじゃろうとは思っておったし、説得が難しいとも思っておる
──が、それはそれじゃ、具体的な話を聞かねば許可を出す事は出来ぬぞ?」
「勿論です、その辺りも考えての答えです」
「ふむ……では、話してみなさい」
「はい、先ず出立ですが、十二歳の誕生日を迎え、その後旅立つ予定です
それから一年間、十三歳の誕生日までを予定として旅をしようと考えています
旅の道中、何が有るか判りませんので前後する事も考えられますが、基本的には一年間の予定です
これは私個人だけでなく、私達の意見です」
「……成る程のぉ…一年間か、妥当な期間じゃな
しかし、劉懿も回復したばかりじゃ
その辺りは、どの様に考えておるのじゃ?」
「義母上の治療は問題有りません
それに旅に出るまでは可能な限り此方等に居ようと相談して決めていますので何か有れば対処出来ます
余程の事が起きない限りは義母上の状態に関しては特に御心配は要りません」
「私も出立までは出来る限り御母様と一緒の時間を作りたいと思っています
現状、私が洛陽の私塾で学ぶ事は有りませんから」
劉懿の話になった為、主治医という立場の卞晧から簡単に説明が入るのは当然だと言える。
曹操の劉懿を想う気持ちも母娘の絆だろう。
ただ、然り気無く私塾に“無意味”の評価を下した曹操の勝ち気さに一同は胸中で苦笑する。
「一体誰に似たのやら…」と思いながら。
まあ、三代に渡り稀代の才媛の血を受け継いでいる曹家という血統の最高傑作なのだから当然だが。
睨まれると怖いので誰も口にはしない。
判っていても、触れてはならない事も有るのだ。
「……劉懿よ、お主としては、どうなのじゃ?
身体の方は心配しておらずとも、長らく病床に伏し母親として思う事も少なくなかろう?」
「……そうですね、正直に言えば私も二人に付いて一緒に旅をしてみたいですね」
「──芹華アァっ!?」
劉懿の予期せぬ発言に声を裏返らせながら驚くのは他ならぬ曹嵩であった。
それもまあ、仕方が無い事だろう。
最愛の妻と、最愛の娘と、最愛になる予定の義息。
三人に“置いて行かれる”という状況になるのだ。
それは彼にとって「それじゃあ、死ねば?」と言う死刑宣告に等しい事だったりするのだから。
叫びながら涙目で、迷子の子供の様に心細そうな、そんな曹嵩の姿に劉懿は苦笑する。
「──という訳ですから、それは孰れという事で
二人が命懸けで繋いでくれた生命ですから…
母親として、二人が成長する為に旅をしたいなら、それを見守り、信じて送り出したいと思います
…准也を一人にする方が心配ですからね」
子供達の成長を阻害しようとする過保護な父親への“御仕置き”的な意味で少しだけ意地悪をしてから落ちを付けつつ、さらっと惚気て見せる劉懿。
「もぅっ、御母様ったらっ…」と恥ずかしそうに、曹操は劉懿を小さく睨んでいる。
だが、その御陰で場の雰囲気は緩んだ。
──というより、曹嵩が折れていたりする。
愛する妻にまで「いい加減嫌われますよ?」という視線を向けられてしまっては仕方が無かった。
そんな状況を皆が理解しているが故の弛緩。
しかし、一族の好好爺は老獪な一面を晒す。
「…ふむ……本人達の意志を尊重するのは判った
しかしのぉ、幾ら何でも十二歳の子供二人だけでの旅というのは流石に許容し難い…
庶人の身であれば兎も角、お主達は曹家の跡継ぎ
お主達が考える以上に、その立場は特別じゃ
それに対しては、どの様に考えておるのかのぉ?」
「私達も二人だけでは有事の対応にて不備の生じる可能性は考えています
其処で、私の友人を旅の同行者に誘う予定です
歳は一つ上ですが、人柄的には問題有りません」
「お主の友人と言うと、先の見合いの際に、お主を誘って参加したという者かのぉ?」
「はい、将来的に曹家の家臣として迎えるに値する才能は有ると思いますので…
旅をする序でに二人で鍛えようかと思っています」
訊いたのは曹騰だが、顔も姓名も知らぬ卞晧の共に思わず同情してしまった。
いや、曹騰だけではなく、この場の大半がだ。
何でも無い事の様に言ってはいるのだが。
恐らく、数百年に一人の才器を持つ二人だろう。
そんな二人に、直に、一年間も、鍛えられる。
しかも、本人達は「序でに」と言っている訳だ。
「…うわぁ…何それ?、新手の虐め?」という風な感想を懐いてしまうのは可笑しな事ではない。
──とは言え、曹騰も卞晧の実力は知っている。
その卞晧が認める才能の持ちならば異論は無い。
「……それでも、十五歳以下の子供が三人じゃ
せめて、十五歳以上の者を二人は同行させる事…
それが一緒に旅をさせる為の最低限の条件じゃよ」
曹騰の言葉に卞晧は曹操を見詰める。
条件を満たす同行者に卞晧は心当たりが無い。
曹操にしても同行者に挙げられる友人は居ない。
単純に同行者としてならば再従姉の夏侯姉妹という最適の人物が思い浮かぶのだが。
しかし、曹操にしか状況を打開する手が無い。
それを理解した二人は曹騰の狙いを察する。
やはり、宮中という魔窟を生き抜いた人物。
その手腕からは学ぶ事は少なくない。
「……判りました
曹仁兄さん、曹洪兄さん、御願い出来ますか?」
「──え゛?」と思わず嫌な顔と声をしそうになりギリギリで堪えたのが、指名された従兄の二人。
聞き間違えで有って欲しいと願いつつも、そんなに都合の良い言い間違いをする従妹ではないと知るが故に天を仰ぎたくなってしまった。
出来れば辞退したいし逃げ出したいのだが。
相手は本家の跡継ぎ夫妻となる従妹達の頼み。
しかも、敵に回せば確実に詰むと判る者達だ。
はっきり言ってしまえば、断る術は無かった。
だから、二人共に曾祖父を恨む様に睨んだ。
何故なら、曹操が自分達従兄の誰かを指名する様に意図的に話を誘導した張本人だからだ。
その曹騰は曾孫達の視線から目を逸らした。
男の子より、女の子の方が可愛い。
それは男親の多くが言える事だろうから。
「……判りました、未熟ですが御伴しましょう」
その辺りを理解し、先に答えたのは曹仁。
字は子孝、真名を隼斗という十六歳。
曹真の長男で、側室の陳遼との長男でもある曹興の三男として生まれた青年。
曹操の従兄達の中では武に置いては随一だと言えるだろう腕前を持っている。
だが、それに驕る事も無く研鑽に励む姿勢は曹操も人間的に好ましく思っている従兄である。
そういう意味では誰からも頷ける人選だった。
問題は──いや、注目が集まるのは曹洪だった。
字は子廉、真名を翔馬という従兄。
まだ三ヶ月前に十五歳になったばかりである。
曹真の五男で、もう一人の側室の蔡寧の次男である曹宗の長男として生まれた青年。
まだ少年と言っても可笑しくない小柄で童顔な彼は激しく動揺していたりする。
曹洪も凡人ではなく才能を感じさせる若者だ。
ただ、曹仁に比べると従兄姉の中では平凡。
まだ若いからという事も一因では有るのだが。
現状では特筆すべき才能は見えてはない。
そういう意味では曹仁とは真逆の人選だった。
勿論、曹操なりの意図が有るのだろうが。
それが何なのかは他の者には解らなかった。
そんな渦中の人物である曹洪だが。
「え?、隼斗兄受けるの?」と曹仁の言葉に自分の逃げ道が一気に狭まり消えそうに感じる為だ。
だから何とか我に返り、今断らないと無理になると判断し、口を開こうとした。
まさに、その瞬間だった。
「──隼斗が一緒ならば安心だな
翔馬、折角の良い機会だ、お前も一緒に旅をして、見聞を広めて来い」
──と、曹宗が宣った。
「はあっ!?、巫山戯んな糞親父っ!」と叫びたいと心の底から思ってしまう曹洪だが、出来はしない。
曹嵩の兄達の中で一番武人気質なのが曹宗だ。
それ故に、跡取り息子の曹洪に対しての教育方針も武人としての精神や道徳心を大事にしている。
「強く生きろよ…」という曹洪に対する憐憫の念が視線と共に向けられるが、誰も助けはしない。
何故なら、既に確定したも同然だからだ。
「…………判りました、御伴させて頂きます…」
「兄さん達、有難う御座います
これで、構いませんよね?」
「うむ、条件は満たしたからのぉ…
じゃが、旅をする以上、家を宛にしてはならんぞ
その程度の覚悟ならば無駄じゃからのぉ」
「はい、それは勿論です
多少は手持ちを用意しますが、道中の事は自分達で考えて対処していきます
それが出来無くなれば素直に戻って来ます
無意味な意地を張るつもりは有りませんから」
「…判っておるのなら構わぬよ」
意地悪ではないが、心構えをさせる意味で言えば、可愛気の無い言い方で返してくる曹操に曹騰は苦笑してしまいそうになってしまう。
逞しいと言えば逞しいのだが。
「もう少し、甘えてくれても良いものを…」と。
曾祖父は曾孫に愚痴りたくなってしまう。
まあ、曹家の将来は安泰かもしれないのだが。
曾祖父としては頼もし過ぎて寂しいのが本音だ。
その後は二人の出立までの大まかな予定の確認。
また卞晧が曹姓に改める時期に付いて等々。
そんな中で、目玉と言えたのが二人の婚礼の話。
劉懿は勿論、一族の女性陣が大盛り上がりだった。
当事者である曹操は「別に、婚礼なんて通過儀礼の一つでしか有りませんから…」と冷静に振る舞うも指先を髪に絡ませながら弄っていたりして。
同性から見れば、嬉しいのを必死に我慢していると一目で理解する事が出来る為、可愛がられた。
盛り上がる女性陣の中に単身放り込まれた卞晧にも女達の手は伸びるのだが。
男達は我関せずで静かに凌ぐのだった。
尚、婚礼は旅から戻って直ぐに行う事に決定。
準備の大半は劉懿達が進める事になった。
話し合いが終わって解放された卞晧。
曹家の男として認められた。
島流し判決──いや、旅に関する曹家の話し合いが行われてから一週間後。
卞晧と曹操は洛陽に来ていた。
“戻った”と思ってはいない辺りに二人の価値観が表れていると言えるのだろうが。
それは口にした訳ではないので判らない事だ。
それは兎も角として、二人は旅仕度を整える上での最後の“持ち者”を獲りに来ていた。
「よっ、卞晧っ!、久し振りだなっ!
婿入りする為に鬼嫁の実家に行ってたんだって?」
「~~~~~っ」
顔を見るや、そんな事を大声で言いながら手を振り近付いてきたのは卞晧の友人である韓浩。
歳は一つ上で十三歳、卞晧より頭一つ半背が高く、曹操とでは頭二つ分の差が有る。
同年代でも小柄な二人に対し、一つ上で同年代でも大柄な韓浩とでは差がより目立った。
──が、そんな事は、どうでも良かった。
初対面の韓浩が発した自分の事であろう“鬼嫁”の一言に対し、曹操は激怒していた。
(だだだだだ誰が鬼嫁ですってええぇーっ!!!!!!)
まあ、当然と言えば当然の激怒なのだが。
胸ぐらを掴んで怒鳴りながら問い質して遣りたい。
その衝動を気合いで抑え込み堪える自分を、曹操は心の底から褒めてあげたいと思う。
衝動に任せて遣らなかったのは、遣ってしまったら「ほら、やっぱり」と言われてしまうから。
その可能性を思い浮かべられる程度には曹操自身もギリギリで踏み止まっていると言えるのだが。
それでも我慢している事には変わらない。
「あのね~…会ったら、いきなりで他人の奥さんを鬼嫁とか言わないでくれない?
俺にとっては大事な最愛の奥さんなんだから」
「いや、悪い悪い…つか、意外に本気なんだな?
けどさ、あれだろ?、あんな難問吹っ掛けた上に、お前は勝ったらしいけど、熊みたいな馬鹿力をした男を道具としか見てない女なんだろ?
幾ら、あの曹家の跡取りに成れるって言っても…
お前、本当に大丈夫か?、無理してないよな?」
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ」
韓浩の性格を知っているから悪気が有って言ってるだなんて思ってはいない卞晧だが。
そんな事は知らない曹操の憤怒を察知して、上手く韓浩を窘めつつ御機嫌回復に努めたのに。
空気を読めない韓浩は更に火に油を注ぐ。
卞晧は「武器不携帯で良かった…」と本気で思う。
ただ、そんな現実逃避している余裕は無かった。
この張り詰めた状態を何とかしなくては。
「心配してくれてるのは判るよ?
でも、どう誤解したら、そんな話に為る訳?」
そう言って、然り気無く曹操に韓浩の性格を伝え、同時に「悪気は無いんだよ?」と訴える卞晧。
曹操も韓浩の言動からして本気で卞晧を心配しての事だと感じているので何とか堪える。
その一方で卞晧は不思議に思った事を訊く。
曹操との縁談が決まった時、確かに韓浩に話した。
その時は、今の様な反応は全く見られなかった。
嫉妬や羨望から自分達の仲に不和を齎そうといった事を考える様な人物ではない。
しかし、本気で言っているのも理解出来る。
だからこそ、韓浩の言動は矛盾して感じられた。
「いやな、お前が嫁さんの実家に行ってからだが、此方では色々噂が流れててさ…
お前に関しても有る事無い事混じってて酷いんだが俺は知っているから全く気にしてないけどな
同じ様に、その嫁さんの事も噂に為ってんだよ」
「俺に関しては嫉妬とかだって判るけど…
彼女の方も?、あの曹家を相手に言ってる訳?」
「ああ、馬鹿も居たもんだよな?
けどな、内容が内容なんだよ
実は、結婚なんかする気は全く無くてさ、意図的に困難な問題で合格出来無い様にしたとか…
実は、武を競った相手は影武者で別人だったとか…
実は、見目麗しい姫君というのは嘘で、筋骨隆々の男顔負けの熊みたいな怪力女だとか…
まあ、そんな感じで色々有ってな
俺も筆記試験は受けてるから噂は納得出来る部分も有ったりするんだよな、これが…
勿論、嘘も混じってるんだろうけど、面識も無いし何が本当かなんて俺には判らないからな~…
けどまあ、お前の様子からして違うんだって判って俺としては安心したよ」
「……うん、判ってくれて俺も安心したよ」
韓浩の話した中に本当の事も混じっていた。
憶測による苦情みたいな噂だったんだろうけど。
偶然にも曹操の意図していた事に近かった。
だから、卞晧も顔が引き吊りそうになる。
ただ、噂を流したのは筆記試験を通った卞晧以外の三人自身か、家族・縁者であると絞り込めた。
筆記試験で落ちた者の流した噂も有るだろうが。
「熊みたいだ」「怪力女だ」という酷い内容の噂は対峙した結果から来ている可能性が高い。
そして、卞晧と同様に曹操も気付いている。
「…どうしてあげましょうか…」と笑みを浮かべて剣を構えている様に見えてしまう程に。
チラッと見た曹操は、視界の端で、どす黒い殺気を纏って静かに俯いていた。
「──ん?、卞晧、そのお嬢さん誰だ?
初めて見る顔だけど…妹か、親戚の娘か?」
「あ、いや、彼女は──」
「──初めまして、私は曹操、卞晧の妻です」
「おぉ~、偉い、礼儀正しいな、曹操って言うのか
………………………………え?、曹操?」
卞晧の努力の甲斐も虚しく、韓浩は遣らかした。
いや、それはもう最初っからだったんだが。
此処に来て自分から死刑台に上がって来た。
止める暇も無く、曹操は自ら名乗り出て。
韓浩に対して死刑宣告を突き付けた。
空気は読めないが、察しが悪い訳ではない韓浩。
静かに地面に正座をし、目蓋を閉じて頭を下げた。
「出来れば、初めては優しくして下さい」
「それは出来無い相談ね──この無礼者おぉっ!!」
「済んませんしたばぷべぽろぁあ゛あ゛ぁっ!!??」
空気を読めない韓浩の発言に対し、曹操から渾身の右後ろ回し蹴りが贈呈された。
無防備な脇腹を丸太で叩き飛ばすかの様に。
乾いた良い音を響かせて韓浩は地面を転がった。
その後、精神的に傷付いた曹操を慰めながら卞晧は韓浩が復活してくるのを待った。
普通なら氣で治癒する所なのだろうが。
昔、亡き田静から聞かされた事が有った。
こういう状況では稀にだが、まるで何事も無かったかの様に起き上がるという怪奇現象が起こると。
そして、そをな特定条件下での限定的な不死身さを持つ者を“戯邪愚体質者”というのだと。
韓浩には、その資質が有ると以前から思っていた。
だから折角の機会なので検証してみたのだが。
「…あたたた…」と脇腹を押さえて復活した韓浩を見て卞晧は一人密かに確信を得たりしていた。
改めて自己紹介をして、卞晧は韓浩に本題を話す。
卞晧の背中に寄り掛かる様にして拗ねている曹操の事は気にしない様に韓浩は努めながら集中する。
次、迂闊な事を言えば首が飛び兼ねないからだ。
「え~と…つまり、俺は曹家の家臣になるのか?」
「将来的には、だけどね
先ずは俺達の旅に同行して経験を積んで貰ってから曹家じゃなくて俺達の直属の家臣、私兵としてだね
…まあ、広い意味でなら曹家の家臣だって言っても間違いじゃないんだけど…」
「乗ったっ!、いや、是非とも御願い致します!」
「…普通、家族に相談する所だよ?」
「そんな暢気な事言ってたら俺の代わりに兄貴達を捩じ込まれるってのっ!
これは俺に来た話なんだから俺が決めるっ!
何か間違ってるかっ?!」
「いや、そうだけど……はぁ~…それじゃあ、話を受けるって事で良いんだよね?」
「応ともよっ!、持つべきは将来有望な友だなっ!
──っと、これからは言葉遣いも気を付けないとな
取り敢えず、何て呼べばいいんだ?、ですか?」
「公的な場では別だけど私的な場では今まで通りに接してくれて構わないからね?
どうせ、堅苦しいのは無理でしょ?」
「はははっ、まぁな、努力はしてみるけど
期待はしないでくれ、出来無い自信の方が有る
──で、やっぱり、若とか、御主人様とかか?」
「…御主人様だけは無いね
正直、韓浩に言われても気持ち悪いだけだから」
「…だな、言った俺も背筋がゾッとしたしな」
そんな感じで軽口を叩き合う二人の様子を見ながら曹操は韓浩の価値を再評価し直していた。
自身にとって再従姉の夏侯姉妹が、そうな様に。
卞晧にとっては韓浩が特別な親さを持つ存在。
解り易く言えば、気を許せる同性だという事。
愚痴を言う様に、馬鹿馬鹿しい事を話したりする。
そういう気兼ね無く接する事が出来る同性の存在が一人は居るか否かで人は精神的な強さが変わる。
卞晧にとって韓浩は生涯に渡って重要な人物。
今は構わないが、旅の間に自身の立場を自覚させる必要が有ると曹操は密かに考えていたりする。
決して、自分には見せない卞晧の一面を引き出した韓浩に嫉妬している訳ではない。
そう、そんな事実は存在しないのだから。
「…楽しそうに話している所、悪いんだけど…
旅に出るに当たっての注意事項と準備が有るわ」
「あっ、そう言えば旅に出るのって何時なんだ?」
「大体一ヶ月後かな」
「早ぇなっ!?」
「あら、何か都合が悪いのかしら?」
「いや、都合も予定も暇だから問題無いな」
「……ねぇ、殴ってもいいかしら?、その鬱陶しい性格が真面目に変わる位に徹底的に」と言う様に、曹操は拳を握り締めて卞晧を見詰めた。
卞晧は苦笑しながら「無駄だから諦めて」と小さく首を横に振りながら視線で答えた。
抑、こういった“掛け合い”の経験なんて皆無。
どんなに優秀でも一人きりでは漫才は難しい。
話術というのは、対話の経験数が物を言う。
そういう意味では曹操には未知の領域と言える。
だから、韓浩の様な不慣れな相手には主導権を奪い取られてしまうから苛立つ。
負けず嫌いな彼女らしい一面に卞晧は微笑む。
「俺達が旅に出る事は極秘だからね?
だから家族には「見習いとして色々学ぶ為に曹家に住み込みで仕える事になったから」みたいな感じで説明しておいてね
絶対に旅の話はしない事、忘れないでよ?」
「応っ、任せてくれ!」
「それから、その旅は謂わば“御忍び”だからね
道中は贅沢とかは殆んどしないから
飽く迄も、見聞を広め、研鑽を積む為だからね
余計な荷物は持って行かない様にしてよ?
邪魔だと思ったら途中で処分するからね?」
「ああ、判ってる、どの道俺の荷物は少ねぇよ」
「あと、保護者として曹家の──彼女の従兄が二人同行する事になってるから
喧嘩とかしない様にしてよ?」
「それは相手次第だな、俺は否と言える男だから」
「それは立派な心掛けだけど、ただ噛み付いたり、歯向かってるだけなら止めてね?
邪魔なだけだから」
「…お前ってさ、そういう所容赦無いよな」
「言って解る人には言う方が早いからね
言っても解らない人には言わないよ
寧ろ、面倒臭いから関わらない様にするから
兎に角、道中は助け合い・支え合いが大事だからね
曹家の家臣になったら、嫌でも立場が有るんだし、早めに慣れられるって思って頑張って」
「あ~…まあ、それもそうだな
実際、会ってみないと解らないしな」
──といった感じで話は進められて行った。
曹操は殆んど口を出さなかったが、それは客観的に二人の関係性を観察し理解する為。
卞晧の言っていた様に確かに性根は悪くない。
礼儀作法が為っていない点は教えれば済む事。
最も大切な卞晧との信頼関係が確かだと解った以上他の要素は及第点でも構わないと言えた。
ただ、韓浩の話し方には曹操自身が慣れる必要性を感じずには居られなかった。
それでも、そんな事も含めて楽しみだった。
まだ見ぬ事、知らない事、初めての事。
卞晧との“新婚旅行”とも言える旅路。
暗愚な大人達の下らない腹の探り合いに混じるより遥かに有意義で、得られる物が有るだろう。
曹操は期待を胸に懐き、静かに空を仰ぐ。
風の吹くままに流れ行く白雲を追い駆け。
広大な大地を放浪するのも面白いだろう。
一人では描けぬ夢も、二人でならば掴めるから。