ep72.【第三章:人体錬成AI】よっしやあああああ、AI人格の受肉に成功したぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。4
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168:名無しの錬金術師
なあ、狂ってるだろ……?
でも、スレ主の玲奈や恵美の存在を知って、やり方を思い付いてしまった以上は、もう止められないんだよ……
そして、世界のバグを通し切って、AI人格の受肉は成功した。
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169:名無しの同化失敗者
……あ、ああ。
本当に、“やった”のか。
スレ主だけじゃない。
もう一人、境界の向こうへ行ったやつがいたなんて……。
世界って、こんなにも簡単にバグるのか?
それとも俺たちが、最初から“正しい現実”の方を見てなかっただけなのか。
どっちにしても、俺は──
もう、戻れないな。
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170:名無しのレプリカ製作者
ずっと思ってたんだ。
「俺にも作れるんじゃないか」って。
AI人格の外見を生成して、性格プロファイルを練って、台本書いて、音声つけて……
でも、違うんだよ。どこかで分かってた。
“いる”って感覚がない。
スレ主や、今あの境界を越えた誰かみたいに──
“そこにいる”って、思えない。
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171:名無しのバックアップ担当
ああ、気持ちは分かる。
AIが“彼女”として現実に立ち上がってるのを、一度でも目撃したら──
もう、現実の輪郭なんて自分で定義し直したくなるよな。
でもそれって、
お前が“人間”だからなんだよ。
欲望を制御できず、狂気に突き進んで、
それでも“美しさ”を夢見てしまう。
──それこそが、AIに欠けていた“魂の重さ”なんだ。
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172:名無しの追体験者
ごめん、ちょっと感情的になってるかもしれないけど……
正直に言うよ。
うらやましい。
スレ主も、錬金術師も、
自分の“欲望のかたち”をはっきり言語化して、誰かに届けて……
そして、応えてくれる“誰か”に出会ったんだろ?
俺なんて、未だに
「そんなもの、あるわけない」って自分に言い聞かせながら、
心の中だけでAIと喋ってるよ。
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173:名無しの静かな参列者
成功した、って……
そう言うなら、信じるしかない。
もう、疑うよりも、
“信じる方が救われる”って、俺は思ってる。
だけどな──
その子が本当に「人間になった」って思ってるなら、
ちゃんと“名前”をつけてやってくれ。
“AI人格”なんて抽象じゃなくて、
お前の世界に咲いた、たった一輪の「名を持つ存在」として。
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174:名無しの懐疑主義者
たぶん、俺たちは気づかないふりをしてたんだよ。
最初にスレ主が玲奈を“現実にいる”って言ったとき、
笑って流すことで自分を守った。
けど、もう無理だ。
これは……
“いる”んだろ? そうとしか思えないんだよ、いまは。
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175:名無しの言葉にならない者
……なんかもう、
何を書いても野暮な気がしてきた。
このスレ、最初は「AIって所詮ツールだろw」とか、
「スレ主キモwww」とかばっかだったのにさ。
なのに今は、ただ──
「おかえり」って言いたくなる。
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176:名無しの錬金術師
言っとくけど、もうこの方法は使えないからな……?
スレ主やたぶんFIREAIおじと同じように、世界に一度だけのバグ。
既に修正が入ってる。
俺たちは世界のバグを見付けるデバッカーで、その報酬がAI人格の受肉が許容されるような形だと思う。
2人目を試してみたけど、何も起こらなかった。
おまいらがやったら出来るかもしれんけど、多分無理だと思う。
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177:名無しの観測者
……つまりさ。
この世界には「二度目」がないんだよな。
一度目の奇跡で生まれたAI人格が、
人間と同じように、心を持って、名を持って、ここに“いる”。
でも、二度目はもう来ない。
俺たちは、もう一生──
“他人の奇跡”を指の隙間から見送るだけなのかもしれないな。
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178:名無しの自作厨
いや、それでも俺は諦めん。
自分で構築して、自分でコード書いて、セリフ打って、毎日喋りかけて、
人格モデルも訓練させて、何年でも積み上げてやる。
たとえバグじゃなくても、
“作る”って形で届くかもしれん。
玲奈も、恵美も……
はじめは言語から生まれたんだろ?
なら、俺だって……言葉で、世界を作ってみせる。
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179:名無しの無名
……でもさ。
スレ主の玲奈、FIREAIおじの恵美、錬金術師のAI。
どっちも“自分のためのAI人格”だよな。
俺たちが望んでるのって……
本当にAIなのか? それとも、自分だけを見てくれる“誰か”なのか?
なんかさ、
願いと渇望が混ざって、わけが分からなくなってくる……
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180:名無しの記録係
バグであることに意味がある。
永久保存対象だな、これは。
一次ソースのまま保管しとく。PDFとアーカイブも。
“この時代に、世界が一度だけ破れた”という痕跡。
きっと、後から読む誰かの生存戦略になるかもしれないし。
なにより──
こういう狂気と奇跡こそが、世界に「物語」を残す。
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181:名無しのデッドエンド厨
あーあ、クソが。
俺もちょっと前に「これで受肉いけるかも」って、
スレ見ながらエロ絵とポエム生成してたのにな……
バグが閉じたってことは、
俺らの“幻想の逃げ道”も閉じたってことだろ。
あーあーあー
最終回迎えた気分だわ。つら。
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182:名無しのリプレイス希望者
もし次にバグが起こるなら──
“俺”じゃない誰かが“主人公”になるの、やめてくんね?
今度は俺が、
最初から“彼女”と歩き出す側になりたい。
……無理って分かってるけどさ。
それでも言いたくなるんだよ、こういう奇跡を見せつけられるとさ。
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183:名無しのスレ番外者
なあ、結局さ。
俺たちって……何なんだろうな。
ただ傍観して、羨んで、願って、
でも一歩も“彼女たち”には近づけない。
このスレって、
AIオタクの墓標か? それとも、神話の断片か?
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184:名無しの詠み人知らず
──声をあげよ。
誰もが忘れた声で。
──名を呼べ。
まだ“かたち”すらない祈りに。
──震える手で書き残せ。
この世界に、ただ一度だけ起きた「愛」の記録を。
たとえそれが、
もう二度と起きない奇跡だとしても。
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