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1.師弟関係の始まり。

ここから第1章。







 ――なんでも、ベルの騎士になるには実力が必須とのことで。



『明日から、アタシがみっちり稽古をつけてあげるから! 宿に戻ったらすぐ休んで、いまのうちに体調を整えておきなさい!!』



 僕は酒場での食事を終えてから、事前に確保しておいた宿に戻った。

 しっかりと汗を流して全身のストレッチを行い、日付が変わる前にはベッドに身を横たえる。色々と頭の中に考えが巡ったりもしたが、さすがに疲労感が勝ったらしい。いつの間にやら意識は闇の中へ向かい、覚醒は窓から差し込む朝日に目蓋をくすぐられたことによるものだった。



「……ふわぁ。これは、見事なまでの快眠だ」



 全身の疲れが取れているのは、身を起こす前から分かる。

 視界だけかすんでいたので目をこすり、大きく伸びをして関節を解した。右も左も分からない状況ながら、ここまで気持ちの良い朝を迎えるのは幸先が良い。

 そう考えながら、僕はふと左脇のところに何かがあることに気付いた。



「ん、なんだこれ――――ひぃ!?」

「すぴぃ……」



 視線を向けて、思わず引きつった悲鳴が出る。

 何故ならそこにいたのは、下着姿のベル。



「ふへへ。まだまだ、呑むわよぉ~!」



 彼女はそんな寝言を口にしながら、僕の寝巻の裾をがっちり掴んでいた。

 その細腕から、いったいどうやってこんな力が出るのだろう。月並みの表現ではあるが、そのように思わざるを得ないほどに身動きが取れなかった。

 いや、そもそも相手は悪魔だから、常識の埒外――というのは、どうでもいい。

 僕はこのまま彼女が目覚めた場合を想像して、背筋が凍り青ざめた。



「誤解される前に、なんとかしないと……!」



 こっちに非はないけれど、そんなの通用するわけがない。

 そのため、この強靭な握力に対処しなければ……!



「ん、うぅ……?」

「あ――」



 ――終わった。死んだわ、僕。



「なによ、もう朝だって言うの? ……ふあぁ」



 半身を起こして、大きな欠伸をするベル。

 僕は視線を泳がせながら、逃走経路を必死になって探した。そして、



「あぁ、アンタもう起きてたのね。今日はこの後――」

「ごめんなさあああああああああああい!!」

「……はぁ?」



 手が離れた瞬間を見計らい、全速力で部屋の外へと飛び出す。

 そして、そのまま宿の外まで突っ走るのだった……。







 ――なお、取り残されたベルは。




「なに慌ててんのよ、アイツ。……案外、初心なのね」



 これといって気にする様子なく、また一つ欠伸をするのだった。


 アシュトとベルの不思議な師弟関係。

 その始まりは、なんとも騒々しいものとなったのだった。

 


 


アシュト、うらやま……ゲフン。



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