第52話
次の休日。
私は、魔物狩りを行う騎士たちに同行していた。
今回の魔物狩りはそれほど難易度は高くない。
どちらかというと訓練……? いや、訓練というほどかしこまったものでもなくて、本当にあくまで準備体操的なものだそうだ。
「今日はルーネも魔物狩りを行うのか?」
すぐ近くにいたバルーズ様がそう問いかけてきた。
それはもう私もやってみたかった。魔物と直接戦ったことはないからね。
私がこれまでに討伐したのは、虫くらいのものだった。
「はい、出来るのであればやらせてください!」
「……分かった。その時は全員で援護できるように準備していよう」
「あ、ありがとうございます」
そこまでしなくともいいと思うんだけど、ニュナもバルーズ様もとても険しい表情をしている。
私、もしかしたら舐められているのかもしれない。
「ニュナ、新しい戦闘方法があるから大丈夫じゃないですか?」
「……ですが、ルーネ様結構おっちょこちょいな部分があると言いますか」
「ひ、酷い……」
私にはそんなところはない。
ニュナはしかし、私に対しての心配をさらに強めてしまった。
しばらく進んだ先、森へと到達した。
「今日はここでゴブリンの狩りを行う。各部隊ごとに魔物狩りを行ってくれ」
バルーズ様の指示に合わせ、騎士たちが動き出す。
私たちの護衛として騎士が五名ほど残る。
バルーズ様がこちらを見てきた。
「それじゃあ、俺たちも行くとしようか」
「はい」
バルーズ様たちとともに私は森の中を歩いていく。
しばらくして、ゴブリンを発見した。
魔物は一体だ。
「……ルーネ、やってみるか?」
「任せてください」
「全員、すぐに助けに入れるように準備しておいてくれ」
「「「「「おお!!」」」」」
騎士とニュナが声を張り上げる。皆の目がやる気に満ち溢れている。
……そ、そんなに心配されているのだろうか。
少しがっかりしながらも、私はゴブリンへと近づいていく。
準備を始めよう。私は用意していた薬草をとりだして、携帯錬金釜にてポーションの製作を行っていく。
そこに魔石をぽいっと入れる。
魔撃ポーションを作りだすことに成功する。
魔撃ポーション(水) 質 Aランク
……うん! これなら確実に大ダメージを与えられるだろう。
でも、私はこれを瓶などに移すことはしない。
こっそりと練習していた魔力水の操作によって、それをゴブリンへと放つんだ。
私は魔撃ポーションをそのまま魔力で操作を行う。緻密な操作が必要だったけど、うまく操作は出来た。
私の周りをポーションが浮遊する。それを、ゴブリンへと放った。
そこまでして、ようやくゴブリンは気づいた。
こちらに慌てて気づいたようだったけど、もう遅い。
私のポーションがゴブリンの体に巻き付き、そこで魔力を込めて魔撃ポーションを発動する!
水はまるでつららのように鋭くなってゴブリンの体を突き刺していく。
「ぎゃあ!?」
ゴブリンの悲鳴が遅れて聞こえる。私の一撃に耐えられなくなったゴブリンがそのままぐったりと倒れた。
うん、うまく行った!
私が喜んで拳を固めて振り返ると
「あれ、どうしたんですか?」
「……お、思っていたよりもずっとえげつない攻撃をすると思ってな」
「そ、そうでしょうか」
バルーズ様は倒れていたゴブリンを見て、頬を引きつらせていた。
それは騎士たちも同じ様子だった。
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