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薬屋の聖女 ~家族に虐げられていた薬屋の女の子、実は世界一のポーションを作れるそうですよ~  作者: 木嶋隆太


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第46話


 屋敷に戻った私はひとまず近くにいたメイドに声をかけ、アイリーン様に関しての事情を説明した。

 そのメイドは納得した様子で頷いていた。まるでいつものこと、とばかりの様子である。


「分かりました。そのようにバルーズ様には伝えておきますね」

「はい、お願いします」


 私はメイドに一礼をしてから、屋敷からアトリエへと戻っていく。

 部屋に戻ると、ルーちゃんとアイリーン様が仲良く遊んでいた。

 室内ではあるので、そこまで激しい運動は出来ないけど。


「お座り!」


 アイリーン様がそういうと、ぴたっとルーちゃんはその場で座る。


「お手!」

「がう!」

「お手連打!」

「がうがう!」


 ルーちゃんがガシガシと連続でアイリーン様の手を叩いている。

 とにかく、アイリーン様とルーちゃんは仲良くなっているようで良かった。


「アイリーン様」

「あっ、戻ってきたのねルーネ!? この子めっちゃ頭良いし色んな芸が出来て偉いわね!」


 目を輝かせながらルーちゃんの頭を撫でている。ルーちゃんは誇らしげに胸を張っている。私も同じ気分。


「まあ、飼い主に似たんだと思いますね」

「え、飼い主って誰よ?」

「私ですよ」

「なるほど……つまりルーネも色々な芸が出来るのね?」

「そこじゃないです」


 私がそういうと、アイリーン様はくすくすと笑う。


「ねぇ、そういえば薬師なのよね? それで、ここはアトリエで……ここにはなんだか大きな錬金釜もあるけど、普段は何作っているの?」

「ポーションが主になりますね」

「へぇ、そうなのね。薬師ってポーションを作るっていうのが主な仕事なの?」

「私が言われているのはそうですね。人によっては、医者みたいな仕事をする人もいるみたいですよ」

「じゃあ、ここでポーション作っているのねー、どんな感じなの? 楽しい?」


 アイリーン様はじっと錬金釜を眺めていた。

 

「私は楽しいですよ。ポーション作っているところ、実際に見てみますか?」

「え?

いいの!? でも、作っても無駄になっちゃうわよね?」

「大丈夫です。ポーションには様々な種類のものがあるんですから」

「そうなの? どんなのがあるのよ!?」

「例えば魔撃ポーションですね。最近良く作っているんですけど、これは魔物にぶつけて使用するものなんですよ」

「む、無駄にならないって……まさかあたしにぶつけるつもり!?」


 がたがたと震えるアイリーン様。


「今は作らないです! 今作るつもりなのは疲労回復ポーションですよ」

「疲労回復ポーション? もしかしてそのままの効果があるの!?」

「そうなんですよ。ですから、それならティーを飲むような感覚で飲んでも問題ありませんので、どうですか?」

「いただくわ! あたしもう、ちょー疲れているのよ!」

「そうなんですか?」


 私は早速ポーション製作の準備に取り掛かる。

 ふっふっふっ、こうやって飲んでくれる人がいればポーションが作れるんだよね。

 もちろん、使用するのは私が栽培している方の薬草を使ってになる。

 

「もう毎日毎日色々な婚約者候補の提案をされては、お見合いさせられて……もうほんっとうに大変なんだから!」

「それは大変、なんですか?」

「もう大変よ大変! どう上手く断るかってことをずっと考えないといけないんだから」

「断っちゃうんですか? なんだか貴族の人ってそうやって結婚することが多いって聞きますけど」

「嫌よ! みんなあたしのことなんて見てないのよ!? そこに愛はないのよ!? 家同士の結束のためだけの結婚……そんなのは嫌なのよ!」

「……あ、あはは」


 アイリーン様の言っていることは良くわかる。

 確かに、家同士のためだけに結婚するっていうのは何だか自分が道具のように扱われている気がして嫌な感じはする。


 アイリーン様に相槌を打ちながら、私は錬金釜に魔力水を流した。

 あまり量は作らない。私とアイリーン様、それにルーちゃんの分でとりあえず合計6杯程度にするつもり。


 魔力水を入れたところで、アイリーン様がじっと覗きこんだ。


「これがポーションなの?」

「ここから、ポーションを作っていくんですよ。それではこちらに薬草を入れますね」


 用意しておいたイキシ草を投入し、熱を加えていくと色が変化していく。


「わぁ!? 綺麗……!」


 アイリーン様は目を輝かせている。……味は関係ないけど、こうやって初めて誰かにポーション作りを見せる時は、色の変化があった方が分かりやすく感じるみたい。


「まだまだ、これからですよ」


 アイリーン様を楽しませるのもそうだけど、私自身も楽しみながら、ポーションの製作を行っていった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱり好きなことを好きなようにやるのがいいよね。従軍でポーション作っていても好きだから楽しい。 ある意味スローライフ。
[気になる点] 「私は楽しいですよ。ポーション作っているところ、実際に見てみますか?」 「え?」 「え? いいの!? でも、作っても無駄になっちゃうわよね?」 「え?」が多くないですか?
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