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薬屋の聖女 ~家族に虐げられていた薬屋の女の子、実は世界一のポーションを作れるそうですよ~  作者: 木嶋隆太


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第31話


 錬金釜の前に立った私は一度深呼吸をした。


「とにかく今はポーションを数多く準備すればいいんですよね?」

「は、はい。大怪我を負っている人はいないのですが、少なからず傷を負っている人がいまして。今も騎士たちは最前線で戦っているため、そちらへの補給を行いたいところなんです」


 ……薬草は十分に用意されているが、ポーションを製作できる薬師が少ないらしい。


 私はこくりと頷いてから深呼吸をする。


 騎士の詰め所には、それなりに人が多くいた。

 休憩中の人たちも私の製作に興味があるようで、ちらちらと見ていた。

 

 いつもは基本的には一人で作るんだけど、こうして周りに見られながら作るのは少し緊張する。


 いつものようにポーションを作ればいいだけ。

 

 自分にそう言い聞かせながら私はポーションの製作を行っていく。

 今回はいつもよりも速度を重視して作製していく。

 なるべく最短で、ある程度の効力があるポーションを製作するんだ。


 いつものように魔力水を用意する。


 魔力水 質 Bランク


 うん、魔力水の質は問題ない。

 軽く味見をして、ここから最短で作れるポーションを考える。

 アカサ草を入れれば、たぶん大丈夫だろう。


 緊張しながら薬草を魔力水に入れ、一気に熱を通す。

 ……できた。


 私は出来上がったポーションを味見し、確認する。


 体力回復ポーション 質 Bランク


 問題ない。


「ポーション出来上がりました」


 私がそう言うと、驚いたように騎士たちの声が響いた。


「は、速くないか?」

「……ぽ、ポーションの製作ってもっと時間のかかるものじゃなかったか……?」


 驚いたように声をあげる騎士たちをちらと一瞥しながら、私は次の錬金釜へと向かう。

 私が移動をすると、すぐに錬金釜からポーションが瓶へと移し替えられる。


 ……というか、瓶だけではなくバケツのようなものにまで移し替えている。

 それだけ、状況が切羽詰まっているということなのかもしれない。


 清潔なものならなんでも大丈夫だけどね。

 私は次の錬金釜にも同じように取り組んでいった。

 ……楽しい!


 速度重視であり、一つ一つのポーションちゃんにかけられる時間は少ないけどそのわずかな時間の中で最適のものを作りあげるというのが、こう表現できない面白さがある!


 普段はお客様重視でより質の高いものを用意するんだけど、今回は数を重視するからね。

 こういう風にポーションを製作したことはなかったので、私は楽しくてがつがつと作っていった。




 錬金釜は合計五つ用意されていた。

 ……私の初めのペースだと、三つの錬金釜を回っていくのがちょうどよいペースだった。


 でも……何だか悔しかったので、ペースはどんどん速めていった。

 私がポーションを製作するのが先か、それとも錬金釜から別の器にポーションを移し終えるのが先か……。


 いつしか私はそれに対してライバル視をするようになっていたんだけど、


「と、とりあえず今いる怪我人含め、ポーションの予備もできましたのでこのくらいでひとまず大丈夫です!」


 驚いた様子でそう言った騎士の声に、私ははっとなった。


「え? もうですか?」

「も、もうですよ! ていうか、半日近くずっと作っていたじゃないですか!」

「……え?」


 あれ? もうそんなに時間が経ったの? 確かに言われると、少し疲労感があった。

 ……たぶん、軽く500以上のポーションを製作したと思う。


 私は軽く肩を伸ばすと、ぴきぴきっと背筋がなった。


「うーん、結構作ったね」

「……だ、大丈夫ですか? とても楽しそうにポーションを製作されていましたが」


 ニュナがこちらへと近づいてきた。

 彼女に私は笑顔を返した。


「もちろんですよ!」

「それは良かったです……ただ、さすがに今日はもう一度休みましょう」

「はい、分かりました」


 私がそう答えた時だった。別の薬師が入れ替わりに私のほうへとやってきた。


「わ、私この街の薬師なんですけど……凄いですね。どれもかなりの質で、おまけにハイペースであれほど作れるなんて……」

「そうですかね? ありがとうございます」

「わ、私も……頑張らないとですね」


 ぐっと彼女は拳を固めていた。

 とりあえず、この街に来ての私の仕事の一つは終わりだよね。

 あとは、このポーションたちがみんなの力になってくれることを祈るだけだね。

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[良い点] ハイペースで作れたことについて 「好きこそ物の上手なれ」 この一言に尽きます。
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