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東国三社巡りの旅 始まる。

一年後。


男の部屋。


同じアパート。


でも少し違う。


吸い殻の山は無い


空き缶もない


テーブルの上は整っている


男、通帳を見る。


大金じゃない。


でも


0じゃない。


男、少し笑う。


駐車場の古い車。


ボンネットを閉める。

「よし」


修理は済んだ。


床屋。


バリカンの音。


男の髪。


整う。


服屋。


男、鏡を見る。


派手じゃない。


スーツでもない。


でも


ちゃんとした服。


男、少し照れる。


アパート。


リュック。


荷物を詰める。


着替え


ガイドブック


地図


男、スマホを見る。


検索履歴。


神社。


男、小さく呟く。

「他の神社も…見てみたいな」


早朝。


駐車場。


エンジン。


キュル…ブォン


車、走り出す。


運転席。


男、ハンドルを握る。


少し緊張。


少し楽しそう。


頭の中。


元カノの記憶。


一年前。


喧嘩別れ。


男、少し笑う。

「……まぁ

別れて正解だったのかもな」


高速道路。


朝日。


遠くまで続く道。


男、独り言。

「さて…」

カーナビ。


目的地。


香取神宮。


東国三社巡りの旅

始まる。


長いドライブの末。


車、ゆっくり減速。


看板 香取神宮。


男、小さく笑う。


「着いたか…」


駐車場 満車。


「いっぱいかよ」


第2駐車場 満車。


「マジかよ〜…」


第3駐車場。


一台分。


男、少し前のめり。


「有った!」


車を止める。


車を降りる。


背伸び。


腰を押さえる。


「腰いて〜…」


長時間運転の体。


歩く。


鳥居の方へ。


男、目を丸くする。


「……スゲぇ」


参道前。


屋台。


焼きそば


たこ焼き


りんご飴


人。


人。


人。


参拝客。


観光客。


子供。


笑い声。


男、少し戸惑う。


「お祭りみてぇ…」


テンションは上がる。


でも


少し落ち着かない。


人混みを抜けて


鳥居の前。


男、見上げる。

「……でけぇ」


そして

「赤ぇ…」


背筋を伸ばす。


一礼。


ゆっくり。


鳥居をくぐる。


参道。


男、歩く。


一歩 二歩。


止まる。


「……あれ?」


もう一歩。


空気を感じる。


「来た…?」


少し期待。


でも

「……変わらない?」


男、眉をひそめる。

「アレ?」


気を取り直す。


スマホで調べた場所。


要石。


歩く。


人多い。


男、苦笑い。

「参拝客多いなぁ…」


軽く愚痴。


要石の前。


男、見る。


沈黙。

「……微妙」


少し首をかしげる。

「アレ?」


本殿へ。


そこも


人。


参拝客の列。


その横。


白無垢。


紋付袴。


結婚式の撮影。


男、少し笑う。


「……すげぇな」


仕方なく列へ。


順番を待つ。


少しずつ前へ。


本殿が近づく。


いよいよ


賽銭箱の前。


男、顔を上げる。


本殿。


その瞬間。


男の表情が変わる。


目を見開く。


「……圧が」


本殿の前。


男、顔を上げる。


目を細める。


一瞬だけ眉をひそめる。

「……」


次の瞬間。

「スゲッ」


思わず本音。


後ろ。


参拝客。

「ゴホン」


咳払い。


男、ハッとする。

「あ、すみません」


慌てて


賽銭。


二礼。


二拍手。


一礼。


ぎこちない。


踵を返す。


少し歩く。


男、ポケットから紙。


境内マップ。


「奥宮は……」


指でなぞる。


「コッチか」


奥宮へ続く道。


数分歩く


音が消える。


さっきまでの


屋台


人の声


子供の笑い声


全部。


嘘みたいに静か。


奥宮。


小さな祠。


男、見上げる。


その瞬間。


男の体が止まる。

「……来た」


小さく呟く。

「圧だ」


一瞬


体が後ろへ引く。


仰け反る。


でも


持ち直す。


男、静かに言う。

「……コレが本物か」


参拝。


終わる。


男、もう一度見上げる。


その時。


今度は


森。


背後。


木々。


山。


空気。


四方から


静かに押してくる。


男、息を呑む。

「……スゲッ」


しばらく


動かない いや正しくは動けない



奥宮。


森。


山。


順番に見る。


地元の神社が弱い訳じゃない。


ただ


スケールが違う。


男、ゆっくり


もう一度


頭を下げる。


奥宮へ。


森へ。


踵を返す。


参道。


歩く。


音が戻る。


屋台。


人。


笑い声。


鳥居を出る。


男、少し笑う。


車へ向かう。


独り言。

「奥宮と森は…」


少し考える。

「本物だったな〜」


運転席。


エンジン。


男、思い出す。


鳥居。


本殿。


奥宮。


そして


ニヤッとする。

「奥宮知っちまうと…」


「鳥居と本殿は」


少し間。


「薄め過ぎのカルピス?」


自分で笑う。


かなり辛口。


車。


ゆっくり走り出す。


夕方の光。


男、ナビを見る。


目的地。


ホテル。


ホテルのドアが開く。


「806」


男、カードキーを抜く。


ドアを開ける。


その瞬間――


タバコの臭い。


男、少しだけ顔をしかめて


すぐにニヤッと笑う。


「…助かるね」


小さく独り言。


ラフな服に着替える。


ベッドへ。


ドサッ。


大の字。


天井を見つめる。


「……ここまで来たか」


静かに呟く。


そのまま目を閉じる。


暗転。


〜1時間後〜


男、ゆっくり目を開ける。


天井。


見覚えがない。


5秒。


キョロキョロ。


さらに5秒。


「ああ…」


思い出す。


スマホを手に取る。


操作。


検索。


「高評価 飲食店」


「飯…飯っと」


少し元気が戻る。


画面スクロール。


店を絞る。


3店舗。


口コミ。


写真。

「……雰囲気かな〜」


身だしなみを整える。


ホテルを出る。


夜の空気。


一歩外に出た瞬間。

「……30分?」


間。


「めんどくせ〜」


車内。


エンジン。


スマホ。


ナビ。


沈黙。


数秒。


男、ため息。


発進。


車を走らせる


看板。


スシロー。


男、車を降りる。


普通に入る。


(ここでナレーション)

「……え?スシロー?」


男、振り返らずに一言。

「うるせぇな」


間。


「7時間運転してんだよ」


ナレーション、少し間を置く。

「……失礼しました」


店内。


少し明るい照明。


機械音と人のざわめき。


男、無言で席に座る。


タッチパネル。


指が迷わず動く。


一瞬止まる。


「茶碗蒸し」


タップ。


数秒後。


湯気。


男、スプーンを入れる。


一口。


止まる。


「……うま」


小さく呟く。


そこからは早い。


タッチパネル。


タップ、タップ、タップ。


流れてくる皿。


赤。


黄。


銀。


男、無言で食べる。


時々、スマホ。


時々、また食べる。


表情は少しずつ緩む。


皿が積み上がる。


間。


タッチパネル。 


少しだけ考える。


「ラーメン」


タップ。


数分後。


湯気。


男、箸を持つ。


ズズッ。


静かに息を吐く。

「……生き返る」


店内の音が戻る。


男、満足そうに背もたれに寄りかかる。


ホテルの夜(鹿島前夜)


ドアが閉まる。


男、部屋に戻る。


少しだけ満足そうな顔。


靴を脱ぐ。


そのままベッドへ座る。


間。


スマホを手に取る。


画面が光る。


検索。


「鹿島神宮 参拝方法」


スクロール。


止まる。


またスクロール。


「……へぇ〜」


小さく呟く。


画面には


鳥居で一礼


手水


二礼二拍手一礼


男、目を閉じる。


頭の中でなぞる。


「……こんなもんか」


スマホを置く。


ベッドに倒れ込む。


天井。

「……徒歩圏内だけどな」


小さく笑う。


電気を消す。


暗転。


ホテルのドアが開く。


朝の空気。


少し冷たい。


男、外に出る。


一歩。


止まる。

「……近いな」

小さく笑う。


歩き出す。


足取りは軽い。


見えてくる。


大きな鳥居。

「来たな」


男、歩く速度が少し上がる。


鳥居の前で止まる。


背筋を伸ばす。


一礼。


一歩、踏み出す。


鳥居をくぐる。


その瞬間――

「来た」


空気が変わる。


体に触れる感覚。


圧。


男、わずかに立ち止まる。

「……ビリッビリだな」


口元が緩む。


そのまま参道へ。


歩く。


空気は重い。


だが、不快ではない。


むしろ心地いい。


男、ニヤつきながら歩く。

「やっぱ、あるな」


やがて本殿。


空気が変わる。


さっきまでの圧が消える。


静寂。


澄んでいる。


スッと入る感覚。


男、少しだけ驚く。

「……違うな」


だが、想定内。


いや、それ以上。


賽銭。


手を合わせる。


静かに参拝を終える。


頭を上げる。


本殿を見据える。


間。

「……酒?」


少し首を傾げる。

「日本酒…にしては、清らか過ぎるな」

一瞬。


閃く。

「……雑味の一切無い日本酒」


男、少しだけ笑う。


静かな空気。


その場に、しばらく立つ。



鹿島神宮・奥宮


男は奥宮へ向かう。


参道。


奥へ。


森が深くなる。


巨木。


何百年。


まっすぐ伸びる。


「……デケェなぁ」


男、立ち止まる。


深呼吸。


スー……


ハー……

「……ん?」


わずかに眉をひそめる。

「獣臭?」


数歩。


少し開けた場所。


覗き込む。

「鹿?」


間。

「ああ……神鹿か」


少し顔が緩む。

「可愛い」


――静けさ。


(ナレーション)

「単純なヤツだ」


男、ゆっくり振り返る。


キッ。


(ナレーション)

「……失礼しました」


男、参道へ戻る。


その瞬間――


圧。


空気が変わる。

「……ヤバッ」


体が反応する。


わずかに身震い。


歩く。


一歩。


一歩。


重い。


だが、進む。


奥宮が見える。


近づく。


男、息を止める。

「……あ」

「……あ」


言葉にならない。


目の前。


小さい。


地味。


だが――


圧倒的。


本殿を凌ぐ存在感。


男、呼吸を思い出す。


吸う。


吐く。


少し汗。


賽銭。


手を合わせる。


静かに参拝。


頭を上げる。


見上げる。

「……刀?」


間。

「武将……?」


目を細める。

「……研ぎ澄まされた日本刀」


ゆっくり。

「優しくて……強い武将の陣の中にいるみたいだ」


長く息を吐く。


フーー……


もう一度、奥宮を見る。


静かに頷く。


踵を返す。


御手洗池へ。


御手洗池


男、スマホを取り出す。


起動。


画面。


鹿島神宮ロードマップ。

「御手洗池は……コッチか」


歩き出す。


数歩。


看板。


御手洗池 →

「……」

誰もいない。


だが、少しだけ恥ずかしい。


さらに進む。


石段。


長い。

「下るのか」


一歩、踏み出す。


広い。


一段が大きい。


歩きやすい。


中央に手すり。


上りと下りが分かれている。


数段。


音。

「シャッ」

「シャッ」

「シャッ」


規則的。


目を向ける。


女性。


竹箒。


慣れた手つきで掃いている。


男、少し緊張する。

「おはようございます」


言えた。


自然に。

(心の中でガッツポーズ)


女性、顔を上げる。

「おはようございます」


男の頬が緩む。

(単純な……やめよう)


石段を下りきる。


さっきまでの圧は、ない。


目の前。


駐車場。


男、足早に進む。

「確か……この辺……」


キョロキョロ。

「……有った!」


コンクリート。


長方形。


水。


看板。


御手洗池

「……池ってか、貯水庫?」


ポツリ。


小さい。


だが――


水は透き通っている。


底が見える。


男、しゃがむ。


手を入れる。


冷たくはない。


そのとき。


声。

「行きなさい」


男、顔を上げる。


周りを見る。


誰もいない。


少しの間。

「……」


だが、驚かない。

(経験済み)


声。


優しい。


女性。


諭すようなトーン。

「……天女様?」


返事はない。


男、立ち上がる。


わからない。


だが――


手を合わせる。


静かに。


頭を上げる。


もう一度、池を見る。


水。


静か。

「……俺、行くよ」


小さく。


踵を返す。


歩き出す。


御手洗池を後にする。

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