表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薬屋の聖女 ~家族に虐げられていた薬屋の女の子、実は世界一のポーションを作れるそうですよ~  作者: 木嶋隆太


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/58

第26話


 夜。夕食の後、外がすっかり暗くなってから私はニュナとともに屋敷内を歩いていた。

 目指すはもちろん、レクリスの花畑だ。


「レクリス様の花畑はこの屋敷でも特に人気なんですよ。屋敷で舞踏会などが開かれたときには、皆がこぞって足を運ぶほどですからね」

「そうなんですね……そんな人気の場所であれば、レクリスももっと自信を持っても良さそうですけど……」

「……レクリス様は元々子爵家の三男だったそうですよ。花が好きで、いつも花の世話をしていたら……その、女々しいやつだと父に怒られ、最終的には追放されてしまったとか」

「……そうだったんですね」

 

 レクリスも、色々と苦労しているんだなぁ、と思った。

 そんなことを考えながら歩いていくと、暗い中に光が見えて来た。


 ……なんだろう? 気になった私の足は、自然と早歩きになる。

 どんどん光は近づいてくる。そして、その光の正体に気付いた。


 それは花だった。

 夜の中で、それぞれの花がそれぞれの色を示すように光を放つ。


 少し意識すると、周囲に魔力が満ちているのがわかる。

 ……これは、花から生み出された魔力なのかな?

 赤、青、黄……それらを基本とした花々が光をあげながら風に揺られ左右に動く。


 それはまるで、花々がダンスをしているかのようだった。

 美しく揺れる花々に私が見とれていると、ニュナが隣に並んだ。


「こちらにある花は、日中の間魔力を溜め込み、溜め込んだ魔力を放出して夜の間光を放つお花だそうです」

「……とても綺麗ですね。はじめてみました!」

「そうですね。こちらの花々はとても世話をするのが大変だそうで、中々このように育つことはないそうなんですよ」


 ……つまり、それだけのものをレクリスは作っているんだ。

 それなのに、レクリスは自分の腕に自信を持っていないようだった。


 こんな綺麗な花を育てられるのは、凄い才能だと思うんだけどね。


「あっ、来たんだね」


 と、花畑のところからひょこりと顔を出したのはレクリスだった。

 ちょうど、花の世話でもしていたのだろうか? 少し土がついていた。

 話したいこともあったので、私は彼へと近づく。


「レクリス、とても綺麗な花ですね」

「……ありがとね。そう言ってもらえるのはとても嬉しいよ」

「このお花たちはとても育てるのが大変だと聞きました。それをこんなにたくさん育てるなんて凄いですね」

「一度こうして育ち切ってくれればそこまででもないんだよ? なんなら、何日か放置したとしても何とかなるくらいにはね」

「その育ち切るまでが大変なんですよね。そこまでしっかりとお世話ができるのは凄いことだと思いますよ」

「……でもね、花の世話なんて男の仕事じゃないって思わない?」


 レクリスがそう言ってきて、私はきょとんとしてしまう。

 先ほどニュナが言っていたことが頭をよぎる。


「男だからですか?」

「……うん、そうだよ」

「そんなの関係ないです! 好きなものに一生懸命になることは別に悪いことではないと思います。……ですから、誇っていいことですよ。誰が何と言おうとも。自分の好きなものを認められるのは自分だけですから!」


 私の言葉に、レクリスは驚いた様子できょとんと眼を見開いてからくすりと笑う。


「……ありがとう。そうだね」

「いえ、気にしないでください。すみません、その無責任なことを言ってしまって」

「いや、大丈夫だよ。……そう言ってもらえて、嬉しかったからね」

「そうですか?」


 ほっと息を吐いた。

 レクリスを傷つけるようなことを口にしなかったようで、ほっとする。


「まだ見ているの?」


 レクリスが問いかけてから、花畑のほうを見る。

 私もつられるようにして視線をそちらに向け、こくりと頷いた。


「はい。もうしばらくはこちらにいさせてください」

「そっか。あっ、そうだった。また何か、薬草のことで質問があればいつでも言ってね?」

「ありがとうございます!」


 私はそれからしばらく、その花畑を眺めていた。

【重要なお知らせ!】


日間ランキング上位目指して更新頑張ります!


・ブックマーク

・評価の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」


をしていただきますととても嬉しいです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 語尾がほとんど「ね」のせいでかなり読書のテンポが悪くなる 貴族公認の薬屋の三女ならばもう少し礼節弁えた話し言葉になってもいいと思った
[一言] 26話が飛んだ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ