デグーについて
愛玩動物「デグー」のエッセイです。
どうぞ、よろしくお願いします。
初めまして、こんにちは。
もしくは、いつもお世話になっております。
作者の海でぐーです。
今回は、作者の名前の由来になっておりながら、これまで触れていなかった「デグー」という生物について語らせていただきたいと思います。
興味ねーよ!
そんな方は、今すぐに回れ右で。
ですが、このデグー。
動物好きならば知って損は無い素晴らしい存在だったりします。
……
……
私とデグーとの出会いは、まだ20歳の頃。
その頃、様々なペットを飼っていた私は、ふと「色々なペットの飼い方」という類いの専門書の一ページに目をやります。
そこに書かれていたのは、モルモットともチンチラとも違う、不思議な動物。
ちなみにチンチラとは、猫のチンチラ種ではなく大きなネズミの方ですね。
「めっちゃ、可愛い……」
それが、デグーでした。
その当時で既に、ハツカネズミやスナネズミというネズミの仲間、齧歯類というものを何度も飼ったことのあった私にとって、デグーはその延長線上にいるペットという程度の存在でした。
姿かたちは本当にネズミそのもので、スナネズミの大きいものと思っても仕方ないくらいかと。
ちなみにスナネズミとは、砂漠で暮らすネズミの仲間です。
尻尾が長く、まんまネズミの姿です。
それはさておき、それから長い月日が経ちます。
何故なら、私はその後社会人となり、余裕が無くなったからです。
ハムスターやメダカ、熱帯魚、カブトムシのようなメジャーなペットは何度も飼育に踏切りはしたものの、これまで飼ったことのない動物に手を出す余裕は持てずにいました。
そんなある日、私の運命が変わります。
「地震だ‼」
東日本大震災。
それが起きました。
私は幸いにも地震の直接的な被害は受けませんでしたが、当時は例の原発と間接的にですが関係のある外仕事をしていたため、仕事が激減します。
というか、当時はまだ放射線というのが私にとって未知の災害だったため、仕事があっても外で何かするのに恐怖が付き纏いました。
そこに、実家から電話がかかって来ます。
「あんた、そう離れてないところにおるんやろ? 状況が落ち着くまで帰って来たらどうね? 近所の人たちからも心配されちょるけん、一旦帰ってきいや?」
そんな口調かどうかはともかく、ありがたいことに親戚や近所の方からもご心配いただいているということで、すぐに地元に帰省することを決めました。
その当時は電車どころか長距離バスや高速道路すらヤバい状況。機を逃すと本当に孤立するかもという不安もあり、即決で実家入りします。
そうして通常の三倍もの時間をかけてバスを乗り継ぎ、実家から迎えに来てもらって無事に帰宅。
私は一応、震災から遠く離れた地で平穏な日々を取り戻しました。
……そして、時は流れ。
私は今でも地元にいます(笑)
だいぶ脱線しましたが、そんなわけで地元(実家)生活になった私は、再び大いなる余裕を取り戻します。
実家には犬が飼われていましたが、私はどちらかというと小動物好き。
帰省の際に一緒に連れて帰ったハムスターやらが天寿を全うしたタイミングで、何か新たな動物との出会いを求めます。
そして、出会ってしまったのです。彼ら彼女らと。
「おお⁉ 店長、これって……」
「デグー? 結構定期的に入ってくるよ。人気もある」
行きつけのペットショップで、その存在を認識した私は、割と即決でその子を購入しました。
初デグー(女の子)との運命的な出会いです。
それからは、もう止まりませんでした。
もう一匹の男の子を飼い、さらにもう一匹、もう一匹……。
さらには最初の子と次の男の子の間にベビーが生まれ、自宅には巨大なケージがいくつも並びます。
「あんた、いい加減にしな!」
実家の母からそんな風に怒られますが、母も動物好きなので呆れながらも諦めムード。私がこうなったら止まらないと長年の経験で知っているからです。
そして、私の暴走はやはり止まりません。用品を買い足し、写真を撮りまくり、何度もペットショップに足を運び続けます。
「うへへへへへへ。今日もまた可愛い子がいるじゃないですか~」
「君も好きだねぇ? エサ代も馬鹿にならんでしょ?」
「独身貴族なんで問題ありません。それに草食だから、さほどは」
そう、このデグーの一番の推しポイントは、草食なこと。
ハムスターのように色々食べさせたりしなくても、ヒマワリの種をあげ過ぎて肥満児にする心配も無いんです。
最悪、ホームセンターなどに置いてある乾燥牧草・干し草というやつをあげてるだけでも大丈夫なのです。
まあ、デグー愛に溢れる私は、栄養などを考えてそれ以外にも色々と食べさせますが。
さらに、兎ほどスペースを取りません。
先述のチンチラほど大きくもありません。
モルモットほど臭いも強くありません。
(注:飼育環境によっては臭いが強まります。定期的にきちんと掃除しましょう)
極端な話、一週間に一度掃除して、数日に一度ペレットと干し草をあげて、定期的に飲み水を綺麗にしてあげるだけの簡単なお仕事。いや奉仕。
まあ、デグー愛に溢れる私は、もっと無駄に頻度をあげてデグーさんたちに「そんな毎日来んなよ。鬱陶しいな」と威嚇されるのですが(笑)
しかしながら、とてもよく懐きます。
しかも芸を覚えるほどに賢い。
さらにはうっとりと甘える。
なんだ天使か?
そうして暴走を続けた結果。
「ペンネームかぁ。何にしようかな? 昔から好きだし、海の動物……海豚、海月、海……他の人が使ってないやつって無いな。なら、海に大好きなデグー合わせたらよくね? よし、海デグーだ」
ついにはペンネームまで(笑)
そして私の暴走は――――
「ちょっと増やし過ぎて、デグー同士が仲良くなっちゃった。これ以上増やすと懐かなくなるかな」
――――ついに止まります。
愛(構う時間)が分散したことと、生まれてからずっと兄弟姉妹同士でいたことで、あまり懐かない子が出てきてしまいました。
これは良くないと感じた私は、一部を里親に出して一旦状況を整理することにしました。
「まずはオスとメスを分ける。そして相性の良くない兄弟、姉妹は別に」
デグーは多頭飼いという、数匹一緒のケージ飼いが可能なのですが、稀に相性が悪いと血が出るほど喧嘩します。
それ以上の妊娠・出産を避けるために男女別にした際、どの子とも相性の悪い性質の二匹を里親に出しました。
引き離すなんて可哀想と思うかもしれませんが、それは違います。
うちから出て他で飼われたら、そっちの家の子とは仲良くなるかも知れないからです。実際、二匹のうちの一匹はそうなり、もう一匹は単独飼いで愛されることになりましたし。
そんなわけで無事に環境が整った結果、徐々に子どもたちも私に慣れます。
「母デグー、最近調子悪いな……」
ですが、そんな幸せな日々も永遠ではありません。
出産で体力を消耗したのか、母デグーが段々と目に見えて衰えてしまいます。
そして、やがて母デグーは天寿を全うし、星に還りました。
私、泣きました。それはもう、泣きました。
母デグーは最初に出会った一匹目だったこともありましたが、とにかく性格がよく、これでもかってくらいに懐いてくれてましたから。
部屋中を駆け回り、手乗りどころか頭に乗り(リアルハム太郎)、撫でればうっとりして恍惚の表情。
いなくなった今でも、頭から離れないくらい最高の子でした。
たぶん、今後もあそこまで素晴らしい子とは会えないと断言できます。
まあ、そんなこんなで一匹減りましたが、うちには今でも複数のデグーがいます。
どの子も病気とは無縁で、長生きしてくれています(デグーは病気も少ないんです)。
この最高のペット……いえ、家族と呼ぶべき存在と出会えたことに感謝しかありません。
色々と飼育してきた動物好きの私ですが、残りの人生は(実家の犬と)デグーだけいれば満たされると確信してます。
そんな愛すべき動物、デグー。
その紹介エッセイでした。
お読みいただき、ありがとうございました。
――Fin――
7月11日追記:
申し訳ありません。いいところばかり書き過ぎました。
本気でデグーを飼ってみたくなった方は、注意点などを「デグーについて Part Ⅱ」で紹介しますので、そちらを覗くか専門書などで調べてからにしてください。
ちょっと無責任な紹介をしてしまいました。長いと10年くらい生きるので、よく考えてから飼うようお願いいたします。