第24話
「た、確かにこれ毒じゃないですか!? だ、大丈夫なんですか!?」
鑑定魔法を使ったのだろう、ニュナが驚いたように声をあげる。
「小さい頃から訓練をするといったのは、自分で作ったポーションが毒になってしまったときにも大丈夫なようにするためなんですよ。薬師はみんな、毒への耐性は強いんですよ?」
「そんなバカな! あっ、し、失礼いたしました……取り乱してしまいました……」
ニュナが深呼吸をするようにしてから、それでもまだどこか驚いたような表情でこちらを見てきた。
「大丈夫です。ここから性質を変化させていけば問題ありませんから。えーと、先ほどのちょっと痺れる感じなら……こちらですね。イキシ草を混ぜてみてください」
私はニュナのポーションを舐めたときのことを思いだしながら、新しくイキシ草を取り出した。
それをニュナのほうに差し出すと、彼女は小さく頷いてからイキシ草を入れた。
再び魔力水を沸騰させ、イキシ草を溶けさせた。運よく見た目の色も良いものへと変化し、ニュナが錬金釜を覗きこんだ。
「毒は、なくなりましたね」
「はい。今回は二回で調整が終わったようですね。うまく毒が消えて、体力回復ポーションも出来上がりましたよ」
「……ほ、本当ですか? 良かったです」
出来上がったポーションを見て、ニュナがほっとしたように息を吐いた。
体力回復ポーション 質 ?ランク
……うーん、ニュナが作ったからか私はそのランクを正確に把握することはできなかった。
「……なるほど、確かにポーション自体はできるのですね。質はどうなんでしょうか?」
「質に関してはちょっと、私も分からないですね。とりあえず、出来たのでよしとしましょう!」
「ルーネ様の補助があれば、本当に私でもポーションの製作ができるんですね……驚きました」
「そうですね。こうやって、何度も何度も体に自分の魔力での薬草の組み合わせを覚えさせていくんです。……ですので、レシピというレシピが用意できないんですよね」
本当に人によって大きく分かれてしまうのがポーション製作だ。
魔力の質によっては、体力回復ポーションの方が作りやすかったり、魔力回復ポーションのほうが作りやすかったりとする。
結局回数をこなして自分に適したものを考えていく必要があった。
「……大変ですね。毒が出来てしまうこともありますし」
「そうですね。ですから小さい頃からこの毒に触れていくことで、体の中に抗体を作っていきます。だから、薬師の育成は本当に小さい頃、生まれたときから始まるといっても過言ではありません。このときは主に味についての勉強になっていきますが……ただ、そこでそこまで薬師に興味を持つ子供もいませんよね?」
「……確かに。子どものうちは遊びたがる子のほうが多いと思いますね。世界的に薬師が育ちにくいのはこういう部分が影響しているんですね」
「育成は大変だと、母からも聞いたことありますね」
興味を持って研究を行っていけるかどうかが大事になってくる。
「……それにしても、結構魔力を使うので疲れてしまいましたね。ルーネ様は普段お体の方は大丈夫なんですか?」
「私は大丈夫ですよ。ポーションの製作はこのような感じになりますね」
「……ありがとうございました。それではルーネ様はこれから土いじりのほうに行かれるのですか?」
「あっ、そうですね」
「なるほど、でも確か、あまり土の調整がうまく行かないと嘆いていましたよね?」
「あっ、はいそうですね」
「それでしたら庭師の人にお願いしてみましょうか?」
「え? 大丈夫ですかね?」
「はい。時間があるときに話が聞けるように頼んでみましょう」
「あ、ありがとうございます!」
そして、私がしばらく畑とにらめっこしていると、ニュナが戻ってきた。
「初めまして……その、僕はレクリスだよ」
落ち着いた雰囲気の男の子がそこにいた。
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