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プロローグ 『ハエ』しか召喚できない青年。

新作です。

あとがきをお読みいただき、応援よろしくです。





「おいおい、またやってんよ。あの時代遅れ」

「ホントに自分が役立たず、って理解してんのかね?」



 周囲から僕に向けて、そんな心ない言葉が飛んでくる。

 しかし、それもまた仕方ないことだった。召喚術師の名家――ゴエティア家に産まれながら、僕はまともに召喚術を成功させたことがない。亡くなった先代、つまりは父親の功績あって王宮勤めができてはいるが、それだっていつまで続くか分からなかった。

 しかし、手を拱いているつもりもない。

 今日だって同じ轍を踏まないように、一生懸命に召喚術を――。



「あ、くそ……!」



 展開した小型の魔法陣が光を発すると、そこから出てきたのは一匹のハエ。

 しかも、とかく弱々しいそいつはフワフワと宙を舞うとすぐ消えてしまうのだった。これでは召喚術の奥義への到達は不可能。僕はがっくりとうな垂れて、荷物を片付け始めた。

 一度、気晴らしでもした方が良い。

 そう思っておもむろに立ち上がると、術師長が声をかけてきた。



「今日の調子はどうだ、アシュト」

「……モーニング様、すみません。どうやら今日も、駄目みたいです」



 口元に多くの髭を蓄えた術師長、モーニング氏はそれを聞いて一つ息をつく。

 そこにあったのは落胆か、あるいは納得の類だっただろうか。僕は世話になっている上司にそんな表情をさせたことが申し訳なく、自然とうな垂れてしまった。

 すると、そんな僕に対してモーニング氏は静かにこう告げる。



「そろそろ、頃合いかもしれないな」

「え……?」

「アシュト・ゴエティアよ、本日付でお前を――」



 どこか張り詰めた声色で。



「王宮召喚術師の職を解くものとする」――と。







「あぁ、ついに解雇されたか……」




 王都ガリアの広場に出て、僕は雲一つない空を仰いで言った。

 分かってはいたこととはいえ、実際に解雇されるとなかなかにくるものがある。代々続く名家の歴史に終止符を打ってしまって、申し訳ない気持ちが胸を締め付けた。

 だけど、このまま後ろ向きにいても意味はない。



「こんな僕でも、できる仕事……探さないとね」



 とはいえ、僕はこれまでずっと召喚術の研究ばかりをしていた。

 一般的な生活スキルは置いておいて、どこかで普通に勤めるようなスキルは有していない。他にない専門的な召喚術の知識を活かせれば、あるいは生活できるかもしれないけど……。



「だったら、そうだな。駄目で元々、あそこに行ってみるか」



 そうとなれば、行く場所は限られてきた。

 もっとも需要があるか、分からない。



「だけど、まずは行動だよね!」



 僕は一生懸命に、自身の気持ちを奮い立たせる。

 そして、足を運んだのは様々なスキルが集まる場所だった。




「冒険者、ギルド……か」




 王宮とは打って変わって、粗雑な門構え。

 独特な空気が漂うそこに勇気を振り絞って、僕は足を踏み入れたのだった。



 


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