担任の教師
どうも雪猫です。
最近はお酒に飲んで飲まれて早三年(?)といったところですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は愛も変わらず元気でも元気でないとも言ったところなので、皆様もそれくらいでいてくださいな。
あと前書きの使い方ってこんなんであってんのかね?
まぁいっか、とりあえずここまで開いていただいて感謝しかないです。
あとはどうか駄文を楽しんでいってください。
ポンと頭の上に何かが置かれた。
「おきろ、土田」
「んん……」
うつらうつらしながらなんとか目を開かせるとそこには担任の畑中茜先生がいた。
「あぁ、おはようございます、何の用でしょうか」
寝ぼけ眼を擦りながら返事をする。
茜先生がいるってことはまだ朝の連絡事項が終わっただけだろう。一時間目は社会科の牧先生のはずだ。
「おはよう土田、いやはや最近の先生は大変でな、生徒が寝ていた場合でもその生徒が健康的なのか起こして確かめなきゃいけないんだよ、うっかり死んでた、なんてことがあったら困るだろ」
畑中先生はけだるそうに言葉をはいた、1年のころから全く雰囲気が変わっていない。
そのおかげか知らないが俺は畑中先生には若干砕けた雰囲気で話すことが出来ている。
「死んでることはないと思いますけど……とにかく安全確認のためだけにその学級日誌で僕の頭を叩いたわけですね、今後はやめてください、僕、不死鳥なんで死にませんよ」
「そうか気を付ける、ということでほい」
畑中先生は俺のボケをスルーし学級日誌を渡してきた。
やっぱり起こすこと以外にも用事があった。
「いや、なんでですか、自分、日直じゃないですよね」
「そうつれないこと言うな、この世は縦社会なんだよ、上の者がやれって言ったら下の者は何も考えずにやらないといけない」
「どう考えても教師が生徒に使う理由じゃないと思います」
両親といい先生といい、どうして俺の周りにいる大人はこうも世知辛いことばかりいうのだろう。
「ちょっとした冗談だ、笑え」
「ははー……で、なんで自分なんですか、あいうえお順だと土田はまだまだ先だと思うんですけど」
真顔で笑い質問をした。
学級日誌は日直の行う仕事であり、基本的に名前の早い方から日直が割り振られるため土田なんて苗字から始まることはないはずである。
「このクラスも始まったばかりだろ、だからまだ学級日誌の書き方を知らない」
「知らないことはないと思いますよ、みんな高1の時には書いてるでしょ」
屁理屈だとは思いながらも反論する。
「違う、畑中茜流の学級日誌の書き方を知らない」
「確かに先生のクラスじゃなかった人は知らないと思いますけど……」
けどほかにも畑中先生のクラスだった人はいる、その中でどうして俺なのだろう。
「じゃあどうして土田を選んだのか」
心を見透かしたかのように思ったことを言い当ててくる。
そして畑中先生は答えを告げた。
「それはお前が普通だからだよ」
「普通、ですか」
「そう普通。学級日誌なんて些細なものだが、人によってはどんな書き方をすればいいか案外困るものなんだよ。だから土田に初めを書いてもらって普通という手本を書いてほしい」
「なるほど」
そういうことであれば適任であるかもしれない、自分の普通さに磨きをかける良い機会だ。
特に断る理由もなかったので素直に受け入れた。
「分かりました、やります」
先生の手から学級日誌をしっかりと受け取った。
「話が早くて助かる、私は時見のことを信頼してるからな、頼んだ」
「それはどうも、ありがとうございます」
お世辞でも褒め言葉は受け取っておくに越したことはない。
「じゃあ私は行くから」
そういうと先生はあくびを噛み殺しながら教室を出ていく。
「ちなみにちゃんと書かれてなかったら退学にするから」
――いや、罰重すぎない⁉
と叫んだら悪目立ちするので心の中にとどめておき、畑中先生には反抗のまなざしを向けておいた。