第40 話
休日になった私は、街で開かれるという市に用事があったため、外に出ていた。
ニュナに服装を整えてもらい、街中を歩いていく。
市が開かれる場所は冒険者通りにある中央広場だ。
たどり着いた私は思わず声を上げてしまう。
「た、たくさん人がいますね……」
「そうですね。ルーネ様、迷子にならないように気を付けてください。私が案内しますから、どうぞついてきてください」
「はい、分かっています」
ニュナの手を取り、私は共に歩いていく。
今日の私は、ここに見たいものがあってきていた。
その目的の物をニュナとともに探していると、すぐに見つかった。
小さな錬金釜だ。
手に取ると少し重みがある。錬金釜自体のサイズは大人用のコップほどのサイズになっている。
ポーチのような作りとなっていて、その錬金釜は腰に巻き付けることが出来る。
そう……これが私が探していた物だ。
「おっ、お嬢ちゃん錬金術師とかなのかい?」
店主の男性に声をかけられる。私が食い入るように見ていたからだろう。
少し太った男性の商人だ。
私がニュナを引き連れているから、声をかけてきたのかもしれない。
ぱっと見、私はお金を持っているように見えるからね。
「えーと……まあ、そんなものですかね」
正確に言うと違う。
でもまあ、説明するほどのことでもないのでそのまま話を続ける。
「携帯錬金釜を探しているってことは、冒険者活動もしているのかい?」
「そうですね」
「なるほどねぇ、他にも色々あるから見ていってくれよ!」
商人は出店の店主だ。置かれたテーブルにはずらりと商品が並んでいる。
携帯錬金釜は三つ置かれていて、どれも値段やサイズはそこまで変わらない感じかな?
私がここに錬金釜を探しに来た理由は簡単。
もちろん、ルーちゃんと一緒に魔物狩りをするためだ。
携帯錬金釜があれば、コップ一杯程度にはなるけどどこでもポーションの製作を行えるようになる。
そうなれば、戦闘の状況に合わせて様々なポーションを作れるようになるということだ。
携帯錬金釜はどれも軽い。本来の錬金釜と違い、持ち歩きが出来るように軽い材質の物を使って加工していると聞いたことがある。
ただ、やっぱり錬金釜と違って長く使えるものでもないため、いくつか持っておいたほうがいい。
……別に戦闘で使わないにしても便利なことに変わりはないから、全部購入してもいいかな?
「それじゃあ三つください」
「まいどあり! お嬢ちゃん可愛いからサービスしちゃうよ、三つ合わせて六万ゴールドのところ、一万ゴールドおまけの五万ゴールドね!」
店主の営業トークに苦笑する。安くしてもらえる分には悪い気はしないからいいけどね。
三つの携帯錬金釜を購入すると、ニュナが荷物を持ってくれた。
「これで、とりあえず準備は整いましたね」
私がそういうと、ニュナがじーっと見てくる。
「確かに道具的な準備は整いましたけど、ルーネ様はまだまだですからね?」
まだ、というのは魔物との戦闘に関しての話だ。
「そ、そんなことありませんよ」
こ、これでも最近は確実に的にボールを当てられることも増えてきている。
距離はまだまだ三メートルほどの近場だったけど、それでも最近はその距離なら当てられる。
……でも、支援補助を優先するのなら、もう少し距離を離しても当てられないとダメとニュナは言う。
せめて10メートルくらいは離れて当てないとダメだそうだ。
まだまだ先にはなりそうだけど、でもまあ一週間くらいで3メートルの距離で当てられるようになったんだから、一ヵ月もあれば余裕だよね?
「それではニュナ。これから少し市で遊んでいきましょうか!」
「分かりました」
残りの時間はニュナとともに街を見て回っていった。
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