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第5話 公爵様視点


 俺は自室から窓の外を眺めていた。

 ちょうど先程、ラフィーアの薬屋に依頼していたポーションが運び込まれてきていた。

 よし、何とか間に合ったな。

 まもなく、俺の自室に騎士がやってきた。


「バルーズ様、ポーションの納品終わりました」

「そうか、ありがとう」


 俺は依頼していたポーションが無事に納品されたことを聞き、ひとまずほっと息を吐いていた。

 それからちらと外を眺める。

 

「……そろそろ、か」


 俺は大きく息を吐いてから、外へと出た。




 騎士たちを連れ、俺は北の大地へと来ていた。

 俺の街があるクレイルから北にいった大地。

 そこは、いくつもの戦いの跡が残されていた。


 というのも、クレイル北の大地は、『太陽の涙』と呼ばれる現象の被害を受ける地域だった。

 太陽の涙……それは月に一度程度、昼なのに夜のように暗くなる現象だ。


 それが終わると同時、太陽から大量の魔物が落ちてくる。

 人々はそれを太陽が流した魔物の涙、として太陽の涙と呼ぶようになったのだ。


 俺は馬にまたがり走らせながら、すでに準備を終えた騎士たちへと声を張りあげる。


「皆の者。相手は所詮弱い魔物たちだ!」


 士気をあげるためだ。

 俺の声に合わせ、騎士たちは剣を振りあげる。

 一分のずれもない良く訓練されている騎士たちだ。


 俺もまた腰に差していた剣をつかみ、天へとかざす。

 同時、空の太陽が目を閉じた。一瞬であたりに闇が襲った。


「恐れるな! 弓兵は弓の準備を!」


 俺がいうと、暗闇の中で弓兵たちはすっと弓を構えたのが音で伝わってきた。

 そして、太陽が再び目をあける。

 その瞬間だった。太陽から魔物たちが落ちてきた。魔物たちはまるで俺たちには見えない透明の橋でもわたるかのように、こちらへと列を作り走ってくる。


「放て!」

 

 俺の声に合わせ、矢が放たれる。

 矢が刺さった魔物たちが透明の橋から踏み外し、大地へと叩きつけられる。

 続いて魔法部隊が攻撃を放っていく。

 そしてまもなく――魔物が大地へと降り立ち、魔物との戦争が開戦した。




 ……戦いは無事終わった。

 無事、どころではない。

 最高の結果だった。


「死者は……ゼロ、か」


 ……良かった、と思う。

 いつも少なからずの死者が出てしまっていたからだ。


「は、はい……今回作って頂いたポーションの一部が、とても優秀でして。死にかけていた者の傷さえもほぼ完治までに癒してくれました」

「……なんだと?」


 そんなポーション、聞いたことがない。


「誰が作ったのか分かるか?」

「いえ、その……運んでいる途中で混ざってしまい、分かりませんが……」

「依頼はラフィーアの薬屋に出したな? それならば、あとで訪ねて実際に作ってみてもらえれば良いだろう。確か、あそこは三人姉妹が営んでいたな?」


 ……女性はあまり得意ではないので訪れるのは嫌だが。


「はい。そうですね。そのうちの三つに二つはとても苦いポーションで、質もあまり良くなかったので実際に足を運べばすぐに分かると思います」

「そうか、分かった」


 ……質の良いポーションを安定して作製してくれるのならば、太陽の涙の際の被害をさらに抑えられるだろう。

 その腕が本物なら、うちのお抱えの薬師として、雇ってみるのも悪くないだろう。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 多めに作らされたんだから3つに2つは違うのでは。作る早さも姉より早いんだよね。
[良い点] 今はまだ起承転結の「起」が終わったばかり。書籍化された「ポーション、わが身を助ける」に見劣りしないスタートだと思います。 [気になる点] なぜ三姉妹で、こんなに技術が違うのか理由を描写して…
[一言] シンデレラストーリー的な展開になるのでしょうか、ちょうど意地悪な姉二人もいますしね。 主人公の活躍が楽しみです、姉への「ざまぁ」もあるといいなぁ。
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