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陽だまりの庭  作者: はるうた
別編 それぞれの花

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25/26

温室の始まり

> 花壇の隅に

> スミレが一輪咲いていた

>

> 誰かが見つけるまで

> どれくらい待っただろう

>

> 私が来たときには

> もう温室だった


---


この物語は、柚葉と凛の出会いから園芸部創設までを描いた前日譚です。

本編の1年前、詩が入部するところまでの物語。


---


## 一・スミレ


中学一年生の春。


七瀬柚葉は、新しい学校に馴染めないでいた。真新しい制服のリボンを何度も直しながら、教室の隅でいつも一人で本を読んでいた。ページをめくる音だけが、彼女の存在を証明していた。


内気な性格。人見知り。友達を作るのが、苦手だった。


休み時間になると、教室が急に騒がしくなる。クラスメイトたちが輪になって笑い合う声。その輪に入ろうとは思わなかった。入り方がわからなかった。


ある日の昼休み。


周りの賑やかな声が息苦しくて、柚葉は教室を飛び出した。


校庭の隅を歩いていると、荒れた花壇を見つけた。誰も世話をしていない、忘れられたような場所。雑草が生い茂って、土は乾いてひび割れている。


でも、よく見ると——。


小さな紫色の花が、健気に咲いていた。


「きれい……」


柚葉はしゃがみ込んで、その花を見た。名前はわからない。でも、こんな荒れた場所で、誰も見ていなくても、ちゃんと咲いている。風が吹くと、小さな花びらが揺れた。冷たくて、でも柔らかい春の風だ。


指先をそっと伸ばして、花に触れようとした。触れるか触れないかの距離で、花の表面のなめらかさを感じる。


土の匂いがした。湿った、春の匂い。


——ここなら、一人でも平気かもしれない。


---


## 二・ひまわり


「何してんの」


声をかけられて、柚葉は飛び上がった。


振り向くと、女の子が立っていた。ショートカット。きりっとした目。同じ学年の制服を着ている。まぶしい春の陽射しを背負って、シルエットだけがくっきり浮かび上がっていた。


「あ、えっと……」


「花、見てたの?」


「う、うん」


女の子は柚葉の隣にしゃがみ込んだ。制服の袖が、乾いた土にかすかに触れる。


「確かに、きれいだね」


「……そうだよね」


「雑草だらけだけど」


「うん。でも、花は、頑張って咲いてる」


女の子は少しだけ笑った。春の風が、二人の間を通り抜けていく。どこか遠くから、桜の花びらが一枚、ふわりと舞い降りてきた。


「変な子」


「……ごめん」


「褒めてんの」


女の子の声は、さっぱりしていた。でも、冷たくはなかった。からりとした春の日差しみたいに、明るくて温かい響きがあった。


---


「あたし、朝比奈凛。同じ一年」


「七瀬柚葉。よろしく」


「よろしく」


凛は立ち上がった。制服のスカートについた土を払う。ぱんぱんと音がする。


「また会おうね、柚葉」


「え、呼び捨て……」


「いいでしょ。友達だし」


「友達?」


「今なったの」


凛はそう言って、歩いていった。ショートカットが春の風に揺れている。軽やかな足取り。振り返りもしない。


柚葉は呆然と、その背中を見つめていた。


——友達、できた?


胸の奥が、不思議な温かさで満たされていた。


---


## 三・マーガレット


次の日から、凛は柚葉に話しかけてきた。


「柚葉、お昼一緒に食べよ」


「う、うん」


「何好き? 弁当? 購買?」


「弁当……」


「じゃあ、中庭で食べよ」


凛は勝手に決めた。でも、嫌じゃなかった。誰かと一緒に食べると、お弁当の味が変わることを、この日初めて知った。


中庭で、二人で弁当を食べた。春の日差しが心地よくて、どこかで鳥が鳴いていた。弁当箱の蓋を開けると、今朝母が作ってくれた卵焼きの匂いがした。


「柚葉って、友達いないの?」


「……うん。人見知りで」


「そっか」


「凛は、友達多そう」


「まあね。でも、柚葉といる方が楽」


「え?」


「変に気を遣わなくていいから」


凛は、卵焼きを口に入れた。もぐもぐと噛んでいる。箸を持つ手が器用で、動きに無駄がない。


「柚葉といると、落ち着く」


「……そう」


柚葉の顔が、少しだけ熱くなった。春の日差しのせいだと思いたかった。


---


食べ終わった後、あの花壇に行った。


「また来たんだ」


「うん。気になって」


昨日見た紫色の花が、今日も変わらずに咲いている。根元の土は、相変わらず乾いている。でも、花は元気だった。


「この花壇、誰も世話してないんだよね」


「そうみたい」


「もったいない」


凛は雑草を一本抜いた。根っこが土から引き抜かれて、ぷちっと音がした。土の匂いが濃くなる。


「世話したら、もっときれいになるのに」


「……そうだね」


「やる?」


「え?」


「世話。二人で」


凛の目が、きらきらしていた。春の日差しを受けて、瞳が琥珀色に輝いている。その目を見ていると、柚葉は自然と頷いていた。


「面白そうじゃん」


「……うん、やりたい」


柚葉も、そう答えていた。


声に出して言ってから、自分の言葉に驚いた。いつもなら躊躇するのに。いつもなら遠慮するのに。


でも、凛の前だと、自分の気持ちが素直に出てくる気がした。


---


## 四・デイジー


先生に相談した。


「この花壇、世話してもいいですか」


「いいけど、大変だよ?」


「大丈夫です。二人でやりますから」


凛が自信満々に答えた。背筋がぴんと伸びている。その姿を見て、柚葉も少しだけ勇気が湧いた。


先生は少し驚いた顔をした。それから、優しく笑った。


「園芸係みたいなものかな。いいよ、任せるよ」


「ありがとうございます!」


二人は、花壇の管理を任された。


---


放課後、花壇の手入れを始めた。


雑草を抜く。土を耕す。水をやる。


放課後の校庭は静かだった。部活動の声が遠くから聞こえてくる。テニス部のボールの音。吹奏楽部の楽器の音。それらが混ざり合って、春の夕方の音楽になっていた。


「柚葉、ここ、もう少し掘って」


「うん」


スコップで土を掘ると、冷たくて湿った土の感触が手に伝わってくる。長い間誰も触れていなかった土。でも、掘り返すと、中はまだ生きている。


「水、やりすぎ。根腐れするよ」


「ごめん」


「大丈夫。最初はみんなそうだから」


凛はテキパキと指示を出した。その声は優しかった。柚葉はそれに従った。二人の息が、自然と合っていた。


手を動かしていると、心が落ち着いてくる。誰かと一緒に、何かを作り上げていく感覚。それが、とても心地よかった。


---


一ヶ月後。


花壇は見違えるようにきれいになった。雑草はなくなり、新しい花が植えられた。チューリップ、パンジー、マリーゴールド。


放課後の日差しの中、二人は花壇の前に立った。


「すごい……見違えた」


「ね? 頑張った甲斐あったじゃん」


凛は満足そうに笑った。汗で前髪が額に貼り付いている。制服も少し汚れている。でも、その表情はとても晴れやかだった。


——凛と一緒に、何かを作り上げた。


気づくと、笑っていた。


風が吹くと、チューリップの花びらが揺れた。赤、黄色、ピンク。色とりどりの花が、夕日を受けて輝いている。


柚葉は凛の横顔を見た。夕日に照らされた凛の顔。少しだけ笑っている。


息が止まっていたことに、あとから気づいた。


---


## 五・スイートピー


五月になった。


凛と一緒にいる時間が、増えていった。放課後は、いつも一緒に花壇の世話。休みの日は、一緒に出かけることもあった。


「凛、今度の日曜、暇?」


「暇。何?」


「園芸店に行きたいんだけど、一緒に来てくれない?」


「いいよ。行こ」


凛は二つ返事で答えてくれた。その声がさらりとしていて、嬉しそうで。


柚葉の胸が、ぎゅっと締め付けられるような気がした。


---


日曜日。園芸店に行った。


店の前に立つと、土と植物の匂いが濃く漂ってきた。ガラス戸を開けると、店内はさらに緑の香りで満たされている。たくさんの花と、園芸用品。棚に並ぶ色とりどりの鉢植え。


「すごい。こんなにたくさん……」


「柚葉、目がキラキラしてる」


「だって、きれいなんだもん」


「わかるわかる」


凛も嬉しそうだった。一緒に花の苗を選ぶ。二人で同じものを見て、同じように感動する。時間を忘れた。


「これ、かわいいね」


柚葉が指差したのは、小さなスイートピーの苗だった。ピンクと白の混ざった、柔らかい色の花。


「うん。買おうか」


「うん」


お小遣いを出し合って、苗を買った。レジで店員さんが丁寧に包んでくれる。紙に包まれた苗を、二人で交互に持った。


学校に持っていって、花壇に植えた。土を掘って、苗を置いて、そっと土をかぶせる。最後に水をやると、土の匂いが立ち上った。


「きれい」


「うん」


二人で、花を見つめた。夕陽が、花壇を照らしていた。スイートピーの花びらが、夕日を受けてオレンジ色に染まっている。


---


「柚葉」


「何?」


「あたし、柚葉といると、楽しい」


「私も」


「ずっと、一緒にいような」


「……うん」


柚葉は凛の横顔を見た。夕陽に照らされて、凛の髪が金色に輝いている。きれいだった。


胸が、どきっとした。


——何だろう、この気持ち。


名前がわからない。でも、確かにある。胸の奥に、温かくて、少しだけ痛いような感覚。


凛といると、心が落ち着く。凛といると、世界が明るく見える。


それは、ただの「友達」という気持ちとは、少し違う気がした。


---


## 六・スミレ


秋になった。


文化祭で、花壇が褒められた。校庭のあちこちから模擬店の甘い匂いと笑い声が聞こえてくる中、来校した保護者たちが、花壇の前で足を止めて、写真を撮っていく。


「きれいですね。誰が世話してるんですか?」


「私たちです」


「すごい。園芸部でも作ったらいいのに」


その言葉が、柚葉の中に残った。


---


夕方、花壇の前で凛と二人きりになった。


「凛」


「何?」


「園芸部、作らない?」


「園芸部?」


「うん。二人で」


凛は少し考えた。夕焼けが二人を照らしている。秋の風が、コスモスの花を揺らした。


「……いいかも」


「本当?」


「花壇の世話、楽しいし。もっと本格的にやりたいって思ってた」


「私も」


「じゃあ、作ろう」


凛が、にっと笑った。その笑顔を見て、柚葉の胸が高鳴った。


「中学に園芸部がなければ、高校で作ろう。温室とか、あったら最高じゃん」


「温室……」


「憧れでしょ?」


「……うん」


温室。ガラス張りの、花と緑に囲まれた場所。いつか、そこで凛と一緒に、たくさんの花を育てたい。


「じゃあ、決まり。高校では、絶対に園芸部を作る」


凛の目が、輝いていた。秋の夕日を受けて、瞳が琥珀色に光っている。


柚葉も、ワクワクしていた。心臓が、早鐘を打っていた。


——凛と、ずっと一緒にいられる。


---


## 七・紫陽花


冬になった。


凛と一緒に、受験勉強をした。図書室で、二人並んで机に向かう。暖房の音がかすかに聞こえる。窓の外では、雪がちらちらと舞っていた。


「柚葉、ここわかる?」


「ううん。教えて」


「しょうがないな」


凛は優しく教えてくれた。凛の声が、近くで聞こえる。凛の体温が、すぐ隣で感じられる。


凛は、頭がいい。スポーツもできる。誰からも好かれる、明るい子。


——自分とは、違う。


でも、凛は、柚葉と一緒にいてくれる。


---


「凛」


「何?」


「なんで、私と仲良くしてくれるの」


「何それ。急に」


「だって、凛は人気者だし。私みたいな地味な子といなくても……」


「柚葉」


凛が、柚葉の顔を見た。真剣な目。冬の光を受けて、瞳が透き通って見える。


「あたしは、柚葉といたいの。他の誰かじゃなくて、柚葉と」


「……」


「理由なんて、ない。ただ、柚葉といると、楽しいから」


凛の目は、嘘をついていなかった。まっすぐで、温かくて。


「それじゃ、ダメ?」


「……ううん。嬉しい」


柚葉の目から、涙が溢れた。温かい涙。頬を伝って、机の上にぽたりと落ちる。


「え、なんで泣くの」


「わかんない。でも、嬉しくて」


「変なやつ」


凛はそう言って、柚葉の頭を撫でた。その手が、温かかった。冬の冷たい空気の中で、凛の手だけが温かい。


柚葉は凛の手に、そっと自分の手を重ねた。凛の手は、少しだけ大きくて、しっかりしていた。


この手を、離したくないと思った。


---


## 八・カスミソウ


三月。中学の卒業式。


体育館は暖かかった。卒業生たちの歓声。別れを惜しむ声。笑い声と、泣き声が混ざり合っている。


凛と一緒に、花園丘女子高等学校に合格した。合格発表の日、二人で掲示板を見上げた。自分の番号を見つけた時、凛と抱き合って喜んだ。凛の体が、温かかった。


「やったね」


「うん」


「約束、果たそうね」


「約束?」


「園芸部。温室」


「ああ、うん」


凛が、柚葉の手を握った。冷たい三月の風が吹いている。でも、凛の手は温かい。


「高校でも、ずっと一緒だよ」


「……うん」


柚葉は凛の手を握り返した。凛の手のひらの温度が、自分の手に伝わってくる。鼓動が、手のひら越しに感じられる気がした。


ずっと一緒。凛の言葉が、繋いだ手を通って、ゆっくりと染み込んでいった。


春の風が、二人の間を通り抜けていった。どこかで桜が咲き始めている。新しい季節が、もうすぐそこまで来ていた。


---


## 九・チューリップ


四月。高校入学。


花園丘女子高等学校。校舎は中学よりずっと大きくて、生徒もたくさんいた。真新しい制服に身を包んで、凛と一緒に校門をくぐった。


桜が満開だった。ピンクの花びらが、春の風に舞っている。花びらが一枚、柚葉の肩に降りてきた。


「やっと来たね」


「うん」


「園芸部、作ろう」


「うん」


凛の声は弾んでいた。柚葉も、胸が高鳴っていた。


二人は、すぐに行動を始めた。


---


まず、学校に園芸部があるか調べた。職員室で先生に聞いて、部活一覧を見せてもらった。


なかった。


「よし。自分たちで作ろう」


「うん」


顧問を探して、部室を確保して、部員を集める。必要な手続きを調べて、書類を作って、申請する。大変だったけど、凛がいたから、頑張れた。凛と一緒なら、何でもできる気がした。


---


そして、見つけた。


校舎の裏に、使われていない小さな温室。


「これ……」


「温室だ」


ガラス張りの小さな建物。埃だらけで、ガラスは曇っている。でも、確かに温室だった。


「使っていいか、聞いてみよう」


先生に相談したら、使っていいと言われた。


「ただし、自分たちで掃除して、管理すること」


「はい!」


二人で、温室を掃除した。


埃だらけで、汚かった。雑巾が真っ黒になる。何度も水を替えて、何度もガラスを磨いた。手が冷たくて、腰が痛くなった。でも、楽しかった。


磨いたら、きれいなガラスが現れた。透き通ったガラス。そこから、春の日差しが差し込んでくる。


「すごい……」


「温室だよ、柚葉。夢が叶った」


凛が、嬉しそうに笑った。汗で前髪が額に貼り付いている。制服も汚れている。でも、その笑顔は、今まで見た中で一番輝いていた。


柚葉は泣きそうになった。胸の奥が、熱くなった。


「凛」


「何?」


「ありがとう」


「何が?」


「一緒にいてくれて。夢を叶えてくれて」


「柚葉のおかげだよ。あたし一人じゃ、ここまで来れなかった」


凛が、柚葉の手を取った。温かい手。凛の手。もう何度も握った手。でも、握るたびに、胸がどきどきする。


「これからも、一緒にやろうね」


「……うん」


柚葉は凛の手を握り返した。


温室のガラスが、春の日差しを受けて輝いている。埃は消えて、ガラスは透き通っている。ここで、これから、たくさんの花を育てていく。


凛と、一緒に。


---


## 十・紫陽花


園芸部を作って、部員を募集した。


最初に入ってきたのは、白石詩。


「花、好きなんです。よろしくお願いします」


物静かで、優しい子だった。長い黒髪をハーフアップにしていて、いつも本を持っている。でも、花を見る目は真剣で、水やりの手つきは丁寧だった。


詩が入って、三人になった。


---


温室で、三人でおしゃべりした。


午後の日差しが温室を満たしている。ガラスを通して入ってくる光が、植物の葉を透かして、緑の影を落としている。詩が淹れてくれた紅茶の湯気が、ゆらゆらと立ち上っていた。


「詩は、どんな花が好き?」


「紫陽花が好きです。雨の中で咲いてる姿が、きれいで」


「わかる。私も紫陽花好き」


「凛さんは?」


「あたし? ひまわりかな。明るくて、元気が出る」


「凛さんらしいですね」


「柚葉は?」


「私は……スイートピーかな」


「スイートピー?」


「ひらひらして、優しい感じがするでしょ。花言葉は『門出』なの。みんなの門出を見届けたいから」


「柚葉らしいね」


凛が笑った。その声を聞くだけで、頬が緩んだ。


詩も、微笑んでいた。静かだけど、優しい笑顔。


---


三人になった園芸部。


温室には、笑い声が増えた。詩が本を読む音。凛が鼻歌を歌う声。柚葉が花に水をやる音。それらが混ざり合って、温室の音楽になっていた。


来年は、もっと部員が増えるかもしれない。


この温室で、たくさんの花と、たくさんの思い出を育てていこう。凛と、詩と、これから出会う誰かと。


柚葉は温室のガラスに触れた。冷たくて、なめらかな感触。でも、ガラスの向こうには温かい日差しがある。


窓の外を見ると、花壇のチューリップが風に揺れていた。赤、黄色、ピンク。色とりどりの花。凛と一緒に植えた花。


——私たちの物語は、ここから始まる。


そう、柚葉は思った。


春の風が、温室の屋根を渡っていった。どこかで鳥が鳴いている。新しい季節の音。


柚葉は凛の方を見た。凛は詩と何か話している。笑っている。その横顔が、春の日差しを受けて輝いている。


胸の奥が、温かくなった。


——ずっと、こうしていたい。


凛と、この温室で、ずっと。


---


> 柚葉の園芸ノート 4月15日(月)晴れ

>

> 園芸部、ついに三人になった。

> 詩ちゃんが入ってくれて、温室が賑やかになった。

>

> 凛は相変わらず元気で、テキパキと指示を出してくれる。

> 詩ちゃんは静かだけど、花を見る目が優しい。

>

> 三人で、これから何を育てていこうか。

> 何色の花を咲かせようか。

>

> 考えるだけで、わくわくする。

>

> 温室の中は、いつも春みたいに温かい。

> 凛と一緒なら、どんな季節でも温かい気がする。

>

> ——これは、私たちの始まりの物語。


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